安価・お題で短編小説を書こう!7
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安価お題で短編を書くスレです。
■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。
■投稿方法
使用お題と【】でタイトルを明記してください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は4レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
R18は禁止です。他に規制はありません。
■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、権利者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。
別サイトへと投稿してリンクを貼るのも可。
リンク先のタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、使用お題、タイトル、URLを書き込んでください。
※なろうのURLは規制されていますので、KASASAGIか俺Tueee.Net!のURLで代替してください。
■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/
安価・お題で短編小説を書こう!3
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1522770910/
安価・お題で短編小説を書こう!4
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1529860332/
安価・お題で短編小説を書こう!5
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1541947897/
安価・お題で短編小説を書こう!6
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1557234006/ ☆お題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』から1つ以上選択
☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。
☆締め切り→11/3の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。
【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】 >>1
乙です
過疎、過疎と言いつつも、二周年を迎え、7スレ目に突入ですねw
コレからもコツコツやっていきましょう! >>1
乙です!
>>2
使用するお題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』
※前スレ>>943【とある教会での出来事】を先に読んでおくことをオススメします
【最高の一枚】(1/3)
秋のシチリアではまだまだハロウィンで盛り上がっていた。
閉店後、シャワーを浴びパジャマに着替えたレイチェルがリビングに来てみると
ライアンがノートパソコンを開いてカチャカチャとマウスを動かしていた。
「何をしているのライアン?また口コミサイトで私達のレストランの評価でも見ているの?」
「ううん、違うよ。ほら、これを見てよ」
ライアンがレイチェルに見せたのは、今自分たちが住んでいる町のホームページだった。
そこにはハロウィンパーティーの仮装大会の出場者の写真がずらりと載せられていた。
魔女やミイラだったり、アニメやコミックのキャラクターだったりと愉快な顔触れで揃っていた。
「みんなとっても素敵ね。ふと思ったけど、みんな自撮りがすごく上手いね」
「僕もそう思ったんだ。慣れているんだろうね」
「私、自撮りが下手だから羨ましいなあ。いつもライアンに写真撮ってもらってるし…」
「そう落ち込むことじゃないだろ。元気出せよレイチェル」
レイチェルはとにかく自撮りが下手でそのことに悩んでいた。
自分でやるとどうしてもブレてしまうし、せっかくのシャッターチャンスの時に手を滑らせて
スマホを落としてしまうなど散々なところがあった。
「私って本当にドジでおっちょこちょい…」
「おっちょこちょいなガンマンもすっごく可愛いと思うよ」
「…ありがとうライアン。早いけど先に寝るわ、おやすみなさい」
そう言うとレイチェルは2階の寝室へと階段を上っていった。
「そんな気にすることでもないのに。まあ、そんなレイチェルも可愛いんだけどね!」
ライアンはノートパソコンの電源を切ると、テレビをつけて好きなドラマを見始めるのだった。 【最高の一枚】(2/3)
翌朝、レストランの開店準備をする傍ら、レイチェルは上手く自撮りできるよう必死に頑張っていた。
ライアンはそんなレイチェルを微笑ましそうに見つめていた。
「ああっ、またブレちゃった!」
「焦らないでレイチェル。コツさえ掴めば簡単だよ」
「そ、そうよね。落ち着くのよレイチェル、冷静に冷静に…!」
しかし、レイチェルは足下に落ちている空のワインの瓶に気付かなかった。
それを見たライアンが叫ぶ。
「レイチェル危ない!」
「へっ!?」
レイチェルは瓶に足を取られてしまい、後ろへとコロコロと転がっていった。
「わわわわっ!助けてー!!」
そのまま後ろの調味料の棚にドンッとぶつかり倒れるレイチェル。
災難はこれだけでは終わらず、上に置いてあった小麦粉の袋が頭上にドサッと落ち、
レイチェルは小麦粉を被り真っ白になってしまった。
「レイチェル大丈夫かい!?」
「ゲホッゲホッ!!もう最悪…」
「焦らないで、いつかきっと上手くなるよ」
「そ、そうね…」
「ほら、そろそろ開店時間だよ(真っ白になったレイチェル可愛い…)」
余興の合間の休憩などを利用し、レイチェルは必死に自撮りの練習をするのだった。
「わっ、またスマホ落としちゃった!もう!」
「(あれだけ必死ということは、よっぽど悩んでいたんだろうな…)」
必死なレイチェルを見て、そう呟くライアンだった。
1週間後、ライアンが調理器具などの準備をする中、レイチェルが呼んできた。
「ライアン、ライアン!私ね、やっと上手く自撮りできるようになったの!せっかくだから一緒に撮ろう!」
「それは良かったね!ちょっと待って、すぐに行くから!」
ライアンは一旦エプロンを脱ぐと、レイチェルのいる外へ向かった。
「さあ一緒にはいチーズ!」
カシャッ!レイチェルはスマホのシャッターボタンを押す。
「ほら見てよライアン!」
レストランを背景に撮った一枚の写真。するとライアンは妙なことに気付く。
「ん?何だこれ…レイチェル、君の隣に何か変なものが写ってるぞ?」
「えっ!?」
じっくり見てみるとレイチェルの隣に、白く艶のある髪をした白いワンピースを着た少女らしき姿が写っていた。
「レ、レイチェル、これ心霊写真だよ!」
「ちょっと待ってライアン。これって…」 【最高の一枚】(3/3)
レイチェルは自分の隣にいるその少女の姿に見覚えがあった。
そう、あの廃墟と化した教会にいたサニースマイル一族の末裔のジュディだった。
「この子ジュディよ!」
「ジュ、ジュディ?」
「あれ言わなかったっけ?私があの古い教会で会った女の子よ」
「確かいつの間にか姿を消していたんだよね」
「そうなの。それに靴を履いてなくて裸足だったし。やっぱりあの子…」
レイチェルの隣に写るジュディの姿は満面の笑みを浮かべていた。
あの廃墟と化し、解体寸前となった教会が改装され立派に生まれ変わったことに心から喜び、無事に成仏できたのだろう。
レイチェルはそう考えた。
「あの子、やっぱり長いこと教会を荒らされないよう守っていたのね。また教会が活性化することを心から望んで」
「僕も一度会ってみたかったな。レイチェル、君があの教会、そしてジュディの魂を救ったんだ」
「て、照れるわねウフフ…」
「でももう不法侵入はやめてくれよ」
「わ、分かってるわよ!!」
そのジュディが一緒に写っている写真は、そのままライアンのノートパソコンに
レストラン、旅行に出かけた写真らと一緒に大切に保存された。
「この子、きっと今頃私達のレストランの守り神になっているわ」
「そうだね、もう立派な家族の一員だよ」
レイチェルとライアンは顔を合わせ、嬉しそうに笑うのだった。
おしまい 前スレでは不要だったので、今回も不要なはず>保守
コツコツ大事><
続けられる限りは続いて欲しい!
>>6
早速一番乗りw
レイチェルさんの意外な弱点、からの、このシリーズらしい幽霊話
これでジュディの話は決着だと思いますが、再登場があってもいいかもw 進行さん、これからの安価小説スレはどうしていきたいですか? それねー
もちろん盛り上がっていって欲しいとは思ってますが、なかなか難しいでしょう?
現状の認識として、閉塞感は感じつつも、続けていける気はしています
ただなんか分業制というか、お題を出す人、書く人、読み専、みたいに分かれてしまっている気がします
競馬実況さんは特別枠ですけどw、もちろん役職に押し込めようなどとは思ってません
この分業制は、三代目進行が推進してしまったような気がするんですが、本意ではないです
なので、できればこう、もっと誰でも参加できる感じに、ハードルを下げたいです
だけどそんなにうまくは行かないし、それと書き続けるのが大変なのも分かるし
うーん、どうしたらいいんだろう、って感じですねぇ 人口は増えてる気もする
いっときは全部で三人くらいの感覚だったw >>6
短編スレ7オープンに、祝いの鐘がリンゴン鳴る! 仕事のできる進行氏、さらりとスレ立てサンクス〜>>6もご祝儀投稿だッ、お題選択は『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』、レイチェル・マイ・ショット!!
念のため初見の人用に書いておくと、>>6氏のこのシリーズは西部劇ガンマンのコスプレをするレイチェルさんの連作だ、以上!w それだけ知っていれば十分ッ
さあ、『ハロウィン』で盛り上がる秋のシチリア、仮装を楽しむ町民の写真を見比べ、『自撮り』ができないと悩むレイチェルさん登場〜、『自撮り』ができないってなんだw
『小麦粉』をかぶる猛特訓の末、ついに自撮りマスターとなったレイチェルさんがレストランを背景にシャッターすれば、そこには前回、消えた亡霊ことジュディさん…(『幻想』)の笑顔が! よかったね
魂の救いにより守護霊になったジュディさんがパーティ参加の、R.I.P.ENDォ! 宣言お題をほのぼの消化した>>6氏を皮切りに、スレは再度まったり歩き出す! 書き手も読み手も乙☆乙だッ >>6
ハロウィンには、死者が紛れ込んでいるとも言いますから
レイチェルさんは自撮りの時、無駄に力みすぎているイメージがありますよねw そんなこと言われてもね
20レス以上あったのを、17レスまで圧縮したのよー
ほめて? あと改めて感想など書き込みたい方は、ご遠慮なくどうぞ >>18
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\:::::::::::::::::::\:::::::∨::::/::::::::\ー--‐―く:::ヘ::\::::::::::::::∨
ヽ:::::::::::::::::::::\:::{/::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::∨ レンタル店強盗殺人“客”の20代男逮捕
今月14日の夜遅く、群馬県沼田市にある本やDVDなどのレンタル店で店員の斎藤康盛さんが殺害され、
店内にあった現金およそ4万円やゲーム機などが奪われたもの。
://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20191029-00000394-nnn-soci
【世堺教師マイ土レーヤ】
親はゲームのためのコンピューターの使用を制限すべきです。
多くのゲームと同様に、それに取りつかれてしまうことがあります。
それは、エネルギーを吸い上げ、現実の生活の幸・不幸を経験するのを妨げる麻薬のようなものです。
Q あなたは、コンピューターゲームには中毒性があると言われました。
同じことはデジタル音楽プレーヤー(MP3)や多機能携帯電話の至るところでの使用にも言えますか。
ポップミュージックや携帯メールやチャットなどの絶え間ない注意力の分散は、人間の集中力を弱めますか。
A 今日のように広く用いられると、使用者を自分自身やありのままの人生を体験することから逸らせること、
言い換えれば、過剰に使用されると、リアリティ(実在)からの逃避になります。
若者のマインドを意義と挑戦で満たし、もう逃避を求めなくなるようになるには、
マイ土レーヤのインスピレーションが必要でしょう。
この講演でも言っていましたが、核エネルギーは、人類では制御できるものではないと言っていました。
その放射能の影響が、アルツハイマー病に、現れているとも言っていました。
://humanspace.exblog.jp/24407694/
>>9
>>13
>>15
感想ありがとうございます!
ジュディは書いててすごく気に入ったキャラですので、今後また何らかの形で再登場させたいなと思っています
過去に出てきたキャラを再登場、活躍させるのってすごく楽しいです
今回も楽しんでいただけて嬉しいです! この度はとある雑誌に読み切りとして扱ってもらえるようになりました どもw
おめw
あとその、ついでに、次回のお題ですが、また企画なしの通常回をと思っています
企画ありの方がお題の集まりが早い傾向にあって、その方が進行としては楽なんですが
スレ7はスロースタートの方がいいかなと
そのまた次は、前からやってみたかった企画をやります >>2
お題:『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』
【ハロウィンの夜の……】
「トリックオアトリート!!」
ハロウィンの町は、いつもより賑やかだった。海外ではどちらかと言えば子供の為のお祭りであるハロウィンだが、日本に於いてはむしろ大人の方が騒いでいる印象があるだろう。
その町も十代後半の若者たちを中心に、どちらかと言えば年齢層の高い者の方が騒いでいる印象があった。
町の中はカボチャとお化けで飾り付けられ、幻想的な雰囲気を作り出していたのだが、しかし、乱痴気騒ぎと言って良い大人たちの行動が、それを台無しにしていた。
「トリックオアトリート!!」
そんな町中に突如として噴煙が上がり、街はパニックになる。
だが、この騒ぎにおいてケガ人などは出ず、むしろ、悪質な悪戯として処理されることとなった。
何故か?
それは、噴煙の元凶が、小麦粉をまき散らす爆弾型のパーティーグッズで有った為だ。
しかし、一部の者の中には、それでも尚、怪奇現象だったと主張する者がいた。その訳は、あるSNSの自撮り写真にあった。
その人物が撮影した写真には、恐らく小麦粉爆弾を投下したと思しき人物が映っていたのだが、しかし、その人物……ジャックオーランタンのコスプレをしているであろう人物の映っている場所が、到底、人間が居られる場所ではなかったからだ。
すなわち、地上10m程の空中にである。
当然ながら、その写真は合成だと思われた。しかし野生の分析班によって、合成ではない事が立証されてしまったのである。
当然、今も反論はされている。
だが、その場所に人が存在できない事は事実なのだ。例えば、更に上から落ちてでも来ない限りは……
その日、この場所で人死にが出ていたと言う話は聞かない。
しかし、事実として、小麦粉爆弾がこの場所に投げ込まれているのである。
果たして、地上10mに居た人物は何だったのか?
ジャックオーランタンは、天国にも地獄にも行けず、地上を彷徨うしかない哀れな魂だと言う。
そんな彼が、この国の乱痴気騒ぎのハロウィンを見たらどう思うだろうか?
「トリック……オア……トリート…………」 お題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』締切
【参加作品一覧】
>>6【最高の一枚】
>>29【ハロウィンの夜の……】 それでは予告通り、通常お題5つです
お題安価>>32-36 ☆お題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』から1つ以上選択
☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。
☆締め切り→11/10の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。
【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】 なかなか楽しげなお題が集まりましたね
お題、作品、感想、引き続きありがとうございます
新スレ2回目
今週も安価・お題スレでゆっくりしていってね >>29
幻想・・・ハロウィンの都市伝説
これぞお題スレ、的な余韻に加えて、批判精神のある話でいい感じですね 小説よりもやりたいことが出来たんだ
しばらくは離れさせてもらう…
またいつかな… >>29
前回も今回もハロウィン、連続ハロウィン回に挑戦続く、29氏が祭りの祭りたる意味を語り始める〜、主役は不在、全選択! デッドリー・タウン!
さあ、乱痴気騒ぎな『ハロウィン』の夜で、例年のごとくカボチャとお化けで飾り付けられし街並みが、現実感を欠いた『幻想』的な雰囲気に彩られているぞ〜、
「トリックオアトリート」なる叫びとともに噴煙あがり、パニック起こる〜、テロや! ちゃう、正体は『小麦粉』を撒き散らすジョーク『爆弾』ッ、渋○盛り上がりすぎィ〜
しかし、参加者の『自撮り』写真に映ったのは、ありえない中空に浮かぶジャックオーランタンの姿!? かつての死者の祭りもガワだけ使われ今やただのコスプレフェスだッ
誰がための祭りなのか〜、悲しく問いかけるのはカボチャの目〜、さ迷える魂とは死者か、それとも小麦粉ボムでも目覚めぬコスプレ大衆なのか・ENDォ! 29氏、全選択クリアにメッセージ性を込める、パンプキン・フィニッシュ乙だ! >>39
感想有難うございます
実は、お題を見て、すぐに思い付いた作品なんですが、あまりにもストレート過ぎたので色々と考えていました
が、結局そのまま通してしまいましたorz
>>41
感想、有難うございます
都市伝説風に纏めましたが、実はただの風刺と言うw >>37
使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』
【定休日は有意義に過ごそう】(1/3)
ある水曜日の朝8時、もうレストランの開店準備をしないといけない時間なのに
レイチェルはまだベッドの上でスヤスヤと眠っていた。
「わたしはムニャムニャ…さすらいの旅を続ける女ガンマンのレイチェル…ムニャムニャ…」
西部劇の女ガンマンになった夢でも見ているのだろうか、楽しそうに寝言を言っている。
数分後、ハッと目を覚まし体を起こす。
「あーあ夢だったのね、良いところで終わっちゃったなあ。残念…」
ベッドから出るといつものガンマン衣装に着替えるが、いつも被っているウエスタンハットがどこにも見当たらない。
「あれ?私の帽子が無いわ。もしかして…」
1階に下りてリビングに来てみると、ライアンがイチゴジャムを塗ったトーストを頬張り、
テレビを見ながらソファーで寛いでいた。
「あっレイチェル、起きたんだね。おはよう!」
よく見るとライアンはレイチェルの帽子を被っていた。それを見たレイチェルは呆れつつも笑う。
「ライアン、また私の帽子取ったわね」
「ん、これかい?だってレイチェルの帽子を被るの楽しいんだから仕方ないじゃん」
「楽しいから仕方ないって…」
ここ最近、ライアンはよくレイチェルの帽子を勝手に被ったりして彼女をからかうことが多かった。
「いいから帽子を返してよライアン」
「えーただで返すわけにいかないよ。勝負しよう」
「勝負って何よ。またゲーム?」
「もちろん!」
元気よく返答するとライアンは早速テレビゲームの準備をする。
いつもやっているレーシングゲームだ。
「レイチェルが勝ったら帽子を返すよ。でも負けたら今日一日はずっと僕のものだからね。あとそれから…」
「そ、それから何よ…!」
「今日一日ずっと黒猫の衣装でいてね!」
「冗談じゃないわ!絶対負けないから!」
レイチェルはとりあえず条件をのみ、ライアンとの勝負が始まった。
レイチェルとライアンのゲームの腕は互角で、互いに一歩も退かない熾烈なレースが繰り広げられた。
5回に渡る勝負の末、3対2でライアンの勝利となった。
「負けちゃった…」
「さっきのは冗談だよレイチェル。ほら帽子を返すよ」
「私が負けたんだから約束通り黒猫の衣装を着るわ」
「む、無理しなくていいんだよ」
「ううん、いいの」 【定休日は有意義に過ごそう】(2/3)
レイチェルは黒猫の衣装に身を包む。
「(この衣装もやっぱり悪くないわね。これで外に出るのだけは勘弁だけど…)」
「(黒猫のレイチェルやっぱり良い感じ!ガンマン衣装とは甲乙つけがたいなあ)」
もう開店時間30分も前だというのに準備も一切せず、呑気に遊ぶライアンとレイチェル。
実は水曜日は定休日なのだ。レストランを開業してからずっと臨時休業などを除いて特に休みを決めなかったのだが
半年ほど前、レイチェルが体調不良で寝込んでしまい1週間ほど休業したことがあったのだ。
ウエイトレスを担当しつつ余興で客達を楽しませているのは想像以上にハードのようで翌日まで疲れが抜け切らないことが多々あった。
そのためライアンは毎週水曜日を定休日に設定し、レイチェルがきちんと休められるようにしたのだ。
「レイチェル、水曜日はゆっくり休もうね。何か欲しい物があったら僕が買ってくるよ」
「ありがとう。ライアンも絶対に無理はしないでね、料理は体力勝負なんだし…」
しかし今日は生憎の大雨で外で遊ぶことができなくなった。
「今日はテニスかバドミントンでもしたかったのになあ…」
「のんびりDVDでも見て寛ごうじゃないか」
「それもそうね!」
ソファーの上でポップコーンとコーラをお供に好きな映画のDVDを楽しむ2人。
そんな彼らの姿を白いワンピースをきた白い髪の少女がクローゼットの近くから覗いていた。
「(あの2人、とっても幸せそう!それにしてもレイチェルさん、ガンマン以外に黒猫のコスチュームも着るのね。意外だわ)」
途中で昼寝をし体を少し休ませる。夕方頃になると雨は止み、明るい夕焼けが顔を見せた。 【定休日は有意義に過ごそう】(3/3)
「あれ急に晴れてきたわね。今日は一日ずっと大雨のはずなのに」
「天気予報もあまり当てにならないな」
「そうだライアン、今夜はあそこに行かない?」
「いいね!これだけ晴れたらすっごく綺麗に違いないね」
夕食を済ませ、2人は車に乗ってあの場所へと向かう。
そう、あのキラキラ星が美しい絶景を堪能できる丘へと(前スレ>>671【あの日見た夜空】を参照)。
「うっわあ!今日も美しいわ、もはやファンタジーの世界よねここは」
「このシャイニングスターヒルほど美しい場所はないね」
この丘には特に名称は無く、ライアンとレイチェルはここをシャイニングスターヒルと名付けて憩いの場所としていた。
美しい夜空に無数の星がキラキラと元気に微笑んでいる。
「ハ、ハックシュン!冬も近いし夜だからやっぱり寒いなあ」
ダウンジャケットを羽織っているライアンがそう呟く。
「風邪ひかないでねライアン」
「大丈夫だよレイチェル。さてっとあれ始めるかい?」
「星座当て勝負ね!今日は負けないんだから!」
広い草原に座ると、早速星座当て勝負が始まった。
「あれは牡羊座!それにあれは、えーと確か天秤座!」
「残念、あれは双子座だよ」
「くーッ!悔しいーッ!!」
「あれは牡牛座、それから蟹座。あっ、さそり座も見えるぞ!」
「(ライアン、やっぱり凄い…)」
1時間後、勝負は終わり今回もライアンの圧勝だった。
「ライアン凄すぎて勝てないわ…」
「レイチェルも中々だったよ。さあもう遅いから帰ろうか」
「そうね!明日からまた元気に働かなくっちゃ!」
車に乗り家路へと向かう2人。そんな彼らを後部座席から、またあの少女が眺めていた。
「(こんなに仲良しカップル、今まで見たことないわ。すっごく面白いアハハ)」
おしまい >>44
ゆっくり一番〜、ゆっくり休日w
シチリア編の総集編っぽい感じですね
白いワンピース・・・えっと誰だったかな(すっとぼけ >>37
お題:『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』『変装』
――<最低で、ごく普通で、いちごジャム色の夜>
神様を殺す方法を考えていたら、いつの間にか空は夜に覆われていた。
「……寒い、な」
世間は早くも十一月だ。そりゃあ制服にセーター一枚で半日も外に突っ立っていれば体も冷える。
そろそろ風邪を引く頃合いかもしれない、と思って呟いた独り言には、驚いたことに返事があった。
「そりゃそうだろ」
「うわっ!」
慌てて振り向く。
後ろに立っていたのは、誰あろう、幼馴染のクラスメイトだった。クラスメイトの後藤祐也だった。
夜道で不審者に後ろに立たれていれば通報ものだが、この場合はどうするべきか少し迷う。
不審と言えば、不審だし。
「びっくりした。何でいるの。ずっといたの?」
「五分ぐらい前からかな」
「短いようで長い……結構普通に怖い……」
天下の女子高生がドン引きで怯えた様子を見せているのに、クラスメイトの後藤は慌てる様子も、
ぐふふと興奮して襲い掛かってくる様子もなかった。EDかもしれない。
まぁ、違うのは知っているんだけど。
後藤とわたしはセックスまではした仲で、一緒に色んな楽しいことをした仲で、そしてもう一生そういうことはしな
いんだろうな、とお互いに思う経験をした仲だった。かつては、彼氏の祐也だった。
今は違う。クラスメイトの、後藤祐也だ。
まぁ後藤だったら襲われても後藤のおばさんに泣きついて慰謝料をせびれば元は取れるだろう、と適当に計算し、わ
たしは昔馴染みの不審者に対する警戒をやめた。得にならないことはしない。コストパフォーマンスこそがすべて。今
時の若者ってやつだ。 「本当は、何しに来たの?」
「うん。死のうかと思ってさ」
後藤はごく普通に言ったし、私はごく普通に聞いた。そっか、とだけ返す。
冗談で言っていると思ったからではなく、本気で言っているのを知っていたからだ。
知った上で、私は自分が何もしないことを知っていたからだ。
「父さんと未穂が死んで、そろそろ半年だろ? だから、ちょうどいいんじゃないかと思って」
何がちょうどいいのかはわからない。けれど、いちごジャムのジャケットを着た後藤は、へらへらと冗談を言うよう
な口調で、そうやって自殺の相談を持ち掛けてくる。
後藤は頭がおかしくなってしまった。
理由は明白で、今年の春に後藤のお父さんと妹が、事故で同時に亡くなったからだ。
私はいつも通り高校の制服を着ていて、後藤はいつも通り高校の制服を着ていない。
それはつまり、半年前から、後藤は学校に来なくなったということだ。
後藤がお母さんと二人だけになった家で、どんなことを話しているのかは知らない。
嘘だ。知っている。
後藤はお母さんを気遣って、頭のおかしくない立派な息子のふりをしている。
でもそれはずっと限界で、学校にも行けないほどに限界で、だからこうして私に対して吐き出している。
吐き出さなければ、後藤は死んでしまう。それがわかっていて、私はそれを拒んだ。
後藤のお父さんと妹が死んで、後藤の頭がおかしくなって。
一ヶ月が経った頃に、私と後藤はただのクラスメイトになった。
私が、後藤を受け止めることができなかったから。
嘘だ。できなかったんじゃなく、しなかったのだ。
したくなかった。それだけだ。
セックスはできた。罵倒することもできた。くだらない冗談を言うこともできた。
けれど、大好きな幼馴染の男の子を助けるために人生を捧げようと思うことは、私にはできなかった。
それが私だった。そういう私だったことを、私はその時になって、知った。
今も、私は学校に通っている。ごく普通の高校生のように。
ごく普通の高校生ではなくなってしまった後藤を置き去りにして。
ごく普通の高校生ではなくなってしまった後藤を拒んで。
そんなことを半年も続けていたら、流石に私もだんだんとごく普通の高校生ではなくなってきたようで。
神様を殺したくて殺したくて仕方なくなってきたので、放課後にこんな場所で街を眺めていた。
神様を殺す方法は思いつかなかった。思いついたのは、私か後藤が死ぬ方法だけだった。
そして私は、それをしようとは思わない。
私はそういう女の子だった。 「なぁ、深山」
後藤は、そういう風に私を呼んだ。
遥佳、と呼んでいたことをまるで忘れてしまったかのように。
「なに?」
うっすらと塗り潰された街を見下ろしながら、私は返事だけをした。
一緒に死んでくれ、とでも頼まれるのだろうか。そう言われたら、私はどうするのだろう。
抵抗するべきだろうか。大声をあげて、後藤を刑務所に突き出すべきだろうか?
少し考えて、やめた。
得にならないことはしない。現代っ子だから。
「あのさ」
後藤がこっちをじっと見つめて、何かを言おうとしている。
ジェットコースターが頂上付近にゆっくりと上がって行く時のような気持ちで、私はかたくなに街を眺める。
「――ありがとな、色々とさ」
思わず、「は?」という声が漏れて、私は後藤を振り向いていた。
後藤は笑っていた。へらへらとした頭のおかしい笑い方ではなく、祐也だった頃の、ごく普通の笑い方だった。
「え、え? なにが?」
慌てた私は、逆にごく普通からは外れてしまった。
けれど混乱していて、直そうにも直せない。
だって、おかしいはずだ。後藤が私に、そんな言葉を言う理由がない。
私が言われるべきなのは恨み言か、あるいは頭のおかしい誘いだけのはずだ。
後藤をごく普通に戻すことができずに、私は後藤を見捨てて、一人で逃げ出したのだから。
「私、何もしてないじゃん。謙遜とかじゃなくて本当に、何もしなかったのに、なんで」
「そうだな、何もしてくれなかったな。別れようって言われた時は、まぁ、正直ショックだったけどさ。……でも、葬
式に来る可哀想な顔の連中と違って。父さんと未穂が死んで、泣きまくったり、口が悪くなったり、変なことを言い出
したりした俺の話を聞いてくれて。お前はさ、苦しそうな顔をしてくれたから。
別れようって言う時も……今日こうやって、何時間だか知らないけど、ずっと立ってた時も。俺が来たのにも気付か
ないほど、一生懸命苦しそうな顔で何かを睨んでて。それを見てさ、ああ、俺の他にも苦しんでてくれる奴がいるんだ
なって、思えたんだよ」
「……何それ。結構最低な話じゃない?」
「そうかもな」 ははは、と後藤は夜の街に向かって笑う。吐く息が白い。都会というわけではない、でも田舎と言えるほどでもない
半端な街の、星の見えない夜空と、星の数ほど光っている街の明かり。それに照らされて、後藤は笑っている。
どこか憑き物が落ちたような、ごく普通の顔で。
最低な決断をした私のことを、けれど後藤は、最低な基準で感謝していたらしい。
それは全然美しくなんてなくて、物語にしたらラブストーリーのでき損ないもいい所で。
けれど、そんな私たちだということを、私たちは、この時になって知れた。
やがて吹き出すというほどでもない笑いが自分の口から零れて、私は後藤と一緒になって小さく笑い出した。
ふふふ、ははは、と笑い声が調和する。明るくも、陽気でもない、夜に包まれたいちごジャム色の笑い声。
それはダサくて、格好悪くて……けれどきっと、私たちの色なのだろう。
「学校、そろそろ行こうかな」
「ふぅん。死ぬのはやめたの?」
「やめてないけど。でもまぁ、たまに死のうとするぐらいで、バランスは取れる気がしてきた」
「へぇー」
わざとらしく一ミリも興味がなさそうな声を出して、私は、後藤にこのやろう、とまた笑われる。
少し前までごく普通だった、彼女の遥佳と、彼氏の祐也に戻ることはもうきっと、一生ないのだろう。
けれど、それでも。最低な私と、最低な後藤でも、それなりに生きてはいけるのかもしれない。
夜が落ちてきて、変装をしてしまった街で。
それでも私は、幼馴染と昔のように笑っていた。 >>44
この人に踏破できない回はない、44氏がレイチェルシリーズを安定快走させてゆく〜、選択お題は『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』で、レイチェル・ザ・ブレークタイム!
さあ、今回はレイチェルさんの定休日をはじめから追ってみよう、彼女が目覚めると、まず『ジャム』トーストを頬張るライアンさんが彼女の帽子をかぶって笑っている、和やかな新婚の朝〜、
ゲームに負けて黒猫コスに着替えさせられ、レイチェルさんが赤面する〜、いいぞもっとやれ、羞恥プレイだw さて日は落ちて、夕焼けを見て『ダウンジャケット』を羽織るライアン氏、お出かけか、
これだけ晴れたらすっごく綺麗に違いないね、『いいね』と言いつつ、通称シャイニングスターヒル(かっこいいw)で美しい『夜空』の星を見て語らう二人はもはや無敵ィ、なんびともこの平和を乱すことは、って
何者かの盗撮的な視点? これは例の守護精霊w 選択お題をレイチェルさんの休みの一日に反映させつつ、44氏がシチリア編の構成員を増やしてゆく、じっくり休んでドタバタ劇の準備は完了! 一休みENDだッ
>>48
もしや初投稿か、48氏の選択は『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』『変装』、ボリューム大の投下だな、やる気まんまんか! 夜闇いちごデイズ!
さあ、神様を殺す方法を考えていたと言い放つヤバい女子、深山さんが振り返ると〜、そこにはいちご『ジャム』色『ダウンジャケット』を着た後藤くんがおったそうな、
物語が語るは別れた二人のそのいきさつだァ〜、家族を無くし精神の均衡を保てなくなった後藤くん、彼と決別した深山さんは見捨てた自分を冷徹に罰する〜、こんな運命を与えた神様を殺す方法を探しながら〜、
都会の街の星の見えない『夜空』の下で、星の数ほど光る街の明かりに照らされ邂逅の二人、しかし後藤くんは笑う、そうやって横で苦しんでいる深山さんに自分は救われるのだと〜、なるほど、最低だと言っておこうッw
完全形にはほど遠い二人なれど、ようやくバランス取れそうだ〜、夜が落ちてきて、『変装』をしてしまった街で…詩的ENDォ! 選択お題を全消、48氏がボリュームある短編で二人のでこぼこな道を示す〜思い入れを感じるぜ、乙フィニッシュ! 久し振りに来たらスレが二つも進んでて此処に来るまで時間かかったwちゃんと続いてるみたいで良かったよこれからもよろしく >>37
使用するお題→『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』
※前スレ>>764【嗚呼、我が愛しい弟よ】を先に読んでおくことをオススメします
【遠い帰り道】(1/3)
ある日曜の午後のこと、カナミとケンスケは商店街へと向かっていた。
特に何もする事もなく暇だったので、母からお使いを頼まれたのだ。
「お姉ちゃん、せっかく商店街に行くんだから本屋とかにも寄ろうよ」
「そうね、でも先にちゃんと買い物済ませなきゃお母さんに怒られるわ」
スーパーマーケットに入ると、2人は母から手渡されたリストを確認する。
「えっと買う物は牛乳にブルーベリージャム、それから食パンっと…」
「僕はジャムを探しに行ってくるよ」
「任せたわよケンスケ」
カナミは飲み物コーナーから牛乳パック、パンのコーナーから食パン一袋分をカゴに入れていく。
するとケンスケがジャムを持って戻ってきたが、彼が持っていたのはイチゴジャムだった。
「ケンスケ、買うジャムはイチゴじゃなくてブルーベリーよ?」
「ブルーベリー探したんだけど無かったんだ。一応お店の人にも聞いたんだけど既に品切れだって」
「仕方ないから代わりにイチゴのを買っておくことにしましょ」
「それもそうだね。お母さん、別に怒ったりしないだろうし」
会計を済ませ、手持ちの手提げバッグに荷物を入れて店を出る。
「お姉ちゃん、買い物も終わったことだし本屋に行こうよ!」
「そうね、まだ時間もあるし」
近くの本屋に入ると、カナミとケンスケは一緒にコミック雑誌を立ち読みして楽しむ。
「うわあ、もうここまで話進んでたんだね。もうラスボスじゃないか」
「ということはもう最終回も近いのかも」
「欲しいけど今お金ないしなあ」
「また今度来た時に買いましょ」
しかし漫画に夢中になっていた2人は時間がかなり経っていることに気付かず、
外に出てみるともう薄暗く、太陽が沈みかけていた。 使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』から1つ以上選択
【バカップルの片割れ】(1/2)
冬の寒空に白い吐息が昇っていく、満点の星々が輝く夜空に、肌を指す乾いた冷気、久し振りの外出で冬の寒さを忘れていた俺には些か厳しすぎる環境に思わず二度目の溜め息をこぼす。
ふと後ろを振り返れば参拝客がずらりと並んでいる、随分と長い間並んでたんだなとその列の長さを目安に時間を計り、そして前を見てげんなりする。
残念ながら後ろに並ぶ参拝客よりも前に並ぶ参拝客の方が多いようだ、周りの連中はホカホカのコートやダウンジャケットを着ているが、俺は部屋着同然のパーカーだけ…………流石に凍え死にそうだと両腕を抱く。
「独り身はつれえなぁ」
なんて呟いてみても後ろのバカップルの頭にくる騒がしさに呑み込まれて消えていく、て言うか後ろのバカップルの片割れ……特に男の方に見覚えが有るような? 【バカップルの片割れ】(2/2)
もう一度
後ろを振り返り確認する、普段はボサボサの髪を整え、ダサいスウェットをなんかオシャレな服に着替えたその男…………髭も剃ってるしほぼほぼ変装レベルで原型がないがやはり知り合いだ。
「(仕事サボって何やってんだコイツ)」
コイツは今現在仕事中の筈だが? つか今月のネームまだなんだが遊ぶ暇あんならサッサとしてくれよ…………
なんて言い出せる雰囲気ではないな、つか業務外で関わりたくない、まあそんな理由で俺は賽銭箱に百円を投げて彼女が欲しいと願ってから家に帰った。
「カロメにジャム…………元旦だぞ餅食えよ俺、いや美味いよ、美味いけどさ」
一人暮らしを初めてからどんどんと適当になっていく自分の食事に自分でツッコミ、炬燵の上でノートパソコンでTwitterを確認しながらジャムを塗ったカロリーメイトをつまむ、自分でやっといて自分で虚しくなるやりとり 【遠い帰り道】(2/3)
時計を見てみると4時50分、ほぼ5時が近づいていた。冬が近いため太陽の沈みが早い。
「どうしようお姉ちゃん、早く帰らないとマズいよ」
「そうね、急ぎましょ!」
カナミとケンスケは家路を急ぐ。両親からは門限は6時と決められており、
まだ1時間ほど余裕はあるものの、日が暮れて真っ暗になると何かと物騒だ。
「とにかく今は何も考えずに家へと一直線よ!」
とにかく必死に走っていたため、手に持っているバッグがブランブランと激しく揺れる。
その拍子に中に入っていたイチゴジャムの瓶が落ちてしまった。
「あっジャムが!ケンスケ、バッグ持ってて!私が取ってくるから!」
「了解!気をつけてね!」
カナミはケンスケにバッグを渡すや否や、土手を転がり落ちていくジャムの瓶を追いかける。
「待てー!ジャムの瓶ー!」
しかし足下に落ちている小石に気付かなかったカナミは足を取られてしまう。
「ワッ、ワワワワッ!!」
カナミはそのまま近くの川にバシャーンと落ちてしまった。
それを見たケンスケは急いで土手を下り、姉の方へと駆け寄った。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
「だ、大丈夫よケンスケ。川に落ちただけよ」
なんとか川から這い上がり、びしょ濡れになったカナミをケンスケはハンカチでできる限り拭いた。
「タオルが無いからハンカチで我慢してね」
「気にしなくていいわよ。ケンスケのせいじゃないんだし」
すると草むらの中からゴロゴロと転がるジャムの瓶が現れ、2人の目の前でピタッと止まった。
「本当に人騒がせな瓶ね、まったく…」
「(別に瓶のせいでもないんだけどね…)」
多少体が濡れてしまってもカナミは気にせず、立ち上がると再びケンスケと共に家路を急ぐのだった。
「さ、家へと急ぐよケンスケ!」
「了解お姉ちゃん!」 に呆れた笑いが溢れる、そんな中、監視用サブアカウントのタイムラインに例の馬鹿が漫画を流している事に気付いた。
「なんだコレ、初詣に行った報告漫画か?」
そう呟いてからそれを読んでいく俺。
「彼女と初詣に行ったら前にパーカー一枚だけで寒そうな人が居て? しかも独り身はつれえなぁとか精神的にも寒そうで、なんだこの人寂しいなと思ったら担当だった!? ふざけんな!」
急いで公式アカウントに切り替えた俺はtweetのリプ欄に、「こんな漫画書く暇あるなら仕事しろby担当編集」と投下した。
するとすぐに通知が来た、あの馬鹿に“いいね”されましたと………………
「……………………」
ーーFinーー
すいません書いてる途中で間違って投下しちゃいました 【遠い帰り道】(3/3)
冬が近いため、風も冷たくなりピューピューと吹きつけてくる。
「さ、寒い…昼間は割と暖かかったのに…これだったらダウンジャケット着てくればよかった」
「そ、そうだね…今に雪でも降ってきそうなくらい…」
家への道のりが段々と遠のいてくように感じ、2人の足取りは次第に重くなっていく。
その途中、カナミがバタンと倒れてしまう。
「お姉ちゃん!しっかりして!家までもうそう遠くはないはずだよ!」
「ケンスケ、私もうダメかも…ケンスケだけでもいいから家に無事に帰って…」
「冗談はやめてよ!諦めないで!」
「私はケンスケさえ大丈夫ならそれでいいの…」
すると近くから良い香りがしてきた。それはハンバーグの香りだった。
「こ、この香りはきっとハンバーグ!確か今日のご飯はハンバーグってお母さんが言ってた!」
そのハンバーグの香りでカナミはピョイッと飛び起きる。よく見るともう自宅の数メートル手前まで来ていたのだ。
「お姉ちゃん、家はもう目の前だよ」
「こ、ここまで来ていたのねアハハ…」
何とか無事に家に戻ってこれた2人。なんとか6時までに帰ってこれたため両親から咎められることは無かったが、
なるべく暗くならない内に早めに帰ってくるように注意されたのだった。
美味しい母の手作りハンバーグを楽しんだ後、お風呂を済ませ、パジャマに着替えたカナミとケンスケはベランダに出る。
「見てよお姉ちゃん。今日の夜空はすっごく綺麗だね!」
「冬が来たらもっと綺麗かも。あっ流れ星!」
「えっ!?どこどこ!?」
「ウフフ冗談よ!」
「もう!お姉ちゃんのイジワル!!」
そして2人は部屋に戻るとベッドに入り、スヤスヤと眠りに落ちるのだった。 >>47
>>52
感想ありがとうございます!
定休日をちゃんと決めて、しっかり休んで楽しもうね!というお話でした
はい、レイチェルとライアンを物陰から見守る少女はあのジュディちゃんです
それからシチリア編に突入してから結構話が進んだなあ、と書いててそう思えてきました
もしシチリア編の次の新章を作るとしたら、と想像したらワクワクが止まらないです
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです! >>37
使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』
【コメ欄に夢と妄想と現実逃避を】
“いいね”という言葉は一度貰うともっと貰いたくなる物で、いいねは麻薬なんて言葉もあるくらいだ。
例えばYoutubeのコメント欄に現れるいいね稼ぎ、あまり露骨な者は嫌われる事もあるが、いいねを貰いたいから積極的に新着動画に面白いコメントを残そうなんて考える者も多いことだろう。
かく言う私もその一人だ、新幹線で職場の最寄り駅から家の最寄り駅まで移動する数時間に私はそのような作業に明け暮れる、ヘッドホンから聞こえてくる企画系YouTuberの笑い声に吊られて笑いながらコメントを作成する。
「パンツを何回重ねて履けるかの企画でズボンをパンツと言い聞かせてズボンまで重ねるとはwwパンツもズボンも結構な厚さになってたから次の企画ではダウンジャケットを重ね着してズングリムックリしてる○○さんがみたいなぁ[電柱]∀ ̄)チラッ」
「うおおアニメ放送楽しみ! このPVの夜空のクオリティが維持できるんなら覇権まったなし! この夏は放課後天文部で決まりですね!」
「犯沢さんに変装して殺人現場を再現するドッキリってどっかで見たような…………あっ、はじ」
1.25倍速で動画を視聴し、再生回数の安定してるYouTuberとコメ欄の荒れるYouTuberにコメントを投下、あとは通知を待つ、こうして仕事の疲れを癒すのが俺の日課だ。
あと、自分の別アカのチャンネルの動画に「常にジャムってるマシンガントークww」と自分の口下手さを茶化すコメントを残してパソコンを閉じた、新幹線を降り自分の日課に思いを馳せる。
「かなり下らないな」
けど、毎日毎日やってるんだから、どっかの界隈では有名人だったりしないだろうか…………専用スレが建って実況されてたりしないだろうか……………… >>37
メモ
>>55、>>58、>>60【遠い帰り道】
>>56、>>57、>>59【バカップルの片割れ】
Webブラウザでご覧の方は、各レスのIDの所をクリックしてみましょう
同じIDのレスがハイライトされて、見やすくなります 感想を書く間もなく作品だらけにw
いや確かに幸先はいいけど
とりあえず、>>55さんと>>56さんには、下書きすることを覚えてもらわないと
書き終えるまでスレを止めたり、割り込んだ上に途中で送っちゃったり、やっぱりそれは困る
テキストエディタやなろうの執筆機能で原稿を完成させて、それをコピーして貼り付けるようにしてください 人が増えたら投下宣言もルール化した方がいいのかねえ まぁ、増えたら、ですね
大体いつも過疎ってるしw
>>48
ようこそー、、なんか時々やたら上手な人が湧くスレになってるw
詩的と言うか文学的と言うか、アンニュイな雰囲気と筆力を感じさせる地の文が成功してますね
このお題からこのテーマが出てくるのも面白い
>>55
そして待望の続編w
なるほどジャムからうまく話を繋いだなぁー、って感じですね
と言うかお姉ちゃんが風邪を引かなくて良かったですw
>>56
ともかくウェルカムバックですー
なんか生活感あるw
一人で薄着で初詣など行くものではない><
>>63
これまた面白い消化の仕方w
いいねボタンが欲しくなるなぁ >>69
感想ありがとうございます、56と63を書いた者です、余りに久々で不手際は有りましたがこれからもよろしくお願いします。 >>55
55氏が別シリーズでお題を宣言、『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』! おうちからの懐かしき匂いを目指して〜
さあ、ブラコンのカナミさんとケンスケくんによるあの仲良しすぎる姉弟が再来だ〜、母からおつかいを依頼された二人が『ジャム』、食パンなどをスーパーより購入〜、
日が暮れて真っ暗になると何かと物騒、と慌て急ぐカナミさんのバッグからジャムの瓶がこぼれ出て、土手を転がり落ちていく〜、ストーリー的に必然、カナミさんが川にINだ! 一息ついたあとに草むらから出てくるジャム瓶w
瀕死の極寒ダメージを負ったカナミさん、『ダウンジャケット』を着てくれば…と唐突に倒れてしまうッ、いわく、私もうダメかも…! しかし、ここでハンバーグの匂いがしてきて蘇生w
ラスト、今日の『夜空』はすっごく綺麗だと、二人の小冒険トラベルは幕を閉じる、安穏マイホーム・フィニッシュで55氏が宣言お題を攻略、おやすみクリアでノスタルジー!
>>56
豊作で混乱したスレが進行氏の堅実な仕切りを発動させるw 飄々と56氏がトライ、全選択! カロリーメイトと俺とツイート〜
さあ、ときは年始、主人公の編集氏が初詣に繰り出す〜、満点の星々が輝く『夜空』のもと、ホカホカのコートや『ダウンジャケット』を着ている参拝客を横目に編集氏は部屋着同然のパーカー、一体どうした
そこに普段からは『変装』レベルのまともな装いで現れた作家とその彼女〜、編集氏、サボってんじゃねーと思いながらもこれを無視! Twitterを確認しながら元旦に食べるのは『ジャム』を塗ったカロリーメイトだw
絶望の状況に追い討ちをかけるのは、監視用タイムラインに流れる漫画〜、例の作家の報告漫画が編集氏をおちょくりツイート、編集氏の怒りのコメント、そこに『いいね』がついてオチとなるw
56氏、溢れる叙情と生活感で設定お題×5を全消、なんだか応援したくなる独身短編、彼女できるといいねw 気の早い年始フィニッシュをエモーショナルに決めたァ! >>63
で、全選択を連続するのかw お題がハマった模様の63氏が連覇・偉業に手をかける、ツイートは誰がために鳴る〜
さあ、語り手が『いいね』は麻薬なんて言葉もあるくらいだと、独白を開始だ〜、新幹線で移動の数時間にYouTuberへのコメントで時間を潰し、いいねを待つ日々、
いわく、次の企画では『ダウンジャケット』を重ね着してズングリムックリしてほしい、このPVの『夜空』作画が維持できるんなら覇権だろう、『変装』して殺人現場を再現するドッキリってどこかで見たような…等々、ひとひねりなコメントの数々w
自分の動画には、常に『ジャム』ってるマシンガントークと銘打ち、パソコンをとじる〜、毎日毎日やってるんだから、どっかの界隈では有名人だったりしないだろうかとひとりごち、変わり映えせぬネットライフw
>>56に続き、どこか寂しさ滲む、63氏こういうの得意だなw 軽妙と叙情で全選択をささっと二連覇ァ、主人公が幸福になる続編よろしく頼んだ! からっかぜフィニッシュだ! >>73
感想ありがとうございます56と63です、続編はそれを捻り出す能力が残ってたら頑張ってみようかと思います(笑) >>75
週末は投下が集中するから賑やかだけど平日はそんなにって感じだった気がするけど今はどうだろ………… まあまあじゃない。
週末になると5作ぐらい作品くるし。 >>69
>>72
感想ありがとうございます!
まだ始まったばかりですが、仲良し姉弟が繰り広げるドタバタほのぼのな日常物語(時々非日常?)は
ドンドン続いていきますのでどうぞお楽しみに!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです! >>37
お題→『夜空』(1/2)
「湊の部屋くんの久しぶりぃ。お、ダイエットフードがある。またやってんのぉ? 何回目ぇ?」
「忘れた。けど大丈夫。今度こそ成功させる」
「成功させる? そーれーはー、好きな人できたからぁ!? きゃははっ。めっちゃウケる!」
ぶーっと吹き出した友達の桃は、ひっくり返ってミニスカートから伸びた足を豪快にバタつかせる。
唯一の友達に何も言い返せないダイエット負け組の私は、ストローで残りを飲み干して恥ずかしさをやり過ごす。
笑い終えてすっきりした顔になり、胡座をかいた桃はふと窓の方を見た。
「あ、サボテン育ててんだあ。あーし、水やりすぎていっつも枯らしちゃうんだよねえ。愛情キャタピラーっつうの?」
「サボテン枯らすのって相当だね……。ていうか、まさか愛情過多のことじゃないよね。よね?」
「あ? 間違えてねーだろ。男友達がさあ、キャタピラーとかスラスターとかやたら横文字使うんだよねー。覚えちゃってさあ」
「そう、男友達がね……」
「へへ、男と話してると頭よくなるんだぞ。みなトンも早く痩せてモテな」
「うん……」
「みなトンって暗いよなー。黒魔術とかやってそー。げ、本当に持ってっし」
今度は本棚を見て、桃はうわーっと口に手を当てる。
桃は中学までは地味な子だったのに、高校デビューして姿も性格も激変してしまった。
スレンダーでお洒落でスクールカーストのトップ。
未だぽっちゃり陰キャの私は、こうして大人しくダイエットに励むくらいしか彼女に追いつけるすべがない。
「そんなみなトンにぃ。ダイエットが成功するよう祈ってトリックオアトリートン。はいこれ!」
「トンは流石にやめて欲しいな……」
と言いつつ、口元がにんまりと緩む。桃はどんどん変わっていくけれど根は優しい子なのだ。ていうか唯一の友達だから優しくないと困るのだ。
「ありがと。でもごめん。私用意してないや。……何これ。枕カバー? え、お菓子が入ってる」
「そ、枕カバーの中にぃ、みなトンが大好きなマーブルチョコをいぃっぱい入れたからぁ。好きな時に好きなだけ食べるといいヨ!」
「へ?」
「だからぁ、あーし愛情キャタピラーだからぁ。いぃっぱい水あげてみなトンを枯らすのさぁ」
「なっ、何それ。私、ダイエット中って言ったじゃない!」
「ガタガタうるせーなあ」
桃は笑いながら私の腹の肉を掴む。真顔になり、声を一段低くした。
「――毎日見にくるからな。枕カバーは絶対捨てるなよ。捨てたら絶交だからな」
桃は本当に毎日うちに来た。そして減っていくマーブルチョコを見ては追加を補充していった。
これはいじめだ、と私は悟った。いつかは桃との関係が変わるかもしれないと思っていたけれど。まさか本当に桃が友達じゃなくなるなんて。
コーンと甲高い音が夜空に鳴る。
私が藁人形に釘を打ち付ける音だ。桃の写真は持っていなかったから、撮った桃の画像をスマホに表示して、そのまま藁人形ごとコーン。バッキバキに割れていくスマホに快感を覚える。
「許さない。絶対に許さないぃ。桃ぉ。ブクブクに太ってキャタピラに踏み潰されるがいい! スマホなんぞ惜しくもないわ。だってもう誰とも連絡する必要ないしっ!」
泣きながら、口の中いっぱいに詰めたマーブルチョコをガリガリと噛み砕く。甲高い音は連夜続いた。 お題→『夜空』(2/2)
二ヶ月後。姿見の前で信じられないと頬を押さえる私を見て、桃はニヤニヤ笑いながらベッドの上でマーブルチョコをつまんでいた。
「みなトン改め、みな鶏ガラ! ダイエット成功おめでとー!」
「桃、私、ハロウィンからどんどん食欲が落ちていったの。どうしてだと思う……?」
「マーブルチョコだよ。それしかないっしょ」
「え、あの枕カバーが……?」
「男がさあ。『アメリカで成功例のあるダイエット法だよ』って教えてくれたんだよ。
食べすぎちゃう人って不安だから栄養を貯めよう貯めようとするんだって。だから逆にいっつもそばに食べ物がある状態にすると安心してフツーの食欲になんだってさ。人間って訳わかんねえよなっ。きゃははっ。面白っ」
「……そうならそうと言ってくれれば」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「言ってないよ!」
「だっけ? ま、いいじゃん。あーし、サボテンに水やりすぎる人だからさあ。やりすぎて湊の脂肪枯らしちゃったってね。てへ」
小さく舌をだす桃の笑顔を見ているのが辛い。
私は無言で立ち上がり、机から新品の藁人形をとりした。自分の顔に押し付ける。
「何それぇ。仮装? ハロウィンもうとっくに終わってんだけどぉ。え、何これ釘ぃ?」
釘とトンカチを押し付けると、桃は訳がわからないという顔で私と手元を交互に見る。
「打ち付けて」
「え?」
「お願い! あなたを疑ったどうしようもなく愚かな私を打ち抜いて。早く! お願いぃ」
「ちょっ、泣いてる!? えーキモ。湊ってキモトンだねー。男の前ではやめろよ。これからモテモテになるんだろ。キャハハッ」
「やめてぇ、お願いぃ」 今週はどうしてしまったの・・・
やっぱり作品数が多いと、書いてみようという気になりやすいんでしょうか
>>80
そしてまた毛色の違う、お題ほぼ関係ない話w
うーん>>48さんもそうですけど、うまい人のシュアな、、つまりその、手堅さを感じた
前半下げて後半種明かしは、ドキドキして面白かったですw
あと業務連絡ですが、タイトルの指定がなければ、作品一覧では【無題】となります >>80
秋の夜長に短編ファイター揃い踏み、80氏の選択指定は『夜空』一択! 釘と夜空と私と友と!
さあ、ダイエットを成功させると意気込む黒魔術系女子、みなトンこと湊さんの部屋にスクールカーストのトップ登場〜、現れた桃さんは、きゃははっ愛情キャタピラー、トリックオアトリートンなどと言いながら、
マーブルチョコを枕袋いっぱいにプレゼント〜、あの〜ダイエット中なんですけど、と尻込みする湊さんに、桃さんはドスをきかせて食えと押しつけェ! 思わず『夜空』に藁人形の打ち付け音を響かせる湊さん、さすがだなw
しかしダイエットは成功!? 桃さんの狙いは初めから食料過多による食欲の麻痺〜、高等戦術だw みなトン改め、みな鶏ガラが親友の思いやりをみて反省のあまり、自分に釘を打ち付けさせようと迫る、
友情復活ENDォ〜80氏、お題『夜空』をストーリーの山場、情景に使用〜、起承転結できっちりまとめたフレンドシップ・ストーリーがニコニコでお題クリアーだ! >>82
感想ありがとうございます
本当にお題あんまり関係ないですねw
もう遅いかもしれませんが、タイトルは【友情藁人形】でお願いします
>>83
おお、実況してもらうの初めて
しかも作品より面白いw
感動です!
楽しかったです。ありがとうございました あ、ところで次回のお題
企画を予告しましたが、今の流れだと、企画なしの方がいいような気がしてきました
そのつもりでいた方には申し訳ありません >>82
>>48ですが、単純に今週辿り着いたんですよね……
久々に見たら「よくわからないお題」スレ死んでるなぁと思って類似スレを探した結果でした
投稿用の長編が行き詰った時とか、お題を貰って勢いで書くの楽しいし気分転換になって好きです なるほどー
ここは結構長いこと続いてるので、またいつでもご参加くださいw >>37
使用するお題→『ジャム』『いいね』『夜空』『ダウンジャケット』
【バカップル漫画家と独り身編集者】(1/2)
「え? なんて?」
突然のことで自分でも間抜けな声だとわかる声が出た、いつもの癖で訪れたファミレス、いつもの時間、いつもの混雑具合に絶妙な居心地悪さを感じながら、手に取ったジャムサンドを再び更に戻した。
「別れよう…………って言ったの」
寝不足だからか、彼女から出るはずのない言葉が発せられたような気がしてくる、しっかりしろよネガティブなんてらしくねえぞ俺。
「デートに誘っても仕事ばっかり、スランプで書けなくなったときの気分転換の為にキープされてるみたいでいい加減いやなの」
不機嫌なようで今にも泣き出しそうでもある彼女、そんな彼女は見たことなくて、悪夢にしてはリアル過ぎて……………………
いや悪夢を見てる時はそうと気付けないもんだよ、どんなにリアルに感じて危機感を抱いても、起きてみりゃデキの悪い偽物だったなんて良くあることだろ俺。
「この前だって、アタシと一緒に初詣に行ったときより帰ってから漫画書いてる時の方がずっと楽しそうだった!!」
「そんなこと!!」
思わず怒鳴った、流石自分の夢だ突かれたら痛い所を確実につついてくる、いや……………………夢な訳ないか、自分にとことん甘い俺が、彼女を怒らせたままの夢を見るなんて有り得ない。
「………………ない、いや有る、確かに楽しいよ、楽しくなきゃやってらんないよ、でも………………いつも楽しい訳じゃない、君が何よりも必要な時だってある!」
「そういうの………………都合のいい女扱いって言うんじゃないの!?」
彼女の言うことは全部事実だ、言い返しようのない程のド正論だ、だから俺は取り繕わない、彼女がクズ丸出しの俺を嫌いになるなら、確かに俺達は彼女の言うとおりに別れるべきなんだろう。
「………………都合のいい、君が好きだ」
そうして、俺達はバカップルを辞めた。
痛む左頬を抑えて窓の外を見る、真っ暗に曇った夜空を明るい街の光が照らす、いつの間にか降り出した雨は異様に静かで、繁盛するファミレスの喧騒が意識と共に遠くなる。 【バカップル漫画家と独り身編集者】(2/2)
濡れたダウンジャケットを椅子の背にかけて、変装なみに身嗜みを整えた馬鹿の向かいに座る。
「振られたか?」
左頬に小さな女の手形を残したソイツは俺の言葉に目を覚まし、締め切り前より虚ろな眼をしてこっちを見る、バカップル丸出しだった元旦から一週間もたってないが、どうやら女に振られたらしい。
「打ち合わせのついでにデートってのは…………やっぱマズかったんじゃないか?」
「もっと根本的にマズかったみたいです」
普段の小汚い姿を思えば、まあ奇跡みたいなお嬢さんだったが、やはり駄目だったか。
「………………そうか、根本的に駄目だったか、まあ付き合ってみて合うか合わないかはガチャみたいなもんだしな、俺みたいに一人も当たりを引けないままって可能性も無くはない」
「下を見せて安心させようとするのやめてください惨めになります」
涙声で情けない事を言う馬鹿に思わず笑みがこぼれる、俺が慰めようとしてるように見えるらしい。
「ばーか、慰めてねーよ、明日は我が身って言うだろ? お前もこのまま俺みたいになるんだよ、むしろその方が仕事もはかどる」
まあ、編集としては身の回りの世話をしてくれる人が居ない独身作家は気を使うからサッサと配偶者と言う名の介護要員が欲しいところだが、個人的にはこないだの漫画の礼に沼に引き込んでやりたい気分だったりする。
「まあ」
それに。
「忘れたいなら漫画を書け、忘れられる」
いつまでも惚れた腫れたで編集を煩わせる作家で居られちゃ困るってのもある。
「悲しいなら、怒りたいなら、あるいは生きるのが辛いのなら、漫画を書け表現者、どんなに下らない感情でも、お前が書いたら金になる、無駄にならない、俺がさせない」
コレから一生、面倒を見ていくんだからな。
「俺は編集者で、お前は漫画家なんだからな」
……………………
………………
…………
……
俺のこのこっぱずかしい言葉が“いいね”と“リツイート”で日本中に流される事になるとは、この時の俺は思いもしなかったのだが。
ーーFinーー
続編です >>37
お題:『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』
【デビルアンドクラウン】(1/2)
ハンドルを乱暴に切りながら、バックミラー越しに銃を向ける。
破裂音を置き去りに、撃鉄が落ちた数だけ追っ手は減っていった。
先頭を走る古びたシボレーは、蛇行を繰り返しながらも、後ろから追従するカマロやハマーからの銃撃を何とかかわして居る様子だった。
「凄い物だね、流石は組織ナンバーワンは伊達では無かったって事かな?」
『カカッ! 今日もブラザーはごっ機嫌の様だな!!』
「黙れ」
シボレーの車中に居るのは一組の男女。
だが、その二人の温度差が、決して色っぽい関係ではない事を物語っていた。
男の名は中川 翔。元殺し屋で、現逃亡者。
少女は、元同業者で、現同行者。
“フェイスレス・ザ・パペットマスター”……こう見えても、一流の殺し屋である。
そして、翔が握っている銃こそが、彼が追われる理由であり、そもそもの元凶。
“コルト・シングル・アクション・アーミー『ピースメーカー』”
数多の血を啜り、やがて自我をも宿すに至った妖銃である。
追っ手である組織は、ピースメーカーを崇拝する狂信者集団でもあった。
ターン!
乾いた音が響き、追っ手がまた、その車ごと減る。
「フム、このままなら、僕の出番は無さそう……」
ギロリッと、翔が睨み付ける。
「と、思ったが、少しは働かないと、家主がうるさそうだね」
パペットマスターが、指で銃の形を作ると、引き金を引く動作をする。
と、追っ手の1人が、突然、隣の運転手を撃ち殺した。
「僕の“人形”は、どこにでも居るのさ」
硝煙を吹き消す仕草をしながら彼女が言う。
一瞬、瞠目していた翔だったが、しかし次の瞬間、凶悪な笑みを浮かべた。
「いいね! 思っていたより、お前は良い拾い物だ!!」
「拾い物って……」
そう言うと翔は、無造作にハンドルを切り、シボレーをターンさせると追っ手達の車に突っ込んで行く。
「ちょ! 君いいぃぃ!!」
「クククッ!!」
『カカカッ! 全く、今日は良い殺し日和だ!!』
「き、君達いいいぃぃぃぃ!!!!」 【デビルアンドクラウン】(2/2)
******
はぁ……と、吐く息が、白い尾をなびかせる。
ボンヤリと夜空を見上げながら車にもたれ掛かっていた翔は、しかし次の瞬間、ピースメーカーを抜き放っていた。
「やれやれ、君は本当に隙がないねぇ」
『カカッ、ブラザー程、他人ってヤツを信じていない人間も他にゃあ居ないからな!』
「黙れ」
両手を上げ、片手にジャムったコルトガバメントを持ったパペットマスターを見た翔は、苦虫を噛み潰した様な顔をする。
パペットマスターは寒さ故か頬を赤く染めながらもニヤニヤと笑みを浮かべた。
「やっぱり、殺気を持たない相手は殺さないんだねぇ」
空砲を撃った瞬間にピースメーカーで銃口近くを撃たれたせいで、銃をジャムらされたパペットマスターが、半ば呆れながらもそう言う。
おそらくわざとジャムらせる事で、次弾を撃てなくしたのだろう。
彼女は、しばらく翔と同行していた事で、彼が自身に殺意を持たない相手を殺さない様にしている事に気が付いていた。
「しかし、まぁ、君も良い肝っ玉をしているね」
「……」
「追われている身でありながら、簡単な変装すらしないで、そうやって堂々と姿を晒しているのだから」
『カカッ! 突っ込むのはそっちの方かい? シスター!!』
「当たり前だろう? 本人のジンクスやポリシーなんて、他人が突っ込んで良いもんじゃ無いだろう?」
そんな言葉に、翔は益々渋面を作る。
彼が黙り込んだ事で、ピースメーカーが愉快そうに笑い声を響かせた。
『カカッ! そう言うシスターのソレは、変装のつもりかい?』
「当たり前じゃないか、当然の行動さ」
翔が舌打ちをする。
パペットマスターの今の姿は、赤いワンピースに白のダウンジャケットと白い手袋に黒のパンプス。
それだけでも場違い感が半端ない所に、某ネズミ耳と尻尾まで装着しているのである。
もはやそれは、変装と言うより仮装だった。
「……足手まといなら捨てて行く」
「それは問題ないとしておこうか。僕の真骨頂は自分で戦う事じゃないからね」
朗らかに言うパペットマスターに、翔は再び舌打ちをした。
確かに、彼女の術は、他者を人形の様に操ると言う物であり、彼女自身が巧みな暗殺術を持つ訳ではないからだ。
翔が無言で車に乗り込むと、パペットマスターもスルリと助手席に滑り込む。
そして車は、再び逃亡の旅へと舞い戻ったのだった。 >>37
使用お題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』
【北の国】(1/3)
異世界に転生した俺は、しかしなんの因果か、気付いた時にはスライムだった。
青かったり赤かったりする、ぶよぶよで半透明のあれだ。
「……――……――――……」
モンスターがはびこる森の中、俺は一人だった。いや、一匹だった。
仲間はおらず、たまに同族を見付けても、コミュニケーションの一つも取れなかった。
およそスライムというものは、例えばちょっかいをかけてみても、ずるずると逃げるばかりで、てんで話にならないのだ。
「……――、ス――――…………」
他者への関心が薄いのか、そもそも知能が低いのか。
こちらへ来て間もない頃の俺は、そんな風に考えて、同族を見下していた。
「……――い、――――……――――……」
ところで、スライムの食事というのは腐肉あさりのようなものだ。
森の中を移動し、モンスターの死骸を見付けては、骨まで溶かして吸収する。
それが俺の、俺たちの日課だった。
「……お――……――――…………」
ずっと違和感があった。
おかしいな、とは思っていた。
ただそれはあまりにも小さなサインで、だから俺はその日まで、気付かぬ振りを続けていたのだ。
「……――――、スラ――――……」
あの日。
スライムとして、モンスターとして、まどろみの中にいた俺。
そんな俺の意識を大きく揺さぶる出来事が――――
「――――おい、スラ太郎!」
『おおおぅ! びっくりした!』
急に大声を出すな。心臓に悪いわ。
「さっきから呼んでるのに、返事をしないから心配したぞ」
ま、スライムに心臓はないんだが。
「それでスラ太郎」
『その名前で呼ぶな! 目玉の父さんにも呼ばれたことないのに!』
「……何言ってるんだ? おかしなやつだ。いつものことではあるが」
今の俺には仲間がいる。
「もうすぐ次の町に着くぞ。まったく、姫に歩かせて自分はお昼寝する従者だなんて、前代未聞だ」 【北の国】(2/3)
ねずみ色の空が頭上に広がる。まぁ、スライムに頭はないんだが。
「ふむ。並んでるな。我が従者よ、大人しくしておるのだぞ」
『分かってるよ。今回は大丈夫だといいなぁ』
俺の頭上ではなく、仲間の頭上だ。
仲間の足元には石畳。前方には立派な城壁と、行列。
「……あれは大失敗であった。スライムの浅知恵など、ろくなものではない」
モンスターの侵入を阻む城壁。城門には検問所。
ここの領主は、元はダウンジャケットの発明で財を成した商人で、この大都市を一代で築き上げたらしい。
『俺のせいかよ。姫も賛成したじゃねえか』
「ああ賛成したぞ。だから過去の失敗を反省しておるのだ」
このような大都市では、通常、モンスターの持ち込みが禁止されている。
しかしながら、俺はスライムでモンスターだ。
前回も今回も、俺たちには検問を突破するための作戦が必要だった。
「卑小なスライムの口車になど乗せられて、とんだ過ちであった」
前回の『豊胸エルフ作戦』は大成功だった。あとスライムには口がない。
『失敗』だったのは目立ち過ぎたことだ。検問を通過した後、変なやつらに目を付けられて大変だったのだ。
『まぁ、今回は大丈夫だろ』
「そう願いたいものだ」
俺たちは行列に並んだ。検問所が遠い。
寒空に震えながら待つこと久しく、ようやく先頭の様子が見えた時、俺たちの目に映ったのは奇妙な人物だった。
「なんだありゃ」
「知らんのか。ご領主様だ」
震えていたのは俺ではなく、主に俺の仲間の方だ。それと、言うまでもないことだが、目のあるスライムなど存在しない。
俺たちの前に並んでいた男が、俺の仲間のつぶやきに応えて説明する。
「ああして時々、検問に立ち会われるのさ。風船人形みたいだろ。あれはわざとだ。本人は『寒いから』とかおっしゃってるが、あの衣装でダウンジャケットの街を売り込んでおられる」
風船とかダウンジャケットとか、そんなレベルじゃない。ぱんぱんに膨らんで、ともすると、丸々と太ったスライムのように見えなくもない。倒れたらそのまま転がっていきそうだ。
「いつかは俺もああなりたいものだ。ところであんた、エルフか。珍しいな」
言っておくが、スライムは転がったりしない。
「うむ。いかにもエルフだ。こんな北の果てまで足を伸ばす同族もおらんだろう。珍しいエルフに出会えた幸運に感謝するが良い。珍し過ぎて、拝観料を取ってもいいくらいだ」
「ははあ、あんた面白いな。ちょっと待ってくれよ……。俺はこういう者だ」
そんなやり取りをするうちに、検問の順番が回ってきた。
俺たちの前の男は、顔パスか、というくらい簡単に通過すると、こちらを見て軽く挨拶してから、門の中に消えた。
次は俺たちだ。 【北の国】(3/3)
仲間が応対する間、俺は風船領主を観察していた。
検問の職員たちの背後、一段高い場所で、椅子に踏ん反り返っている。
遠くからは分からなかったが、顔を見ると、枯れ木のような老婆だ。
なるほど、羽毛で目方を増やしてるのか。
「おい、それはなんだ」
その枯れ木が不意に言葉を発した。職員の一人が答える。
「はい、ジャムだと申しております」
今回の作戦。『瓶詰めスライムジャム作戦』だ。
俺はジャムだ。
「ジャムねぇ……。おい、ちょっとそれをこっちへ寄越しな」
仲間の荷物から俺の入った瓶が取り上げられる。職員が手に持って移動し、領主が両手で受け取る。
領主が俺をじっと見る。
「おい、スラ太郎」
*
俺と領主は夜空に浮かんでいた。
「下手な変装だ。それでごまかせると思ったか。おい、なんとか言え、スラ太郎」
「違うよ、俺はジャムのおじさんだよ!」
「なら、そっちのエルフはバターの小娘か。馬鹿も休み休み言え」
むむむ。
「まさかあんた」
「転生者だよ、あたしは。そっちもだろう。予言があったんだ」
俺たちは普通に話せている。口のない俺と、転生者であるらしい領主。
「予言、って……。俺以外の転生者には初めて会った」
「そうかい。とんだ田舎者だね。結構多いんだぞ。スライムになってるやつは初めて見たが」
仲間の姿も、検問の職員も、城門も見えない。この空間には俺たち二人しか存在しないようだ。
「いやあ、イキリスラ――」
「ちょちょちょっと待て! 俺はイキってないし、チートでもないぞ!」
この世界には、転生者が持ち込んだと思われる、有名な物語が存在していた。
「そうかい。まぁいい。ともかく人格には問題なさそうだね。ここは通してやるから、後であたしの家に顔を出しな」
*
俺たちは検問を通過した。
「転生者の領主か」
『ああ。ダウンジャケットの発明……。知識チートだったわけだ』
「チートか。物語の英雄のようだな」
ねずみ色の空が暮れてきた。とりあえず宿を探そうか。 いいねをさがせ!
・・・遅刻と締め切り延長大変申し訳ない お題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』締切
【参加作品一覧】(1/2)
>>44【定休日は有意義に過ごそう】
>>48【最低で、ごく普通で、いちごジャム色の夜】
>>55【遠い帰り道】
>>56【バカップルの片割れ】
>>63【コメ欄に夢と妄想と現実逃避を】 【参加作品一覧】(2/2)
>>80【友情藁人形】
>>89【バカップル漫画家と独り身編集者】
>>91【デビルアンドクラウン】
>>94【北の国】 そして通常お題5つ、よろしくお願いいたします
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