>>375
使用するお題→ジャンル『コメディー』+『決意』『アイスクリーム』『キーホルダー』

【弟は名探偵?】(1/3)

ある日のこと、カナミは困っていた。

「どこにもない!どこかに落としちゃったのかな?」

自分の部屋の床や机の下、クローゼットの中だけでなく、とにかく家中を走り回って必死に何かを探している。
そんな姉の姿を見たケンスケが声をかける。

「お姉ちゃん、一体どうしたの?」
「あ、ケンスケ。私のキーホルダー見なかった?可愛いリスのマスコットがついてるものなんだけど…」
「うーん、見てないなあ」

カナミが今、必死に探しているのは数ヶ月前、家族揃ってデパートへお出かけした時に
買ってもらったリスのマスコットがついたキーホルダーだった。
学校に行く時にランドセル、どこかお出かけする時にバッグに付けたりしていてとてもお気に入りだった。

「昨日まではちゃんとあったはずなのよ」
「そうかぁ。それなら僕も探すの手伝うよ。だって僕は名探偵だから」
「名探偵?」

最近、シャーロックホームズか何かの本でも読んでハマってしまったのだろうか。

「(ケンスケって割と影響されやすいところあるし…)あ、ありがとう。ケンスケがいたらきっとすぐに見つかるかも」
「よし!ちょっと準備するから待っててね!」

しばらくするとケンスケが戻ってきた。
手には虫メガネ、頭にはキャスケット帽、そしてダウンジャケットを羽織っている。

「この名探偵ケンスケにかかれば、どんな物も見つけちゃうよ!」
「(か、可愛い…)じゃあ早速、キーホルダーの捜索スタートね!」
「お姉ちゃん、昨日何があったか覚えてる限り教えてよ」
「えっと、確か昨日はリーちゃんの家に遊びに行ってたのよね。その時バッグにちゃんと付けてたわ」
「帰る時にどこか寄り道しなかった?」

寄り道、という言葉を聞いてカナミはハッとした。昨日の帰り道、公園の近くを通りかかった時に
可愛い野良猫を見つけ足を止め、思わず撫でてしまったことを思い出した。

「た、多分その時に落としちゃったのかな…」
「よぉし、まずは公園へレッツゴー!」

家を出て、公園へ向かうカナミとケンスケ。公園に来てみると、子供達が数人ほど来ていて楽しそうに遊んでいた。
そこにいる子達にとりあえず聞いて回る。

「一つ聞きたいんだけど、この辺りにキーホルダーか何か落ちてなかったかな?リスのマスコットが付いてる物なんだけど」

どの子に聞いても「見てない」、「知らない」の返答ばかりだった。
するとニャーンの鳴き声と共に一匹の野良猫が現れた。昨日カナミが公園で見つけた猫だ。