>>738
使用するお題→『駅』『シャブ』『生誕』『バナナ』

【弟の悩み】(1/3)

「お姉ちゃん、ゲームで勝負しよう!今日は負けないよ!」
「あらケンスケ、自信満々ね。もちろんよ!」

ケンスケは姉のカナミが大好きだ。姉と一緒に遊んだり散歩したり、行動を共にするのが何よりも好きだ。
ある日の朝、姉弟揃って元気よく家を飛び出して学校へ向かう中、ハヤトと会った。

「ハヤト兄だ!」
「あっ宮坂君!おはよう!」
「おっ七尾!それに弟のケンスケ君じゃないか」

するとカナミとハヤトは仲良くペチャクチャとおしゃべりする。

「そういえば今日、1時間目に算数のテストがあるんだよね。自信ないなあ…」
「テストはさすがに嫌だよな」
「うんうん!」

そんな嬉しそうに仲良くおしゃべりする2人の姿に、ケンスケはニヤニヤと笑いつつも少し複雑な感情を抱く。
授業中、黒板に書かれたことをノートに取りつつもつい上の空になってボーッとしてしまい、担任に注意されてしまう。

「(お姉ちゃん…)」

昼休みになると、その気分を少し紛らわすために図書室に行き読書するもなかなかスッキリしなかった。

「(何なんだろう、不思議だけどどこかスカッとしない…)」

放課後、友達と少し公園で遊んだ後に家路についていると、カナミの姿を見かける。ハヤトも一緒だ。

「今日のテスト、結構難しかったね。50点もなかったらどうしよう」
「俺だったらお尻ペンペンされてるな。アハハ!」
「じゃあまた明日ね!」
「ああ!気をつけて帰れよ」

ハヤトと別れた後、カナミは後ろにケンスケがいるのに気付く。

「あっケンスケ!まだ先に帰ってないってことはまた友達と遊んでたの?」
「う、うん。そうだよ…」
「どうしたの?あまり元気なさそうだけど」
「い、いや何でもない!気にしなくても大丈夫だよ」

今日の晩御飯は豪勢なしゃぶしゃぶだった。

「ごちそうさま…」
「あらケンスケ、肉3切れしか食べてないじゃない。それにご飯も残しちゃってどうしたの?」
「ごめん。早く終わらさないといけない宿題が多くて、それしないといけないんだ」
「(ケンスケ、一体どうしたんだろ?)」

部屋に入り、宿題をするもなかなか集中できない。なんとか宿題を終わらせた頃には、既に10時を過ぎていた。

「いけない!もう寝る時間だ!」

急いで風呂に入ってパジャマに着替えると、すぐにベッドに入り電気を消す。
眠ろうとする中、ケンスケはふと何かを思い、独り言のように呟き出す。