>>779
使用するお題→『おでん』『777』『ドリル』

【姉弟はいつでもラッキーセブン】(1/2)

「お姉ちゃん、早くどこか遊びに行こうよー!」
「ちょっと待ってケンスケ、あと少しで宿題終わるから」

ある土曜の正午、カナミは宿題である計算ドリルを早く終わらせようと必死だ。
土日を楽しく過ごすには、まず宿題はなるべく手っ取り早く片付けること、それが彼女のモットーだった。

「ふぅ、やっと終わった。すぐに準備するから待ってて!」
「宿題なんて後でもやる時間、十分あるのにさ」
「そう考えてると痛い目見るわよ」

お出かけする準備が整い、カナミとケンスケは早速家を飛び出す。

「お姉ちゃん、ゲームショップに寄っていかない?」
「ゲーム?いいわね、そろそろ何か新しいの欲しかったと思ってたところなのよね」
「でも、うっかり危険なゲーム買ってしまわないように気をつけなくちゃね…」
「そうね、じっくり考えて買うようにしましょ」(※>>213【奇妙なゲーム】を参照)

商店街にあるゲーム店のドアが開き、足を踏み入れたその時だった。
パンッ!と大きな音と共に天井に飾られていたくす玉が開き、姉弟の体が紙吹雪に覆われる。

「おめでとう!君達はこの店の記念すべき777人目のお客様だよ!それをお祝いして、どれでも好きなソフトを一本、特別に7割引で売っちゃうよ!」

ゲーム店の店長が嬉しそうに、声高らかにしてお祝いする。

「お姉ちゃん、聞いた?僕達、777人目のお客様だってさ!」
「こんなラッキーなこと、本当にあるものなのね…」

好きなソフトを7割引でゲットでき、カナミとケンスケは嬉しそうにゲーム店を後にする。

「まさにラッキーセブンね」
「それに僕達の苗字、七尾で七がついてるもんね!やっぱり7と縁があるんだね!」
「ンフフ、ずっとラッキーでいられたら最高よね。でも、さっきので一気に運を使い果たしちゃったかもしれないわよ?」

途中、土手の近くを歩いているとハヤトと会った。

「ハヤト兄だ!」
「こんにちは宮坂君!」
「おっ七尾、それにケンじゃないか」

よく見るとハヤトの手には、無残に潰れたサッカーボールがあった。

「そのボール、一体どうしちゃったの?」
「ん?ああ、これな…」

1時間ほど前、運動公園でサッカー仲間と遊んだ後の帰り道のことだった。
ボールを持つ手が滑ってボールを落としてしまい、たまたまそこを通ったダンプカーに潰されてしまったのだ。

「親のお手伝いとかして貯めた小遣いで買った、お気に入りのボールだったんだよなあ。まあうっかり落としてしまった俺が悪いけど…」
「それは、そんな狭い道を我が物顔で走ってたダンプカーの方が悪いと思うなあ」
「うんうん」
「それにさ、一昨日なんて店の商品並べてる時にうっかり落として壊しちゃったんだ」
「えー!?大丈夫だったの?」
「親はわざとじゃないからって許してはくれたけど、また発注しないといけないから手間かけさせてしまって…。ここ数日、冗談抜きで不幸ばかりなんだよな」

そんな落胆するハヤトを見て、カナミとケンスケはとても気の毒に思った。