私は言われた通りスカートを捲り上げた。股座をひやりとした風が通る。暖房はついているが
パンツは既に下げているしこの前さっぱり剃られたばかりで、その分寒く感じられた。
「いいねぇ、写真を撮りたい気分だよ」
 あなたの吐息が私の恥部を撫で上げた。体がピクンとするも私は平然を装い我慢する。
「部活の奴らに言いたかったよ。お前にもこんな一面が有るんだって」
「先生クビになっちゃうよ?」
「じゃあ俺だけで楽しむか」
 あなたはそう言って私の股間に顔をうずめた。
「やっ、ちょっと待って! ……んんっ!」
 身をこわばらせるも無駄だった。あなたは強引に股をこじ開け舌を這わせた。引き離そうとしてみても
犬の様にスカートの中でぺろぺろするばかり。脚も抱えられては逃げることすら叶わない。
 ついに舌が私の恥丘をこじ開けた。体の中で蠢く度に私の呼吸は荒くなった。
「あっ、あぁん! もう、や……」
 部屋の中に嬌声と水音が木霊した。力が抜けて立てなくなる頃、あなたは顔を覗かせた。
「ベッド行くか」
 そして汚れた口元をスカートで拭った。
 
 私は仰向けのあなたを膝立ちで跨いだ。不安定なベッドの上でよろめく私をあなたは楽しそうに見上げている。
「懐かしいなぁ。やっぱりお前はその格好が一番だ」
 リクエスト通りに私はバレーのユニフォームに着替えていた。実際、私がこの姿になるのは久しぶりだ。
半年前の県大会での試合以来、いやその日の夜にこのホテルで着た時以来か。健康的な姿がそそるらしい。
「んっ、んふぅ……」
 ショートパンツを少しずらしてあなたの肉棒を受け入れた。腰を下ろして根元まで喰わえ、一呼吸。私の中で熱く脈打つのが分かる。
「腰ふり運動、構え!」
 急にあなたはそう言った。
「え? ちょっと先生、何言って……」
「いいからいいから。用意、始め!」
 こうなっては何を言っても無駄だと知ってる。私は部活の時の様に声を出した。
「北コー、ファイッ、オッ! ファイッ、オッ!」
 私は四つん這いで腰を振った。肉の打ち合う音が響く。汗やら愛液やらが飛散する。あなたが私の乳首を摘まんでも、リズムに合わせて腰を振った。
 鏡に私の姿が映っていた。カエルみたいに足を開いてお尻だけ上下している。下品な姿に一気に体が熱を帯びる。
「どうした? ちゃんと声を張れ!」
「だって、センセ……あぁんっ!」
 あなたが下から突き上げてくる。より強い刺激に声は上擦り、掛け声はもはやただの喘ぎ声になっていた。
「あっ! あっ! あんっ! はぁんっ!」
 リズムを刻む声が一層大きくなった時、私の口はあなたの口で塞がれた。そしてーー
 精液が注ぎこまれた。そして私は絶頂に達した。
 気持ち良すぎて何も考えられなかった。ただ体を痙攣させてあなたにギュッとしがみついた。
口も、胸も、性器も全て密着し、お互いに空気を交換し合い、唾液を絡め糸を引かせた。
 好きな人と一つになった気分。その喜びが心を満たした。
 ずっとこの時が続けば良いのにと、私は思った。
 
 二人してホテルを出た。路地は暗い。大の男と女子高生が歩いていても何も言われないほどに閑散としている。
 私は封筒を受け取った。中を見ると万札が数枚。ネオンを頼りに数えたらいつもより多い。
「今日で最後だからちょっとオマケ。妹さん、中学生になったんだろう? お祝いに何か買ってあげなよ」
 今までの感謝料だとあなたは言った。しかしその実は手切れ金だ。寂しさが私の胸に去来した。
「ねえ、先生……」
 私の言葉を先生は制した。
「君はもうすぐ大学生だ。そして社会に出れば色んな人達と接することになる。俺より好きになる人も現れるさ」
「さんざんエンジョしといて今更先生ヅラすんの?」
「そりゃ教員だからね、君の将来も心配になるさ。いつか素敵な人に出会った時にきっとお前は俺なんかよりもその人を選ぶ。だから一緒にはなれないよ」
 それでも食い下がるも、あなたは言葉を重ねて突き放した。
「別れるなら春がいいね」とあなたは言った。

 あなたが歩き去っていく。これから何処に向かうのだろう、もしかしたら他の女生徒の所かも。
 きっかけは家計を支える為だった。サイトに登録したら偶々あなたに見つかって、春を売った。
情事を重ねていく中で仮初の思いが本物に変わったのはいつだったろう。しかし若い春を求めるあなたに私はついていけない。
 季節はもうすぐ春を迎える。出会いの春となるだろうか、それとも再び商品となるか、私はまだ分からないでいる。
 あなたの背中が見えなくなるまで、私はそこに立ち尽くした。