>>779
使用するお題→『スクラップ』『777』『ドリル』

【イエローマスクド・デーモン】(1/3)

広い荒野を颯爽と駆け抜け、さすらいの旅を続ける女ガンマンのシンディと彼女の愛馬サンセット。

「この町で少し休みましょ」

小さな町に辿り着き、シンディはサンセットの背中から降りると近くのバーへと向かう。

「マスター、コーラをお願い!」

冷たいコーラを飲みながら寛いでいると、近くでビールを飲む男達の会話が聞こえてきた。

「おい今日の新聞読んだか?クレイグが現れたらしい」
「ク、クレイグ!?あのクレイグ・バスターか!?おいおい嘘だろ、悪夢じゃねえか」
「(クレイグ・バスターって…)」

クレイグ・バスター。シンディはその男の名前を知っていた。
そのクレイグという男は過去に777人もの罪の無い人を惨殺した殺人鬼として有名で、既に彼によって100以上もの町や村を滅ぼされている。
顔を黄色い仮面で覆っており、彼を知る人々からは「イエローマスクド・デーモン」、「地獄からの使者」等と呼ばれ、非常に恐れられていた。

「あんな奴に目をつけられたら、命いくつあっても足りねえぞ!」
「と、とにかく用心するしかないだろ。見かけたらとにかく逃げて隠れるんだ、それしかねえ!」
「(危険な奴が現れたものね、まあ私の旅を邪魔するつもりならこっちも容赦はしないけど…)」

金を払ってバーを出ると、サンセットに跨る。

「それじゃあ行こうかサンセット!」
「ヒヒーン!!」

町を飛び出して1時間後のことだった。ついさっきまで快晴だった空が急に真っ黒な雲で覆われ、ゴロゴロと雷が鳴り雨がザーザーと降り出した。

「あ、雨?ウソでしょもう!」

シンディはズブ濡れになりながら、急いで雨宿りできる場所を探す。

「仕方ない、こうなったらさっきの町まで戻るしかないわね…」

全然雨が止む気配がない上にこの先、次の町か村を見つけるとしても間違いなく数時間はかかる。
ここは1時間ほどかけて、さっきの町に戻って雨宿りする方が賢明だろう。次第に風もビュービューと強くなってきた。

「サンセット!なんとか頑張って!」

すると微かに小さな山のような物が見えてきた。それは山ほどスクラップが捨てられた広場で、近くに小さな馬小屋もあった。

「あそこなら雨宿りできる…!」

急いでその馬小屋に入って雨宿りをするシンディとサンセット。

「無理させてごめんね、サンセット」

近くに落ちている布でサンセットの濡れた体を拭いてやると、シンディは干草の山にもたれかかる。

「フワアアッ。なんだか眠くなってきちゃった…」

大きなあくびをすると、疲れたのかシンディはそのまま眠りに落ちてしまった。