よくある話ではあるけど、双子の兄弟王子が生まれて、圧制によって民衆に不満がたまっていく王政の中、確実に火種になる弟は王によって暗い地下牢へ幽閉された。


 湧き出る汚水のような地下水で咽を潤し、忘れた頃に差し出される生ゴミのような食事で空腹を満たす。


 そんな中、王が病で倒れ、兄が王になった。


 兄王の治世は長く続かなかった。

 王制廃止の動きは止まらず、兄王は自室で暗殺されてしまう。


 王政を廃止したくない王族と私腹を肥やしたい貴族は、兄王の死を公表せず──


 ──地下牢の弟王子をひっぱりだした。


 弟王子は、王族と貴族たちに奴隷のようにあつかわれながら、形だけの王になった。


 母には化け物を見るかのような目でみられ、

 裏では使用人にすら、まるでやつあたりのように殴られ、蹴られ、毒味だと言われて床に置いた食事を犬に食わせてから、残ったものを床で食べさせられる。

 奴隷のように、いや、人以下に扱われる日々。