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お題:『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』

【ハロウィンの夜の……】


「トリックオアトリート!!」

 ハロウィンの町は、いつもより賑やかだった。海外ではどちらかと言えば子供の為のお祭りであるハロウィンだが、日本に於いてはむしろ大人の方が騒いでいる印象があるだろう。
 その町も十代後半の若者たちを中心に、どちらかと言えば年齢層の高い者の方が騒いでいる印象があった。
 町の中はカボチャとお化けで飾り付けられ、幻想的な雰囲気を作り出していたのだが、しかし、乱痴気騒ぎと言って良い大人たちの行動が、それを台無しにしていた。

「トリックオアトリート!!」

 そんな町中に突如として噴煙が上がり、街はパニックになる。
 だが、この騒ぎにおいてケガ人などは出ず、むしろ、悪質な悪戯として処理されることとなった。

 何故か?

 それは、噴煙の元凶が、小麦粉をまき散らす爆弾型のパーティーグッズで有った為だ。
 しかし、一部の者の中には、それでも尚、怪奇現象だったと主張する者がいた。その訳は、あるSNSの自撮り写真にあった。

 その人物が撮影した写真には、恐らく小麦粉爆弾を投下したと思しき人物が映っていたのだが、しかし、その人物……ジャックオーランタンのコスプレをしているであろう人物の映っている場所が、到底、人間が居られる場所ではなかったからだ。

 すなわち、地上10m程の空中にである。

 当然ながら、その写真は合成だと思われた。しかし野生の分析班によって、合成ではない事が立証されてしまったのである。
 当然、今も反論はされている。
 だが、その場所に人が存在できない事は事実なのだ。例えば、更に上から落ちてでも来ない限りは……

 その日、この場所で人死にが出ていたと言う話は聞かない。
 しかし、事実として、小麦粉爆弾がこの場所に投げ込まれているのである。
 果たして、地上10mに居た人物は何だったのか?

 ジャックオーランタンは、天国にも地獄にも行けず、地上を彷徨うしかない哀れな魂だと言う。
 そんな彼が、この国の乱痴気騒ぎのハロウィンを見たらどう思うだろうか?

「トリック……オア……トリート…………」