0044この名無しがすごい!
2019/11/05(火) 13:41:01.24ID:qrFyiU3I使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』
【定休日は有意義に過ごそう】(1/3)
ある水曜日の朝8時、もうレストランの開店準備をしないといけない時間なのに
レイチェルはまだベッドの上でスヤスヤと眠っていた。
「わたしはムニャムニャ…さすらいの旅を続ける女ガンマンのレイチェル…ムニャムニャ…」
西部劇の女ガンマンになった夢でも見ているのだろうか、楽しそうに寝言を言っている。
数分後、ハッと目を覚まし体を起こす。
「あーあ夢だったのね、良いところで終わっちゃったなあ。残念…」
ベッドから出るといつものガンマン衣装に着替えるが、いつも被っているウエスタンハットがどこにも見当たらない。
「あれ?私の帽子が無いわ。もしかして…」
1階に下りてリビングに来てみると、ライアンがイチゴジャムを塗ったトーストを頬張り、
テレビを見ながらソファーで寛いでいた。
「あっレイチェル、起きたんだね。おはよう!」
よく見るとライアンはレイチェルの帽子を被っていた。それを見たレイチェルは呆れつつも笑う。
「ライアン、また私の帽子取ったわね」
「ん、これかい?だってレイチェルの帽子を被るの楽しいんだから仕方ないじゃん」
「楽しいから仕方ないって…」
ここ最近、ライアンはよくレイチェルの帽子を勝手に被ったりして彼女をからかうことが多かった。
「いいから帽子を返してよライアン」
「えーただで返すわけにいかないよ。勝負しよう」
「勝負って何よ。またゲーム?」
「もちろん!」
元気よく返答するとライアンは早速テレビゲームの準備をする。
いつもやっているレーシングゲームだ。
「レイチェルが勝ったら帽子を返すよ。でも負けたら今日一日はずっと僕のものだからね。あとそれから…」
「そ、それから何よ…!」
「今日一日ずっと黒猫の衣装でいてね!」
「冗談じゃないわ!絶対負けないから!」
レイチェルはとりあえず条件をのみ、ライアンとの勝負が始まった。
レイチェルとライアンのゲームの腕は互角で、互いに一歩も退かない熾烈なレースが繰り広げられた。
5回に渡る勝負の末、3対2でライアンの勝利となった。
「負けちゃった…」
「さっきのは冗談だよレイチェル。ほら帽子を返すよ」
「私が負けたんだから約束通り黒猫の衣装を着るわ」
「む、無理しなくていいんだよ」
「ううん、いいの」