>>604,606
【リレー企画:『ライト・ライト』(3)】

使用お題→『夜空』

「じゃあ、一緒にこの街を出てもいいか?」
私がそう言うと彼は訝るような目を向けてきた。
「なぜ? あんたは街を出る必要ないだろ。」
「再会したのも何かの縁って事でさ。同じように左に曲がる者同士やっていかないか?」
彼が本心で求めるもの、それは一体何なのかが気になってついて行こうと考えたのだ。
「分かった.......」
 
 彼はどこへに向かうつもりなのかを道程で聞くと、聞いた事がない街だった。
彼の話によるとそこは先程の街とは打って変わって妙な慣習などない街だそうだ。
一年ほど前にその街でお世話になった時に仲良くなった友人の住処を訪ねるつもりらしい。
 
 私達三人がその街に着いたのは夜空に月が高く昇る夜のことだった。
住処に行く前に腹を満たそうと言う話になったので何か食べてから向かうと連絡すると、その友人も来るという。
結果待ち合わせ場所は街中の酒を出す店になった。
店に入るとすぐに彼の友人らしき男性が声をかけてきた。
「遠くからご苦労。一緒に来ると言っていた二人はそこにいる二人かね?」
「ああ。ひと月ほど前に仲良くさせてもらっていたやつとその召使いだ」
彼は私達を一瞥するとその友人に歩み寄り懐から何か黒い物体を取り出した。
次の瞬間には激しい音とともに友人だった彼が倒れ、ポケットに入っていたのであろう、数枚の硬貨とずっしりとした小銃が床に転がった。
「約束どおり殺してやったよ」
彼はそう言うとどこかへと立ち去り、その場には私とフロラの二人が残された。