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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【154】

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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2019/09/05(木) 17:55:25.08ID:t87CrkV0
オリジナルの文章を随時募集中!

点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

評価依頼の文章はスレッドに直接、書き込んでもよい!
抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする!
それ以上の長文は別サイトのURLで受け付けている!

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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【153】
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0083小林さんのへりくつ
垢版 |
2019/09/07(土) 00:19:02.17ID:nj/imC4k
 現地で動き回る必要があるのでと、今はレンタカーを借りに行っている。まあドライブデートだと思えば悪くはないんだが
今俺の目の前の席にはバックパッカー並みのリュックが置いてある。何が入っているんだろう。
 ほどなく小林さんから電話がかかってきた。前にいるというので重いバックパックを担いで表に出てみるが
それらしき車がない。キョロキョロしていると、目の前に停車している運送屋のような軽ワゴンの裏から登場した。
「お待たせしました」
 無言で車を見ていると小林さんが言った。
「どうかしましたか?」
「あ……いや、車が思ってたのと違うから」
「マニュアルトランスミッションの車がトラックやバス以外ではこれしかありませんでした」
「マニュアルなの?!」
「はい、オートマティックは進化していますが、まだまだ人間を越えられません、走行性や燃費に直接関わる操作を出来損ないのギミックに任せる気はありません、それにこれなら荷室で作業もできます」
 なんか[燃費]の部分で語気が強まったような気がする。
「今日、結城さんに来てもらったのは、菌採取の助手の他に、市街地を出るまで運転してほしいからです、私は運転は得意ですが絶望的に方向音痴です」
「あー、悪いお知らせがある」
「なんでしょうか」
「俺オートマ限定」
 空気が凍りついた。しばしの後、小林さんが斜め下を向いて指でメガネを上げた。小林さんが思わず顔がほころんだ時にする仕草だ。
「あー、今バカにした」
「何を言っているんですか、バカになどしていませんよ、人には選択の自由があります、私の思慮が甘かっただけです」
「目を見て言ってよ!」
 俺が回り込むと、小林さんは回転して逃げた。
「やっぱバカにしてる!」

 俺がスマホを見ながらナビゲーション、小林さんが交差点名や案内標識を見ながら運転と言う具合で八王子を抜け
田舎道に入った。小林さんはどことなくウキウキしていてドライブを楽しんでいるようだった。山梨の菌とワイナリーの発酵に想いを馳せている可能性は否定できないが。
 それはともかく俺も楽しんでいた。なんせドライブデートをしたのは埼玉の元カノと1年以上前にしたきりだ。俺がナビゲーションすると、小林さんにはいまいち伝わらなくて道を間違える。そして修正するためにまたちぐはぐなやり取りをして泥沼にはまる。
 そんな下らないやり取りが楽しかった。俺は何々ビルがあるからそこを左折と言うと、それはなんメートル先なんですかと返ってくる。結局デキの悪いスマホナビのアナウンスを待っていると、複数の交差点のせいで曲がる所を通りすぎたりする。
 トラブルはあってもご機嫌な小林さんだったが、ちょいちょい不思議だったのが、走行中に赤信号になると、よく「あっ」だの「あーもう」だの言っている。その割には規制速度はきっちり守って
おっそろしく直線な道でもデジタルメーターは常に40kmだったりする。せっかちなわけではないようなのになんでか不思議だった。
 しかしその理由はついに峠道で判明した。小林さんは、よくトルクの効くギヤでゆっくり峠を登ったが、下りはニュートラルで結構な飛ばしかたをして怖かった。いくつか峠を越えた所に集落があり
そこに信号機があった。長い直線の坂を下りきってそこからは上り坂といった感じの広い交差点だった。
 その時もスピードが乗っていたが、あと100mという所で信号が黄色になった。
「ああもう見えた時青だったからやな予感した、赤だったらスピードの調節して走り抜けられたのに」
 そう呟いた。
「ん? なんだなんだ」
0084小林さんのへりくつ
垢版 |
2019/09/07(土) 00:22:29.79ID:nj/imC4k
 そう呟いた。
「ん? なんだなんだ」
 小林さんはゆっくりブレーキをしながら停止して答えた。
「失礼しました、今回は直線で広くて期待していたものでつい口にでてしまいました、まさか信号があるとは」
「期待? なんの」
「私が地道に燃料を使って位置エネルギーを積み上げて、それを運動エネルギーに変換して投資を回収中だったのに、それを全て赤信号に奪われました
あれだけのエネルギーがあれば燃料を使わずに目の前の坂を半分以上登れましたのに、ましてやブレーキパッドを削ってまで熱エネルギーに変換して空気中に放出してしまいました
とどめに上り坂スタートで燃費も効率も最悪です、ケチ臭いと思われるかも知れませんが、そうじゃなくて無駄は嫌いです」
 はは、そういう行動原理ね。そりゃ文系が謎にも見えるか。しかし彼女と出会って生活のスピードが上がったように思う。
 大した未来像や目的もなく、カラオケや合コンをして快楽を求めていたのに、それが急に下らなく思えてきた。
 小林さんは気づいているかどうかしらないが、男前な一本気で強引に俺を自分の世界に引きずり込み、引っ張り回している。しかも嫌な気がしない。
 それでいて俺のテリトリーに入ると儚げにゆらめく。未経験の気持ちだ。小林さんはいつも見えないパンチを意識外から打ってくる。
 もっとも、それは俺が小林さんにも打ってる可能性は否めない。現に小林さんはそこに着目した事を告白した。俺は彼女の目にどうやって映っているんだろう。
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