>>375
使用するお題→ジャンル『コメディー』+『決意』『アイスクリーム』
※完結したレイチェルシリーズの番外編です

【アイス売りの女ガンマン】(1/3)

レイチェルはウキウキしていた。
今日は3ヶ月ぶりにライアンが休みをもらい、家に帰ってくる日なのだ。
俳優業で忙しいためライアンは中々家に帰ってこれず、レイチェルは一人ぼっちの時がほとんどだった。
ライアンがいなくて寂しくて泣きそうになりそうな時もあるが、ハリウッドで俳優として活躍する彼のことを思うと、そんな寂しい気持ちは自然と消えていった。
夜の7時、ライアンが帰宅した。

「おかえりなさーいライアン!」
「ただいまー!寂しかったかい、僕の可愛いガンマンちゃん!」

ライアンはレイチェルをギュッと抱き締め、彼女の頭を思いきり撫でる。

「仕事はどう?」
「ああ絶好調だよ。僕が主役の映画、来年の夏頃に公開予定だよ」
「絶対に見るわ!ライアンのアクションシーンを劇場のスクリーンで早く堪能したい!」
「アハハ。落ち着いてレイチェル」

ディナーを済ませ、温かいココアを飲みながらリビングのソファーで寛ぐ2人。

「ねえライアン、次の撮影はいつ?」
「1週間後だね。それまではここにいられるよ」
「ライアン、絶対に無理はしないでね。ちゃんと休みもとって、たまには帰ってきてね」
「分かってるよ。レイチェルもくれぐれも事故には気をつけてね。あ、少し話が変わるんだけどさ…」
「どうしたの?」
「君があの町でいた時の出来事、もっと聞かせてくれないかな」

ライアンとレイチェルはどちらもアイオワ州出身だ。
大学卒業後、ライアンはハリウッドのあるカリフォルニア州のロサンゼルスに旅立った一方、レイチェルは仕事の関係でコロラド州に引っ越したのだ。
ライアンとお別れの挨拶もできずに離れ離れになり、その寂しさからか仕事は長続きせず、僅か2年で辞めてしまった。
その後は在宅勤務をする一方、寂しさを紛らわすために暇さえあれば、いつでもお気に入りのガンマン衣装を身につけて町を散歩していた。

「あの時は本当に変人扱いされてたのよね」
「その時の思い出をさ、もっといっぱい話してほしんだ」
「うーんとね、あっ思い出した!」

レイチェルは早速その話をライアンに聞かせる。