>>604
使用するお題→『ライト』『病気』『夜空』
>>44【定休日は有意義に過ごそう】を先に読んでおくことをオススメします

【あの日食べたポトフ】(1/3)

それはレイチェルとライアンがシチリアでレストランを開業し、楽しい生活を過ごしていた時の出来事だ。
レストランは地元のお客達にとても人気で、毎日がとても忙しかった。
レイチェルはウエイトレスを担当する一方で、お馴染みのガンマン衣装に着替えて
ギターやピアノを演奏したりと余興で客達を楽しませていた。
その頃は特に定休日を決めておらず、臨時休業を除けばほぼ年中無休で営業していたため、
レイチェル自身に疲労がどんどんと蓄積していった。
そんなある日の余興の時間、ギターを演奏する最中、レイチェルはバタンと倒れこんでしまう。

「レイチェルちゃん!」

キッチンで料理を作っていたライアンが、客達の騒々しい声を聞いて急いで駆けつけた。

「レ、レイチェル!大丈夫なのか!?しっかりするんだ!」

レイチェルの額に手を当てるととても熱い。高熱を出している。
ライアンはその日の営業を急遽中止し、レイチェルを抱えると寝室のベッドに寝かせる。
ハァ、ハァと喘ぐ彼女の姿にライアンはとにかく心配で気が気でなかった。
数時間後、眠りに落ちていたレイチェルが目を覚まし、ライアンは涙を流しながら彼女をギュッと抱き締める。

「レイチェル、意識を取り戻したんだね!」
「し、心配かけて、本当にごめんねライアン」
「何言ってるんだよ。とにかく本当によかった!」

急ではあるがレイチェルの体調がしっかりと回復するまで、ライアンはレストランを休業することに決めた。
レイチェルがベッドで安静にしていると、何か良い香りがしてくる。
ライアンが手作りのポトフを持ってきたのだ。

「レイチェル、あったかいポトフだよ」
「ありがとうライアン」

ざく切りの大きなニンジンやジャガイモを口に運んでいく。ホクホクしてて本当に美味しい。

「あちち…!すっごく美味しい!」
「ほらほらゆっくり食べて。おかわりはまだいっぱいあるよ」
「おかわり!」
「アハハ、食いしんぼうなガンマンだね!」
「もう失礼ね!」