>>109
使用するお題→『限定スイーツ』『バイオリン』『歯がゆい』

【弟とチョコタルトを守れ!】(1/3)

ある朝の7時のことだった。

「お姉ちゃん、もう7時だよ!早く起きてよ!」
「うーんムニャムニャ…って、もうそんな時間!?」

弟のケンスケの声で飛び起きるカナミ。今日は商店街にある喫茶店にて、限定スイーツとしてチョコタルトが販売される日だった。
喫茶店の開店時間は毎朝9時。限定チョコタルトを確実にゲットするため、開店の2時間前には並んでおこうと、昨夜ケンスケと計画を立てていたのだ。
6時に起きて準備して家を出るつもりがもう既に7時。目覚まし時計を忘れずにちゃんとセットしていたのだが、どうやら夜に電池切れを起こしてしまい鳴らなかったのだ。

「ごめんねケンスケ!今すぐ着替えて準備するから待って!」

カナミは急いでパジャマから普段着に着替えて、出かける準備をする。

「それじゃ行ってきまーす!」
「気をつけて行くのよー!くれぐれも事故には遭わないでね!」
「分かってるよー!」

喫茶店へ向かうカナミとケンスケを母は優しく見送る。カナミとケンスケは喫茶店へととにかく急ぐのだった。
必死に走って20分ほど、なんとか喫茶店に辿り着く。既に10人ほどが並んでいた。

「10人ほどなら全然余裕ね。ハァ、ハァ…」
「もう30人くらい並んでいるのかと思ったよ。よかったぁ」

現在8時半、開店まであと30分だ。朝食を取っていなかったため、カナミのお腹がグゥーと鳴る。
そして9時、開店時間となった。カナミとケンスケは難なく限定チョコタルトをゲット、10個入り3セットを持ち帰るのだった。
その後、カナミとケンスケは近くの公園のベンチに座って少し休憩することにした。

「チョコタルト、無事に買えてよかったね!」
「ふぅ、これで一安心ね。寝坊してごめんね」

お腹が空いていたカナミは、近くのコンビニで買ったジャムパンとカフェオレで一息つく。
少し遅い朝食を済ませたその時だった。

「あら、あんた5年の七尾?それに弟くんも一緒じゃない」

カナミとケンスケの目の前に現れたのは、6年の篠塚フミエという女子だった。