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使用するお題→『ホラー』『自家製野菜』

【留守番は怖いよ】(1/3)

冬休みに入ってまだ間もない日のことだった。
父と母が仕事の都合で急遽出かけることになり、カナミとケンスケは留守番することになったのだ。

「悪いけど今すぐ出かけなくちゃいけないの。明日の昼頃までには必ず帰ってくるから、それまで留守番お願いね」
「うん!私とケンスケに任せて!」
「頼もしいな!何か美味しいお土産買ってくるから楽しみにしろよ」
「気をつけてねー!」

2人の元気な返事を聞いて安心すると両親は車に乗り、家を後にした。

「お母さんとお父さんが一日いないからちょっと心配だね」
「何言ってるのよ、お姉ちゃんがいるじゃないの」
「そうだね!」

もしもの時は不安ではあるものの、こういう両親がいない時の留守番は妙にワクワクする。
空は曇り、雪がしんしんと降ってくる。

「寒いのは嫌だけど、こう雪が降るのを見てると心が落ち着くのよね。不思議な感じ」

するとピンポーン!とチャイムが鳴る音がする。モニターで確認すると、年配の女性が一人立っていた。

「あっ川村さんだ!」

川村さんはここから数キロ離れた土地で農業を営んでおり、月に一回ほど自家製野菜を近所に配って回っている。

「川村さん、こんにちは!いつもありがとう!」
「おやおや今日は2人でお留守番かい?」
「うん、ちょっぴり不安だけどお母さんとお父さんが帰ってくるまで頑張る!」
「元気と自信があっていいね。それじゃあまた来月ね」

トラックに乗って農場に戻る川村さんに向かってバイバイと手を振る。
お昼の時間になり、母が作り置きしていたカレーと一緒に川村さん家のトマトも食べる。

「このトマトが特に好き!」
「うんうん!すごくサッパリしているよね」