私の名前は長沼幸子(ながぬまさちこ)。今年で三十路を迎えるというのに彼氏もおらず、未だに独身のしがないOLだ。
 今現在も築三十年以上は経つ、木造二階建ての実家で一緒に暮らしている両親が、私に幸せがたくさん訪れますようにと願って付けてくれた幸子という名にもかかわらず、私は生まれてこのかた幸せとは無縁な生活を送り続けている。
 この日もいつものように朝から無難に仕事をこなし、会社の同僚たちから誘われることもなく、真っ直ぐ実家へと帰宅した私は、一階の居間に置かれたテーブルこたつを囲んで、家族三人で夕食をとっていた。


と、このように、私のは冒頭から主人公が独身だと書いてあるわけなので、アホの子の言うような誤解が生まれるはずがないのだわな