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安価・お題で短編小説を書こう!7

レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。
0001この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/28(月) 00:46:46.18ID:07FmpdLu
安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

■投稿方法
使用お題と【】でタイトルを明記してください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は4レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
R18は禁止です。他に規制はありません。

■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、権利者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。
別サイトへと投稿してリンクを貼るのも可。
リンク先のタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、使用お題、タイトル、URLを書き込んでください。
※なろうのURLは規制されていますので、KASASAGIか俺Tueee.Net!のURLで代替してください。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/
安価・お題で短編小説を書こう!3
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1522770910/
安価・お題で短編小説を書こう!4
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1529860332/
安価・お題で短編小説を書こう!5
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1541947897/
安価・お題で短編小説を書こう!6
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1557234006/
0851この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/09(月) 20:01:56.44ID:gvM0loJD
【伝説の怪物、現る!?】(3/3)

マンティコアはレイチェルに噛みつく!と思いきや、両前脚を大きく出して彼女をギュッと抱き締めるかのように掴む。
そしてペロペロと嬉しそうに顔を舐め始める。

「えっ!?ど、どういうことなの?」
「も、もしかしてレイチェルを本当のネコと思って一目惚れしちゃった?」

ライアンの言う通り、マンティコアは黒猫衣装のレイチェルを本当にネコだと思い込んでいるようだ。
そのマンティコアはレイチェルはおろか、ライアンに敵意すら一切向くことはなかった。
よく見るとマンティコアではなく体を赤いペンキで塗られたライオンで、顔に人間のマスク、尻尾に尖った枝をつけられただけだった。

「オイオイオイ、俺の商品をどうしてくれるんだよ」

その言葉と共に現れたのは、ボディービルダーのように筋肉質で屈強な体をした男だった。

「それでせっかくのハロウィンを血と恐怖で盛り上げようと計画していたのに、お前らにバレてしまっちゃ仕方がないな。悪いが死んでもらおうか」

男がライアンに銃を向けたその瞬間、黒猫衣装でパワーアップしているレイチェルが非常に俊敏な動きで、男の手にある銃を蹴り上げる。

「な、何だ!この黒猫女、人間離れした動きしやがる!」

レイチェルの動きに戸惑っている隙を狙って、ライアンは男の腹に目掛けて思いきりパンチを食らわせる。
ライアンの重みのあるパンチに、男は気を失ってそのままバタンと倒れてしまった。

「ライアン、ナイスパンチ!」
「レイチェル、ナイスアシスト!」

その男の体は本当の筋肉ではなく、ただ肉襦袢を身につけていただけの見せかけで痩せ細った体をしていた。
パンチ一発であっさりダウンしても全然不思議ではなかった。その後、駆けつけた警察によって男はあっけなく逮捕された。
そのライオンは遥か遠くのサバンナから密輸して奪ったもので、自分に絶対服従するよう調教されていた。
生まれ育ったサバンナに必ず戻すと約束され、レイチェルとライアンは安心した。
その騒動は瞬く間に地元の新聞の一面を飾り、レイチェルだけでなくライアンまでもが彼女同様にレジェンド扱いされることとなった。

「まさか今年のハロウィンも大騒動になるなんて思いもよらなかったわ」
「あのライオン、人懐っこいようで本当に可愛かったね」
「そうねライオン…じゃなくて、ライアン!」
「今噛んだね?」
「だ、だってライアンとライオンで一字違いで紛らわしいんだもん。もうライアンの意地悪!」

さて来年のハロウィンでは一体どんな騒動が起こるのか?
それはライアンとレイチェルにしか分からないのである。
0852この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/10(火) 00:50:20.53ID:/1gjbGkb
>>849
安定の速筆ですね
楽しいお祭りを恐怖で染め上げようとは、ひどい犯人です
このレイチェルシリーズを読むと、何故かキャ○テンパワーのopが頭の中を流れますw
0853三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/10(火) 13:08:40.98ID:J88foFpB
>>849
お久しぶりのレイチェルさん、しかも黒猫w
ライアン氏の『クッキー』、『マンティコア』登場、犯人の『肉襦袢』
黒猫衣装の効果もあったとは言え、温厚なライオンで運が良かったですねw
0854この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/10(火) 16:56:36.85ID:qwU17ZrI
>>852
>>853
感想ありがとうございます!
およそ1ヶ月ぶりのレイチェルにして季節外れのハロウィンのお話でしたw
急に黒猫のレイチェルのお話が書きたくなったんですよね、来年のハロウィンもまた大騒動が起こりそうな予感です
あとレイチェルってどことなく80年代後半〜90年代のドラマによく出てきそうなヒロイン像だなあ、と書いてて思いましたねw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0856三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/13(金) 20:46:09.35ID:JIxXvOaI
いいね! 次の次くらいにやっても良さそう

ただし2つは無難で関連性のあるもの、3つは変わったものとか、出題側での配慮は必要そうです
0857三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 22:12:18.96ID:tPm+FkgJ
お題→『クッキー』『庶民サンプル』『肉襦袢』『信楽焼』『マンティコア』締切

【参加作品一覧】
>>849【伝説の怪物、現る!?】
0858三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 22:13:33.22ID:tPm+FkgJ
では、、今回はリレー企画をやりますが、お題は普通に5つです

お題安価>>859-863
0860この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/15(日) 22:21:13.06ID:dqlYrDSg
蜂蜜
0864この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/15(日) 22:56:57.59ID:tmTzISae
中の人
0865三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 23:00:30.72ID:tPm+FkgJ
☆お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/22の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0866三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 23:01:48.35ID:tPm+FkgJ
【リレー企画の参加者を募集します】

・定員は3名で、早い者勝ちです
・1人1レスのみ、今回お題から各自1つ以上選択します
・3レス目の締め切りは、企画の成否にかかわらず、2週間後とします

参加希望の方は、ポジション【1/2/3】のいずれかを明記の上、このレスに安価してください

・ポジションが取れ次第【1】の方は書き始めて頂いて結構です
・作品のタイトルは【1】の方が決めてください
・投稿の際【リレー企画:作品のタイトル(1)】のように、企画作品であることを明記してください
・【1】【2】の方は、次の方のために、自分の担当レスの提出予定日を宣言してください
0867三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 23:03:33.09ID:tPm+FkgJ
『エラー』で採用しようかと思いましたが、集まったのでw

供養はちょっとお待ちを

リレー企画、誤解のないように申し添えておきますが、話の内容や文体に制限はありません
3作でそれなりに話が成立すればオッケーです
0868三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 23:48:44.93ID:tPm+FkgJ
リレー企画は集まらなさそうね・・・

募集は続けますが、供養や今回作品の投稿があればどうぞ・・・
0869この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/15(日) 23:57:51.17ID:op5Duw2I
では、供養させていただきますorz

お題:『クッキー』『庶民サンプル』『肉襦袢』『信楽焼』『マンティコア』

【異世界召喚物語】(1/2)


 気が付けば見知らぬ人達に囲まれていて、と言うのは、加藤 直也にとっては、実はそれほど珍しい事ではない。
 それほどアルコールに強い訳でも無いにもかかわらず酒好きな為、記憶を失うことが度々あるからだ。
 ただ、どう言うわけか――直也自身には自覚が無いのだが――信楽焼のタヌキにひどい執着があるらしく、気が付いた時には、タヌキの置物を抱いている事が多く、彼のアパートには大小様々な信楽焼のタヌキが集まっていた。
 その為、この時も……

「離せ!! 離さんか小僧!! よりにもよって姫の御前で、この様な!!」
「あ? ん、んあ?」

 目の前に“居る”のは、まるで生きているかの様なリアリティーを持った信楽焼のタヌキ。
 そのタヌキが、直也の手から逃れようと四苦八苦している。
 そして周囲には、人間とは思えないシルエットをした物モノの群れ。

「……うっわー、何だこれ? 夢?」
「夢ではない!! 起きたのなら儂を離さんか!! 小僧!!!!」

 怒りの為か顔を真っ赤にする信楽焼をまるで不思議な……いや、事実不思議なのだが……物を見た様な惚けた表情で眺めていた直也だったが、しかし「やっぱり夢か」と呟くと、再び目を閉じる。

「寝るな小僧!! ね〜〜る〜〜なぁ〜〜〜〜!!!!」

 ******

 直也は頭に出来たタンコブをさすりながら、胡坐をかいていた。
 彼の隣には先程の信楽焼のタヌキ……ではなく、リオンラクーンと言う種族のシャガラーキが片膝をついていた。
 リオンラクーンと言う種族は幻術を得意とする種族であり、このシャガラーキはその中でも高位の使い手だと言う。
 その幻術は、空間ですら騙す事が出来るらしい。
 つまり直也は、世界を“騙して”この異世界に召喚されたのだ。

「クックック。中々楽しい見世物だったぞ? シャガラーキ」
「お戯れを姫様。このシャガラーキ、御前での醜態、汗顔の至りでござりまする」

 直也とシャガラーキの居る床から数段上にある、やけに豪奢な椅子に座るのは、まるで冠の様に見える角に、刻褐色の肌、漆黒の長い黒髪を持った、深紅のドレスを着た少女。
 シャガラーキが言う通りであるなら何処ぞかの姫であり、日本生まれの日本育ちである直也にはなじみの薄い“王族”と言うやつなのだろう。
 ならば、ここは謁見の間であり、周囲を囲ってるのは貴族……なのだと思われる。
 ただし、それに確証が持てないのは、その周囲にいる者達が、いわゆる“人”の形をしていなかったからだ。

 百鬼夜行。

 そんな言葉がぴったり来る様な異形の者達。誰一人として同じ形の者など居ない空間に、直也は……特に気圧されても居なかった。

(SAN値直送ってやつだな)

 ふわぁ……と欠伸を一つすると、腕をボリボリを掻き毟る。酒を飲んだ後特有の気怠さが彼の体を包んでいたと言うのも理由の一つだろう。

「ふむ、これが“向こうの世界の”庶民と言うヤツか? 何ぞ、間抜けな顔をしておるな」
「御意に、向こうの世界の“あらゆるモノ”の中で“最も平均的”なサンプルを選びましたのでするが……成程、平均がこの程度であれば、異世界侵略も容易かと」
「はい?」
「小僧!! 勝手な口は慎め!!」

 あまりに物騒な話に思わず直也が声を上げると、シャガラーキが彼を制する様に怒声をあげた。

「いやいや、出しますよ、ものっそ出しますって、だってオレ等の世界、侵略するとか言ってるんでしょ? そりゃ出しますって」
「えぇい!! 黙れ!! 黙らんか庶民の分際で!! 本来なら、その首、掻っ切ってるところぞ!!」
「だ〜まり〜ませ〜ん!! オタク等も、あんま舐めた事言ってると、痛い目みせちゃるぜぇ!!」
0870この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 00:02:25.28ID:BC8QyazN
【異世界召喚物語】(2/3)


 まるでおちょくるかの様に直也は両手を顔の横でワキワキさせながら舌を出す。その表情に、シャガラーキの目が更に吊り上がった。
 そしてそれは、周囲の者達も同じであった。
 当たり前だろう。
 ただの人間。それも、何の力も感じさせない“庶民”が、この大勢を前に、まるで全員を相手にして勝てるかの様な、啖呵と言うのもおこがましい軽口を叩いているのである。

「クックック。言いおるではないか庶民。本来なら耐久力を調べる為の実験動物にしようと思っておったが、やめじゃ! 今直ぐ後悔の中で死んでゆけ!!」

 そう、姫が宣言すると同時に、直也の周囲にいたモンスター達が、怒声をあげながら襲い掛かって行った。
 瞬く間に化け物共の群れに飲み込まれる直也。

「フンッ! 口ほどもな……」

 ビユン!! ドゴン!!

「は?」

 姫が呆気に取られる。えらい勢いで飛ばされ、壁に張り付いたのはリオンラクーンのシャガラーキ。そしてその後、次々に姫の配下のモンスターが投げ飛ばされ、壁に張り付いて行く。

「ってか、面倒だぁ!!」

 直也はそう叫ぶと、手近に居たマンティコアのサソリの様な尻尾を鷲摑みにして、それを振り回し始めた。
 ドゴンドゴンと重量物がぶつかる音が響き、モンスター達が弾き飛ばされる。

「な、何じゃ!! その体は!! さ、さっきと体形が変わっておるではないか!!」
「え? 疑問に思う所、そこ?」

 姫の叫びも尤もだろう。今の直也の身体は、先程の8倍近くに膨れ上がっていたのだから。

「え? 肉襦袢だよ肉襦袢」
「そんそんな訳有るかぁ!!」
「おっと、これ以上振り回したら死んじまうか」

 そう言って、マンティコアを放り投げると、次に直也はサイクロプスに狙いを付けた。

「さ〜あぁ、悪い子は居ねがぁ〜」
「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぶぎゃう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
「あんぎょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
「ぎょらぱあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ひぃぃぃぃ……」

 阿鼻叫喚である。
0871この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 00:03:31.84ID:BC8QyazN
【異世界召喚物語】(3/3)


 ******

 最後の仕上げとばかりに、姫の尻を百叩きにした直也は、「もうしません、ごめんなさい」とすすり泣くモンスターの姫を見ながら溜息を吐いた。

「っと、確かこの辺りに……」

 どうやら、巻き込まれ召喚されたらしい自分の鞄をガサゴソと漁っていた直也は、目当てのものを見つけると、姫の前にしゃがみ込んだ。

「う、うえ、ごめんなさい、もうしません」
「おい、こっち見れ」
「うえ? んう!」

 姫の口に突っ込まれたのは、茶色で丸く薄い物体。
 思わず吐き出そうとしたそれを直也は無遠慮に押さえ込み、「食え」と一言だけ言った。
 おそるおそる、それをかみ砕く姫。

「!!」
「旨いだろ?」

 その言葉に姫は思わす盾に首を振った。

「侵略とか、物騒なこと言わんで、遊びに来るってだけなら、御馳走してらるからよ、まぁ、お行儀よくな?」
「うん……」

 ******

 こうして地球侵略の危機は去って行った。もっとも、侵略されたとしても返り討ちにしていた可能性もある訳だが。
 確かに、シャガラーキの呼んだ直也は平均だった。しかし“ありとあらゆるモノ”の中での話だ。
 そう、神話で語られる神々や伝説の存在も含めてでの話である。
 もし、シャガラーキが、“人間の中だけで”の平均を召喚していたのなら、話は又違っていただろう。
 ともあれ地球は今日も平和だった。

「直也殿〜!! 遊びに来たのじゃ!!」
「ん? おう、ゆっくりしてけ」

 時折、異世界から、遊びに来るモノができた様だったが。
0873この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 06:08:14.48ID:dm+1tNci
今回のお題一般小説で使えそうなやつばっかやん
≫866
リレーは前回一番もらってキラーパス呼ばわりされたんで、今回はあんまりやることない2番行ってみるよ
0875この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 13:07:24.83ID:VhJUW8FI
では、僭越ながら一番をやらせていただきます
おおよそ三日後の水曜にはアップさせていただきますので、よろしくお願いします
0877三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/16(月) 13:18:20.13ID:ULtNr8+a
いやあれはまごうことなきキラーパスでしたが^^;
1番を取る人は、、、現れましたねありがとうありがとう><

>>869
結果的には無駄にお待たせを、、普通に3レス分の長さ、、なんで2レス分だと思ったんでしょう?
『信楽焼』のアイツ、『庶民サンプル』の主人公、『肉襦袢』だよw、『マンティコア』を投げ、姫に『クッキー』
平均、、どこの世界でも平均はとんでもなかった・・・
タヌキ=盾のヒロインのイメージなので、普通におっさんで安心しましたw
0880この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 20:38:48.05ID:VhJUW8FI
>>877
感想有り難うございます
自分のイメージだと、タヌキといえば八百八狸なので、どちらかと言えば水木○げる風ですw
そして、『縦に首を振る』を『盾に首を振る』と誤変換したのは、きっと盾の呪いですw
0881この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 22:03:50.07ID:rd56vPYY
>>865
使用するお題→『蜂蜜』『メール』『広告』

【また会いたいな】(1/2)
※レイチェルシリーズ無印編(スレ5>>843【気分はいつでも西部劇】〜スレ6>>605【再会、そして新たな道へ】)を一通り読んでおくことをオススメします

ある日の朝、一人の少女がイグアナを連れて公園の中を散歩していた。
その少女の名はアニー、そしてイグアナはトニーで彼女の愛するペットだ。
ベンチに座ると手に持っている紙袋から何かを取り出す。それは近くのパン屋で買った蜂蜜トーストだった。

「あそこのパン屋の蜂蜜トーストはすっごく美味しい。ほらトニーもどうぞ」

トーストを少しちぎってトニーに与える。トニーもそれが大好物のようで美味しそうにムシャムシャ食べる。

「レイチェルさんがいなくなってから、やっぱり寂しいなあ…」

レイチェルは半年ほど前、大学生の時のボーイフレンドであるライアンと再会し結婚、そしてシチリアへ旅立ったため、彼女はもうこの街にはいない。
レイチェルがライアンと結婚して、彼とシチリアで楽しく生活していることを考えるとすごく嬉しいけど、やはり恋しくなってくる。

「レイチェルさんと遊んだりした日々、すごく楽しかったなあ」

トニーもアニーの言うことを理解しているようで、彼女がレイチェルのことを話す度にコクリと頷く。
やはり一番思い出に残っているのが、ナタリーに捕まって絶体絶命のレイチェルを救い出したことだ。

「トニーは大ピンチのレイチェルを救って本当に偉い子ね。それに無くした拍車も見つけ出したんだし」

アニーはトニーの頭を優しく撫でる。トニーもハァハァと舌を出して嬉しそうだ。

「あっアニーじゃない!」
「バーバラ?久しぶりね!」

アニーの目の前に現れたのはバーバラだった。かつて仕事で忙しい両親の代わりに、
ベビーシッターとして来てくれたレイチェルにお世話してもらったことのある少女だ。
アニーとバーバラはお互いレイチェルを通じて仲良くなった関係だ。

「レイチェルさん、もういないんだよね。レイチェルさんの結婚式に参加したかったけど、都合が悪くて行けなくて残念…」
「うん、でもライアンさんと結婚した時のレイチェルさん、すっごく幸せそうで本当良かったよ」
「レイチェルさん、明るくて優しくて楽しい人だったよね」
「初めてレイチェルさんを見た時は変な人だなあ、とは思ったけど同時に面白そうって印象も強かったわ」
「やっぱりあのガンマン衣装が素敵よね」
「うんうん!」

それからレイチェルのことについて、ひたすら楽しくおしゃべりをする。

「あのレイチェルさんの帽子を奪った男の子、今頃どうしてるんだろうね?」
「さあ、今も少年院でシバかれてるんじゃないの?」
「それからレイチェルさんをしばらく見かけない時期もあったよね」
「そうそう、急にいなくなるからビックリしちゃった。でも、ただどこかに出かけてただけで安心したわ」
「あっ!バーバラちゃんに見せたい物があるんだ」
「見せたい物って?」
0882この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 22:04:53.82ID:rd56vPYY
【また会いたいな】(2/2)

アニーはどこからともなくノートを取り出す。ノートに貼ってある、地元の新聞から切り抜いた広告をバーバラに見せる。

「これを見て。レイチェルさんがなぜか市長選に立候補された時の広告の一部よ」
「レイチェルさんに清き一票!…ってレイチェルさん、市長になるつもりだったんだ」
「ううん違うの。レイチェルさんは最初から市長になるつもりなんて全然無かったのに、町の誰かさんが無許可で勝手に立候補してこの広告を作ったのよ」
「これ見た時、レイチェルさん本当にビックリしてたわ」

「まあ、あれだけの活躍ぶりを知ったら、市長に立候補したくなっちゃう気持ちも分からなくはないかもね…」
「あとそれからね、私、実はレイチェルさんとメールアドレス交換してあるんだ!」
「あら偶然ねアニー。実は私もなのよ!」

お互いのスマホを見てみると、ちゃんとレイチェルのメールアドレスが登録されていた。

「こう、ちょっと退屈な時はレイチェルさんとメールのやり取りして楽しんでたわ」
「レイチェルさん、結構いろんな話題を提供してくれて面白かったわ」
「なんかナイトバザーの帰りに豪雨に見舞われて、赤信号で止まった時、血で染まった腕に足を掴まれたと思ったらただの赤いロープが絡まってただけだったり…」
「あとアウトドアに出かけた時、クマに追いかけられてブーツを片方持っていかれたりとかね」

もうすっかりレイチェルの話で夢中で、気がつけばお昼を過ぎており、お互いお腹がグゥーッと音を立てた。

「あっ、もうとっくにお昼来てたのね」
「楽しい時間ってあっという間に過ぎるものよね」
「近くのコンビニで何か買って食べようよ」
「いいわね」
「トニーもお腹空いたでしょ?」

トニーはうん!と元気よく相槌を打つ。
ベンチから立ち上がるとアニーとバーバラは近くのコンビニへと向かう。

「また、レイチェルさんと会えたらいいな」
「うん、メールで色々お話しとかしたいけど、ライアンさんとの生活を邪魔しちゃ悪いしね」
「確かレストランを開くみたいだから忙しくなりそうだしね」
「でもレイチェルさんと一緒に撮った写真があるから、寂しくなった時はそれを見てるんだ」
「私もよアニー。レイチェルさんはいつでも私達を元気づけてくれた。それを絶対に忘れちゃダメ」
「そうよね!今は心からライアンさんとの生活を応援しなくちゃ!」



レイチェルさん大好き by アニー&バーバラ
0883この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 22:12:30.41ID:rd56vPYY
>>882の最後の一部に誤りがあったので訂正

×レイチェルさん大好き by アニー&バーバラ
○レイチェルさん大好き by アニー&バーバラ(そしてトニーも)
0884三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/17(火) 13:21:13.45ID:TyxYW6a0
>>880
カースシリーズw

>>881
今回も早速w
『蜂蜜』トースト、市長選の『広告』w、レイチェルと『メール』
アニートニーの話かと思ったら、意外な人物がw
ずっとシリーズを追ってると、色々あったなぁ、って思い出しますね
0885この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/17(火) 13:50:20.32ID:Gt3ubqo2
>>884
感想ありがとうございます!
レイチェルがライアンと結婚してシチリアに旅立ったおよそ半年後の番外編です
シリーズで比較的出番の多かったアニーとトニーのスピンオフを書けて楽しかったです
でも彼女達だけじゃ寂しいかなと思って、ベビーシッター回のバーバラも共演させちゃいましたw
あと読み返してみるとアニー、ボクっ娘なのに一人称が何故か私になっているミスもあって「あちゃあ」となりました
ま、まあ子供は一人称が安定せずにコロコロ変わりやすい、ということで(笑)
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0886この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/17(火) 18:12:32.94ID:GWrjcDTk
>>881
閑話と言った所でしょうか?
懐かしい人を思い出して話し込むと言うのも良くある話ですね
レイチェルさんがSNSをやっていれば、きっと二人の話題も尽きないでしょうね
0887この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/17(火) 19:30:43.63ID:Gt3ubqo2
>>886
感想ありがとうございます!
バーバラはレイチェルのおかげで両親が以前よりも一緒に遊んでくれる時間が増えましたから、レイチェルにはすごく感謝しているんですよね
そうですね、もしシチリアでのハロウィンやVS謎の忍者騒動を聞いたら一日ずっと大盛り上がりしてそうですw
もし黒猫衣装のレイチェルを見たらどんな反応をするのか、想像しただけで面白いですウフフ
楽しんでいただけて本当に嬉しいです、ありがとうございます!
0888この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/17(火) 21:34:33.26ID:Gt3ubqo2
>>865
使用するお題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【魔法少女、最後の闘い】(1/3)
※魔法少女ナツミシリーズ完結編です

ナツミは魔法少女に変身し、そのパワーで凶暴で凶悪なモンスターの脅威から町の人々を守り続けていた。
ある朝、ナツミは制服に着替え、食卓でこんがり焼けたトーストを美味しく頬張っていると、新聞を読んでいた父が言った。

「なあナツミ、この一面を見ろよ」
「ん?何か面白いニュースでもあったの?」

父が見せたのは新聞の一面に大きく飾られた魔法少女の写真だ。まさにナツミ自身のことであった。

「(えっ、いつの間に誰が写真とか撮ったのよ…)」
「この魔法少女、本当に大活躍で凄いな。それにしても、どことなくナツミに似ているような感じだが気のせいかな?」
「き、気のせいよお父さんアハハ…(まずい、バレたらどうしよう)」
「それに今日ね、こんな広告も入ってたのよ」

今度は母が一枚の広告を見せる。その広告にあったのは「魔法少女さん、我々はあなたを愛している」の言葉と一緒に描かれた、魔法少女姿の自分だった。

「(こ、こんな広告勝手に作って!で、でもなんか嬉しいような…)」
「私達も今度会ったら握手かサインが欲しいわね」
「あ、もうこんな時間!私、行かなくちゃ!」

トーストと牛乳を一気に口に入れると、ナツミはカバンを持って家を飛び出した。

「ここまで話題になってたなんて全然知らなかった。まあスーパーヒーローみたいなものだから仕方がないか…」

一方、非常に深い地下の広い空間の中でモンスター達が集まって、何やら会議をしていた。

「我々モンスターの勢力は、憎き魔法少女ナツミの手によって崩壊の一途を辿っている。それを阻止するには、確実に彼女を抹殺せねばならん!」
「そうだそうだ!生意気な魔法少女なんか容赦なくブッ潰してしまおう!」
「骨も残らないくらいにな!」
「そのためには我々も捨て身の覚悟で挑まなければならん!あいつは強すぎる!」
「何か計画でもあるんですかリーダー?」
「ああ、もちろんだ…」

学校へ向かう中、ナツミのスマホの着信音が鳴る。メールのようだ。
一体誰からなのかとバッグからスマホを取り出して見てみるが、そのメールにはこう書かれていた。

"ナツミよ、我々はお前の正体を知っている。それからお前はあと数日の命だ"

その言葉にナツミは驚き冷や汗を流すが、メールの送信元は一切表示されていなかった。

「い、一体誰よ!イタズラメールにしてはやりすぎよ!まさか私を脅している気?」

その後も奇妙な通知がたくさん届き、ナツミは怖くなってスマホの電源を切ってしまった。

「(ガハハ、確実に動揺している。情けない姿だ、魔法少女よ…)」

物陰から誰かがニヤニヤしながらナツミの姿を眺めている。
今日は期末テストの最終日でしっかり勉強しているはずなのに、ナツミはあのメールのせいで試験に集中できなかった。
テストの最終日ということで今日の授業は午前中に終了した。

「ナツミン、今から一緒に喫茶店に行ってケーキでも食べない?」
「ご、ごめんユカリン!今日ちょっと家族で用事あるから、じゃあねバイバイ!」

親友のユカリの誘いを断り、ナツミは急いで家に帰る。
0889この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/17(火) 21:37:43.55ID:Gt3ubqo2
【魔法少女、最後の闘い】(2/3)

ふと公園に立ち寄ってスマホの電源をつけてみると、不気味なメールは既に100件以上も届いていた。

「悪ふざけにしては度を越しているわ。こうなったら警察に相談するべきかしら」

すると遠くからドゴーン!と凄まじい爆音が響いてきた。

「モンスター襲来!?こうしちゃいられない!」

今はメールのことで悩んでいる場合じゃない。ナツミは急いで赤いペンダントで魔法少女に変身し、爆音のする方へと向かう。
そこでは大きな黒い塊のロボットのような怪物が大暴れしていた。

「モンスター、また自分から無残にやられに来たのかしら?」
「口を慎め、生意気な魔法少女よ。今回の我々は本気だ、ナメてかかると痛い目に遭うぞ」

ロボットの中からであろうか、モンスターの声が響き渡る。

「そのセリフ、もう100回は聞いたわ」
「我々モンスターは元々700体の一大勢力であったのに、お前のせいで僅か10体にまで減少してしまった」
「ほとんど壊滅してるのと同じじゃん」
「今回はまさに我々モンスターの存亡をかけた最後の闘いだ。確実にお前を抹殺する!」
「そんな存亡とかどうのこうのは私にしちゃどうでもいいこと。来るならさっさと来なさい!」

ロボットの中では、生き残りの10体のモンスターが操作していた。

「食らえ!地獄の炎というものを!」

ロボットのアームから勢いよく繰り出される火炎放射、しかしナツミはそれをあっさりと回避する。

「廃虚となった銭湯にあったボイラーを盗んで改造したものだ!ちょっとでも食らうと火傷どころじゃ済まないぞ」
「いくら強力でも当たらなければ意味がないじゃない。知らないの?」

ナツミは次々と繰り出される火炎放射や冷気光線、放電といったバリエーション豊富な攻撃を軽々と回避していく。
どんなに攻撃をしても彼女に当たらない、しかしそれがモンスターの狙いだった。
一瞬、ロボットの攻撃がストップし、ナツミが地上に降りたその時だった。
ベチャッと変な音がし、足下を見てみるとオレンジ色のベタベタした液体のようなもので地面が覆い尽くされていた。

「な、何これ!?なんか良い匂いがする、もしかして蜂蜜?」
「ガハハ!その通りだ!」

ナツミが攻撃を避けるのに夢中になっている隙を狙って、地面を大量の蜂蜜で覆ってベトベト地獄にしたというわけだ。

「う、動けない!」
「いくら強力な魔法少女でも動けなくなったら全然怖くない!」

ロボットのアームから冷気光線が放たれ、ナツミの体がどんどん凍っていく。

「つ、冷たい!や、やめて…!」

ナツミはベトベト地獄で身動きできないまま、容赦なく氷漬けにされていくしかなかった。
とうとう完全にナツミの体は凍りついてしまった。町の人々も成す術なくやられる彼女の姿に絶望を感じるしか他なかった。

「やったぞー!ついにナツミを倒したぞー!」
「我々の完全勝利だ!」

モンスターのリーダーがロボットから降りてナツミの方に歩み寄る。

「あとはハンマーで粉々に砕ければOK、でもその前に…」
0890この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 21:46:03.14ID:Gt3ubqo2
【魔法少女、最後の闘い】(3/3)

リーダーはどこからともなくマジックを取り出して、氷漬けになったナツミの体に「バカ」「アホ」「マヌケな女」と落書きして遊ぶ。

ロボットの中からその光景を見て、下っ端の一人がゲラゲラと笑うがその拍子に赤いボタンを押してしまう。
その赤いボタンは火炎放射を発動するもので、その炎が氷漬けになったナツミに直撃する。
強力な火炎放射のおかげで氷が溶けていき、ナツミは完全に自由の身となった。

「やった!自由になれた!さてっと反撃開始といきますか!」
「く、くそぉ!こうなったらヤケクソだー!!」

リーダーは急いでロボットに乗り、再び猛攻を始める。しかし、ちっともナツミの敵ではなかった。
ヤケクソの攻撃を軽々と回避し、ナツミは勢いよくジャンプするとロボットに飛び蹴りをクリーンヒットさせる。

「こ、こんな形で壊滅とか…そんなバキャ…!!!」

ロボットの体にヒビが入り大爆発、その断末魔と共にモンスターは全て消滅してしまった。

「やったー!今回も魔法少女大活躍だー!!」

人々が歓喜に満ち溢れる中、ナツミは急いでその場から飛び去っていった。

「今度こそ中の人が誰か掴めるチャンスだったのになあ…」

陰でナツミの勇姿を撮影していた新聞記者達が悔しそうに呟く。
ナツミが物陰に隠れて変身を解除したその時、ペンダントがパリン!の音と共に割れてしまった。

「割れちゃった!?ど、どうして!?」
「魔法少女としての使命を果たし終えたからです」

その言葉と共に現れたのは、あのナツミに魔法少女に変身できるペンダントを渡した謎の妖精だった。

「ナツミよ、あなたのおかげで凶悪なモンスター勢力は完全に滅亡となりました。もう二度と現れることはないでしょう。心から感謝しております」

その妖精は、モンスター勢力に容赦なく一族を殺された被害者だったのだ。その悪の組織による暴虐から人々や世界を守るため、
必死に魔法少女に相応しい人物を探していたのだ。それがまさにナツミだったというわけだ。

「私の目は間違ってはなかった。ナツミ、あなたは最高の魔法少女でした。今まで本当にありがとう。私とも二度と会うことはないでしょう…」

妖精は既に寿命が来ていたのであろうか、それが最後の言葉となり消滅してしまった。

「そ、そんなあ…こんな別れなんてないよ…」

ナツミの目からポロリと大きな一粒の涙がこぼれる。

・・・・・・・・・・・・

あれから2年が経過し、ナツミは既に高校を卒業して就職していた。
魔法少女になってモンスターと闘っていた日々は、とても良い思い出として残っている。
魔法少女に変身して悪と闘いたくなる時も今もよくあった。でもやっぱり平和が一番だ。

「妖精さん。私、あなたの分まで力強く生きるわ!」

その言葉を胸に毎日を前向きに、そして一生懸命に生きる。それがナツミなのである。
0891三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/18(水) 12:41:47.62ID:VeFmu8s1
>>888
これまたまさかの完結編で全選択とは
新聞に『広告』に、脅迫『メール』、『銭湯』のボイラー、『蜂蜜』攻撃w、『中の人』は知れず
まだまだ続けられたのではと思いますが、敵が滅亡では仕方ないw
最後はちょっと物悲しい、独特の世界観が楽しいシリーズでした

レイチェルシリーズほどの広がりはないにしても、なんかまだ引っ張れそう^^;
0892この名無しがすごい!
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2020/03/18(水) 13:07:21.88ID:8Qc8fXW2
>>891
感想ありがとうございます!
はい、突然ですが今回で魔法少女ナツミシリーズは完結です。もっと続けたいとは思ってたのですが、
これ以上強い敵を思いつかなくなったのと、基本一話完結式だけど日常色の強いレイチェルシリーズと違って
悪を倒していくのが目的のストーリー色が強いシリーズですからきっちり締め括ろうという考えが自然と強まってきたんですよね
ナツミの活躍やユニークなモンスター勢を色々と書けて本当に楽しかったです
でも今のところ続編とか番外編を書く予定は一切ないですね(もしかしたら気が向いたら書くかもw)
今まで楽しんでいただき、そして応援していただけて本当に嬉しいです!
0893この名無しがすごい!
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2020/03/18(水) 23:10:54.76ID:gL3uKiw0
>>866
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】(1/2)

お題:『広告』『中の人』


『散りぬべき
 時知りてこそ
 世の中の
 花も花なれ
 人も人なれ』

 不意に耳に届いた聞きなれた声に、天城 洋輔は思わずカードを捌いていた手を止めてしまった。
 広告用の店内モニターの中では、随分と現代ナイズされた甲冑姿の姫武者が周囲の男達をバッタバッタと切り倒している。
 多くの来店客が足を止め、中にはスマホで写真をとっている者も居た。
 そんな人達を横目で見ながら、洋輔は、つまらなさそうに筐体のモニターを睨み付ける。

(最近の中の人は、随分と露出の多い事で)

 「へっ」っと鼻で笑いながら頭の中で悪態を吐くと、広告用モニターに映る、中の人こと九条 空音の姿を盗み見る。
 モニター越しの彼女は、キリリとした表情で自身の担当するキャラクターの衣装を纏い、まるで本物の姫武者の様に見えた。

 洋輔と空音の家は隣同士で、昔から家族ぐるみでの付き合いがある。
 その為、洋輔も彼女とは物心付く前からの知り合いであり、空音とは良く一緒に遊んだものだった。
 洋輔が前を歩き空音が後ろをくっついて行く……そんな関係に終止符が打たれたのは、彼女が声優に成ったからである。
 そもそも空音は「女優さんになりたい」と言う夢を持っており、その為、子供でも所属できる劇団に入っていた。
 そして、彼女が12才の頃受けたオーディションで、見事合格したのである。

 それこそが、今洋輔のやっているアーケードゲームであり、しかし、その時の空音の役は大勢いるキャラクターの内の一人にすぎなかったのだが。
 しかし、このゲームが大ブレイクし、その上、空音の声をあてていたキャラクターが、メインヒロイン達を差し置いて、まさかの大人気キャラクターとなったのである。

 そうなれば、中の人である空音に注目が集まらない訳はない。
 彼女は、その整ったルックスも相まって、一躍アイドル声優の道をひた走る事と成ったのである。

 当然だが、決してそこまでの道のりが平坦だった訳ではない。彼女がどれ程努力を重ねて来ていたか等と言う事は、洋輔だって知っている。
 ただそれと、どうにもできない持て余した感情が沸き上がる事を止められないと言う事とは関係は無い。
 そればかりは、理屈でどうにか成ると言う話では無いからだ。

 しかし現状、洋輔はただの学生でしかなく、洋輔と空音の関係は、ただのご近所さんでしかない。
 そんな彼が、彼女にとやかく言える事など何もなく、精々、このゲームで空音が声をあてているキャラクターを使わないと言った程度の抵抗しか出来なかった。
0894この名無しがすごい!
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2020/03/18(水) 23:14:12.05ID:gL3uKiw0
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】(2/2)


 ゲームが終わり、筐体からカードが吐き出される。
 洋輔は何時もの様にそれに手を伸ばす。今日の戦果はコモン13枚にアンコモン5枚。Sレアとまでは行かなくともレアくらいは引いて置きたい所だった。

「!!」

 カードが手に触れた瞬間、静電気が走った様な痛みを感じ、洋輔は思わず手を離す。
 自分の手とカードとを交互に見返すが、しかし、その原因が分かる訳も無く、洋輔は恐るおそると言った感じで、カードを引き抜いた。
 ホッと息を吐き、クルリとカードを表に向けた洋輔だったが、そこに描かれていたキャラクターを認めると彼は顔を顰める。

 『EXR:細川ガラシャ』

 ホロ印刷されたそのカードは、まごう事なきレアカードであり、それを手に出来る者はほとんどいないだろう。
 だが……

「こんなデザイン、ゲーム雑誌に載ってたっけ?」

 ガラシャと中の人がダブって見える様なデザイン等、洋輔が知る限り記憶には無い物だった。その強さも含め、色んな意味でエクストラレアなのだろう。
 だが、そのカードは洋輔にとっては確かに鬼門だった。
 何せ、このキャラクターこそ、あの空音が声をあてているキャラクターに他ならなかったからだ。
 当然だが、このカードを洋輔が使う事は無い。まさに無用の長物である。

 洋輔は、そのカードをごみ箱に捨てようとして、しかしなぜか捨てる気が起きず、結局思いとどまった。

「カードやキャラクターに罪がある訳じゃないしな」

 そう呟くと、そのカードはデッキケースに仕舞わずに、そのまま制服の胸ポケットに仕舞い込んだのであった。

 ******

 スマホを操作しながら、洋輔は家路を歩く。
 色々なネットの情報を見てみたのだが、やはり、あのカードについての情報は皆無だった。

「限定カードって事なのか?」

 チラリと、カードをしまっている胸ポケットの方を見る。だからと言って答えるはずも無いのだが。
 もうすぐ自宅と言う所で、洋輔は車が止まっている事に気が付いた。車中の男女であろう二人は、外からでも分かる程に近い。

(こんな真昼間からさかってんじゃねぇよ……)

 眉根を寄せながらも、視線を逸らし通り過ぎると、その直後、車のドアがガチャリと開き、誰かが小走りで降りて来た。
 その人物が彼の脇を通り過ぎる時、洋輔は思わ磁目を瞠った。

「空音?」

 その呟きに反応したのか、その人物……空音が驚いた様な表情で振り返る。

「ヨーちゃん?」
「お、おう」

 何とも気拙い気分で洋輔が視線を逸らす。空音はどこか安堵したような表情を浮かべるが、しかし次の瞬間、ビクリと身を震わせると「ゴ、ゴメンね? ちょっと急いでるから」と言うが早いか踵を返して走っていっていまった。

「……何やってんだよ、俺は」

 手で顔を押さえながら、洋輔は自己嫌悪で思わずため息を吐いたのだった。

 だから、気が付かなかったのだろう。そんな洋輔に鋭い視線を送るものの存在を……
0896三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/19(木) 13:18:49.50ID:JCzgtvA5
>>893
キラーと言うか、、全力で風呂敷を広げちゃった感じですね・・・
なんで誰が書いても2レス使ってしまうのか!
『広告』のキャラ、『中の人』はお隣さん
謎のカードと中の人の事情、続きが気になります!
0897この名無しがすごい!
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2020/03/19(木) 15:24:39.47ID:66z7ET4u
ふろしき広げまくってるぶんにはいいと思うな
割とまとめるだけだからアイデア出しはかなり楽だよ
二番手、明後日中には書きます
あと進行さん、これの字数制限だいぶ厳しいものあるから3レスにしたほうがいいと思う
0898三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/19(木) 18:27:15.45ID:JCzgtvA5
まぁー、この続きを1レスってのも書きにくいでしょうから、3レスでも仕方ないですね

もちろん1レスで超手短にまとめてくれてもいいのよ!
0899この名無しがすごい!
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2020/03/19(木) 21:50:06.18ID:N/mzhw+S
>>888

魔法少女ファイナルですね
世界を荒らしていたモンスターも、これで居なくなりましたね
世界の平和を守ったナツミ、修造並のポジティブも流石です

>>896
感想有り難うございます
実の事を言えば、これでも半分近くエピソードを削ったのですが……
自己申告の締め切りギリギリになり、あわてて投稿と言う体たらく
1スレに纏めきれず、申し訳ありませんでしたorz
0901この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/19(木) 22:27:34.43ID:zdK0ZfL7
>>899
感想、嬉しいお言葉ありがとうございます!
ナツミのモットーはいつまでも悩んでいないでまっすぐ行こう!ですからね
彼女のポジティブで尚且つちょっとやそっとでは絶対に折れない精神の強さに妖精さんは惹かれたのです
レイチェルに対するライアン、カナミに対するハヤトのようにナツミにも恋人的存在を作って
恋愛要素も取り込もうと考えたのですが、余計かなと思い結局ボツになりました
とにかくナツミとモンスターの激しいバトルをメインにして書きたかったのでw
今まで応援していただき本当にありがとうございました!
0902三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/19(木) 23:23:25.89ID:JCzgtvA5
>>899
うーんそれはそれでなんかすまぬです

ただ1レスルール、厳守させようとは思わないですけど、無制限に緩和するわけにもいかねえ
0903この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/19(木) 23:27:10.10ID:JCzgtvA5
>>865

使用お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【銭湯のクマさん】

 番台に女一人。ロビーにクマ一頭。
「なあ」
「何かな、クマさん」
 黒々とした毛皮が、湿り気を帯びてつやつやと光る。
「客、来ねえな」
 このクマはほとんど毎日顔を出す。初めて来た時は、男湯のみならず建物全体が獣臭くなり、皆大いに困ったものだが、今ではすっかり清潔なクマである。
「来ないね。もう少ししたら来ると思うけど」
 まだ早い時間なので、客が来ないこと自体に不都合はない。だが問題はそこではない。
「なあ」
「何よ」
「バランスシートは大丈夫か」
「……はっ?」
「BSCは作ってるか。KPIは設定してるか?」
「……このクマ何言ってんの」
 どこで聞きかじったか、このクマは、難しいことを話すのが好きなのだ。
「とりあえず……広告でも出したらどうだ」
 つまりはこの銭湯の経営を心配しているのだった。
「そうだね。広告でも出したらいいかもね」
 客の入りが悪いのは事実だ。常連客はそこそこ入っているが、ともすると赤字になりかねない状況だ。
「なあ」
「何?」
「『蜂蜜の湯』ってのはどうだ」
「何それ」
「蜂蜜だ。クマの好きな蜂蜜だ」
 そう言いながら、両手で持ったカップを器用に傾ける。風呂上がりに蜂蜜の入った飲み物。このクマの習性だ。
「よく分からないけど……それってクマ得なだけよね。却下よ、却下」
 言われてクマは気落ちしたか、少しの間だけ黙っていたが、やがて再び口を開く。
「なあ」
「……今度は何よ」
「インターネットだ」
「はあ」
「メールマガジンなんてどうだ」
「……いいんじゃない」
 するとクマは満足そうにうなずいて、カップの中身を飲み干す。
「俺がクマだ」
「……そうだね」
「これを見ろ」
 どこからともなくタブレットを取り出すクマ。あるサイトを開く。
「オダイチューブ?」
 動画サイトだ。
「これだ。この……ナントカ太郎ってやつだ」
「はあ」
「こいつには中の人がいるようだが……いないかも知れんが……俺には中の人などいない」
「ああそう」
 クマはまた一つうなずく。
「もふもふだ」
「もふもふ?」
 クマはうなずく。
「もふキャラだ」
「…………どゆこと?」
 クマは大仰にうなずく。
「俺がクマ――」
「あっ、お客さんだ。いらっしゃーい」
 こうしてクマの話は尻切れとんぼに終わったが、筆者は、お題をすっかり消化した上、話が丁度一レス六十行に収まったので、そこそこ満足した。おしまい。
0904三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/19(木) 23:28:17.87ID:JCzgtvA5
実はくまクマもシロクマも読んでない作者
ともかくこのお題、、、これ以外考えられないクマー

検索すると泉鏡太郎(泉鏡花)の「銭湯」が引っ掛かってきます
当然にうまいんですが、注釈がないと細かいところの意味が分からないw
0906三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/20(金) 12:18:15.17ID:I9JhyEkN
>>905
本来の趣旨は、3人で1作品、かるーく書いてスレの間を持たせよう、ってことだったんですけどねw
1レスで書きにくいってんじゃ仕方ないなぁ
0907この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/20(金) 19:23:42.30ID:z48xzElt
まぁ「三人分の作品を完成させてスレを盛り上げよう」でもいいんじゃない?
前回書いた時は、それなりに収まったけど3レスあると安定するとは思うしね

どっちにしろ結構楽しいので好き
0908この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/20(金) 22:23:15.88ID:kXFR3O5a
>>865
使用するお題→『蜂蜜』『メール』『広告』『中の人』

【保安官も楽じゃない】(1/3)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは彼女の愛馬サンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。

「あっ、そういえば!止まってサンセット!」

シンディはふと何かを思い出し、腰にホルスターと一緒に付けている黒い袋を取り出す。
その袋にはお金が入っているのだが、中はスッカラカンで一文無し状態だった。

「どうしよう、お金が全然無い。参ったわね…」

シンディはさすらいの旅を続ける一方で、賞金稼ぎとして高値がつけられた賞金首を捕まえて荒稼ぎしていた。
これまでに賞金首を20人以上捕まえて得た大金も既に底を突いていた。

「これじゃあ私とサンセットの食糧が買えない。誰でもいいから急いで賞金首を見つけて金を作らなくちゃ」

シンディは仕方なくあらゆる町や村を渡って、指名手配のチラシや広告が無いか確かめるも都合良く見つかるはずがなかった。
必死に探しているうちにすっかり日が暮れ、夜になっていた。シンディのお腹がグゥーッと音を立てる。サンセットも空腹なのか不機嫌そうだ。
すると目の前に小さな森が見えてきた。森の中なら何かしら果物でもありそうだ、シンディはそう考える。

「サンセット、何か食べれそうな物見つけてくるからここで待ってて。なるべく早めに戻ってくるから」

シンディはサンセットから降りると、森の中に入っていった。しかし既に夜で真っ暗なため、周りがよく見えない。
その時だった。シンディは足を滑らせ、急斜面を真っ逆さまに転げ落ちていった。

「ウワアアアアアアッ!!!」

シャツやコート、ジーンズは破け、腕や足を酷く擦り剥いて出血してしまっている。

「い、痛タタ…」

そのままシンディは気を失ってしまった。

・・・・・・・・・・

「う、うーん…って、ここどこ!?」

目が覚めるといつの間にかベッドの上にいることに気付く。擦り剥いた腕や足には、きちんと包帯が巻かれて手当てされている。

「あっ気がついたようだね!お姉さん、大丈夫?」
「あ、あなたは?」
「僕はケビン。お姉さん、傷だらけで倒れているの見てビックリしたよ」

ケビンと名乗るその青年が見つけ、自分を手当てしてくれたのだ。

「あ、ありがとう。でも行かなくちゃ、サンセットを待たせているの」
「お姉さん、もしかしてシンディさんだよね?」
「ど、どうして私の名前知ってるの?」
「だってよく新聞に載ってるんだもん!」

今いる部屋の中を見渡すと、自分の姿が描かれた新聞の広告が壁にたくさん貼られているのに気付く。

「無法者達を倒して、さすらいの旅をしてるんだよね。僕、あなたの大ファンなんだ!」
「私、新聞に載せられるほど有名だったのね。全然知らなかった…」

すると一人の髭を生やした小柄な男が入ってきた。
0909この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/20(金) 22:24:08.37ID:kXFR3O5a
【保安官も楽じゃない】(2/3)

「初めまして。私、この町の長でありますロバートと申します。あなたがシンディさんですね、お会いできて光栄です。実はあなた様にお願いがございまして…」

町長ロバートの話によると、この町には長いこと保安官が不在ということだった。
その保安官になって町を守ってほしいという要望だった。

「私、保安官とかそういうガラじゃないの。別の人に頼んでもらえるかしら?」
「そう言わずに。しばらくの間でも構いませんから保安官をやってもらえませんか?報酬はいくらでも出します」

報酬、その言葉にシンディは目をキラキラと輝かせる。

「仕方ないわね、分かったわ。7000ドル出すならやってもいいわよ。私、こう見えて結構お金にはうるさいの」
「いいでしょう!」

7000ドルの報酬のため、シンディはしばらくの間その町で保安官を担うこととなった。
ロバートから渡された保安官の証である銀色のバッジを胸につける。

「(今はとにかくお金のため!お金を貰ったらすぐに出て行くから悪く思わないでね)」

しかしシンディは保安官の仕事をかなり甘く見ていた。
朝の5時に起きて町の巡回、郵便配達の手伝いや書庫の整理、清掃など数々の雑用をこなし、夜の11時に就寝というルーティンだった。

「こ、こんなにハードとは思わなかった…」

ただ外でのんびりと椅子に座って、いざ無法者が攻めてきたら戦闘開始!それだけと考えていた自分がバカに思えてきた。
保安官の仕事、そのルーティンを始めてから1週間ほどが経過した。

「も、もうイヤだ…」
「シンディさん、保安官の仕事今日もお疲れ様!」

ケビンが何か入ったボウルを持ってシンディに駆け寄ってきた。それは蜂蜜のかかったビスケットだった。

「僕のお婆ちゃんが作ってくれたんだ。どうぞシンディさん、疲労回復には蜂蜜が良いんだよ」
「ありがとう、すっごく美味しい!」

蜂蜜ビスケットを楽しんでいたその時、ズシンズシンと大きな足音が聞こえてきた。
その音のする方に目を向けると、2メートル以上もある黒くて毛むくじゃらの体をした大男が立っていた。

「あ、あれってもしかして…!」
「ビッグフット!?」

まさか伝説の生き物がこんな町に現れるとは、まさに予想外の出来事だった。
ビッグフットはウガアアッと牙を剥き出しにして、シンディとケビンの方に突進してきた。

「ケビン、危ないから隠れて!」

シンディはホルスターから銃を取り出して、ビッグフットを撃ち倒そうとする。
しかし、その巨体からは想像できないほど俊敏で、ビッグフットは彼女を思いきり殴り飛ばす。

「グヘッ!!」

シンディは吐血、右腕を骨折してしまったようだ。そんな彼女の折れて動けなくなった右腕を、ビッグフットは笑いながら踏みつける。

「ぐ、ぐわあ!!」
0910この名無しがすごい!
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2020/03/20(金) 22:25:00.31ID:kXFR3O5a
【保安官も楽じゃない】(3/3)

ビッグフットの大きな足が迫ってくる。もうダメだ、踏み潰される!シンディが死を覚悟したその時だった。
ヒヒーン!の雄叫びと共に一匹の馬が現れ、ビッグフットに勢いよく体当たりした。

「サ、サンセット?」

その馬はサンセットだった。今まで保安官の仕事で多忙だったため、すっかり彼女のことを忘れてしまっていた。
サンセットは倒れたビッグフットに追い討ちをかけるかのように後脚で蹴り飛ばす。
その勢いでビッグフットの頭が吹き飛んだ…と思いきや、そこから人間の顔が露わになった。

「クッソ痛えな!生意気なメス馬め!」

どうやら着ぐるみで中の人は筋肉質の屈強な男だった。その男の名はクランク。
かつて無法者集団「ブラッディドラゴン」を率いるリーダーだったがシンディによって部下を全滅させられ、以後賞金首として狙わられる日々を送ることとなったのだ。

「シンディ、やっとてめえを見つけて殺せるチャンスが来た!お前の馬も一緒に天国に送ってやる!」

サンセットの渾身の蹴りを食らってもピンピンとしている。その頑丈さに諦めるしかない、と絶望を感じた次の瞬間!
バン!と銃声が響き、銃弾がクランクの頭を貫く。なんとケビンが気付かれないように背後に回って撃ったのだ。

「こ、この小僧…!き、貴様、ぶっころ…!」

そのままクランクは息絶えてしまった。

「やったわねケビン!」
「ハァ、ハァ…僕もすっごく怖かったよ」

保安官の仕事を全うしたことでシンディは7000ドルの報酬を無事に得ると同時に、ケビンは勇気ある行動が認められ、町の保安官に任命された。

「ま、まさか僕が保安官に選ばれるなんて…自信ないなあ」
「あなたなら大丈夫。銃の扱いもなかなか良かったわよ」
「あ、ありがとうございますシンディさん。僕、頑張ります!」

胸につけられた銀色のバッジだけでなく、ケビンの顔も満面の笑みでキラキラと輝いている。

「サンセット、これ見て!7000ドルもゲットできたわよ!これなら数年は大丈夫ね」

しかし、サンセットは不機嫌そうな顔でシンディを睨み、彼女に向かって荒々しく鼻息を吹きかける。

「そうだったわね、心配かけて本当にごめんなさい」

そうシンディが謝るとサンセットはすぐに笑顔になり、嬉しそうに彼女の顔をペロペロと舐めた。
骨折した右腕を手当てしてもらい、動かせるようになるまで回復するとシンディはサンセットに跨って町を後にするのだった。
0911三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/21(土) 01:00:31.96ID:wrIeWDIX
>>907
それでいいことにしましょうか
今回の1番さんには不公平になるので、その点は申し訳ないですが、これはもうどうしようもねえ><
1レスルールは以降なしとします

>>908
実は待ってたシンディシリーズ
『広告』など、『メ……』郵便かw、『蜂蜜』ビスケット、ビッグフットの『中の人』
今回はサンセットと離れ離れ、その上すっかり忘れる、ひどいw
しかし最後はうまくいって、有能な後任までw、なかなかに楽しい話でした
0912この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 06:25:00.31ID:lpglQaKq
>>911
お、まじ? 今回からいいのか!
先鋒さんには申し訳ないがありがたく使わせていただきますわ
ご英断ありがとうございますー
0913この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 07:45:38.28ID:aWtiE6Th
>>911
感想ありがとうございます!
シンディは賞金稼ぎでもあり、冗談抜きでお金には結構がめついところがありますw
お金のことで必死だったとはいえ、愛馬の存在を忘れるなんて確かにひどいですよねw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0914この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 20:53:35.96ID:Dd95QjiE
>>908
貧すれば鈍すると言った所でしょうか?
ですが、情けは人のためならずの様に、巡り巡って、我が身を助けたと言う事ですねw
0915この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 21:19:01.15ID:aWtiE6Th
>>914
感想ありがとうございます!
貧すれば鈍する、情けは人のためならず…今回の話はまさにその通りですね
シンディは基本的に利己的で自ら率先して人助けはしないんですけど、何だかんだ言ってお人好しなんですw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!シンディシリーズはどんどん続きますのでどうぞお楽しみに!
0916この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:46:00.40ID:lpglQaKq
>>866
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】(1/2)

お題:『広告』『中の人』


 車がエンジンをふかしながら、日光に煌めく道を走り去り、青空に溶け出すように消えていく。
 それをぼうっと見送ってから太陽の白い熱線のなか五歩、洋輔は踏み出すと、ふと生暖かい感触が太もものあたりをさすってくるのを感じた。
「ナイ……ナイ……アルノニ……ミエナイ」
 その声に「はあ?」と反応したとき、思わず目を剥いた。
 白昼の住宅街にはあまりに不似合いなちぎれ錆びれた鎖帷子が、艶も失った禿げ頭と共に、彼の足にまとわりついていた。
──なんだ、こいつ。浮浪者──にしては、おかしいぞ……。
 道のど真ん中で、洋輔は固まっていた。ズボンの上から下半身を撫で上げるねっとりとした感覚に、思わず顔をしかめる。
「おい、おっさん」
 生理的な反応に身を任せて、喉元を開く。魚のように視線の定まらない双眸が、はっきりとこちらをとらえたのが分かった。
「ミエテイルナ……キ、サ、マ」
 こいつは、何かヤバい。脊髄反射がそう叫んだ。
「誰か!」
「キサマ! ミテイルナァァァ!」
 刹那、洋輔は刀で肉を切る音を初めて聞いた気がした。肩に伝う大きな衝撃。自分は、横向きに倒れこんだらしい。
 瞼を開くのが怖い。自分の肉体が今どのようになっているか、それが身を強張らせるのだ。
 が、ふと耳に入った聞きなれた声が、筋肉も瞼も弛緩させた。
「ヨーちゃん!」
 漆塗りのようなあでやかな髪が、最初の視野に収まった。
「空音……?」
「ヨーちゃん、大丈夫?」
「ああ……」自分の体に視線を落とすと、四肢は今まで通り胴体につながれている。
 ほっと胸をなでおろしたが、つかの間、こちらをかかんでのぞき込む空音の背後に俊敏な黒い影が飛び込んだ。
「空音、後ろ!」
「ッ! 『星の暗示』!」彼女は素早く懐からカードを取り出して、目前に掲げると、手元にあった刀が光を帯びる。「オラァ!」
 一手遅れた。それは洋輔にも見てとれた。
 相手が俊敏に繰り出した脇差しの剣戟を弾くことはできたが、空音はその勢いに負け体勢を崩し、尻もちをつくようにして倒れこむ。
 しかし、彼女の表情にちらと目をやると、存外に空音は取り乱していなかった。息を切らしながら、彼女は立ち上がり刀を構える。
「星の光の力……これでしばらくあなたは動けない……。とどめよ! 『戦車の暗示』!」
 カードを投げ捨てながらそう吐き捨てる彼女の刀身は細かく振動をはじめ、次の瞬間、目にもとまらぬ高速の刺突が繰り出された。
──すげえ。
 洋輔は不意にそんな彼女の姿に目を奪われていた。
 銀色の閃光を放ち敵を刺し貫く彼女の姿は、あまりに美しく、あまりに力強く、あまりに遠い。痺れるような羨望の念さえわいた。
「ヘァァア!」刀身が鋭く閃き、空音の背中で「落ち武者」は崩れ去った──。

「ヨーちゃん、大丈夫?」
 洋輔の喉元を「うん」という声は通らない。何かを肯定できるほど、洋輔が落ち着いていられるはずもなかった。
──でも、何か答えなくちゃ……。
 怪訝そうにこちらをのぞき込む彼女の大きな目を見つめ返すと、なぜかそんな気がした。
 深く息を吸ってみて、やっとセリフが唇をすり抜け始める。
「説明してもらうぞ」
「……」切なげに目を細めてから投げやるように地面を見る彼女の横顔は、記憶を辿るよりも鮮明に、ディスプレイよりずっと美しく網膜に映った。
「古代より世界各地に存在する妖の類に対応してきた組織──秘密結社アルカナ。名前を聞いたことは?」
「ないな。都市伝説にでもなってるのか」
「一部ではね。私はそこに所属する兵士の一人なの。様々な『カード』を使ってその中に含まれる意味や表現から力を引き出して戦う。それが私」そこまで言うと彼女はまっすぐこちらを見た。「このこと、黙っていてね」
「ああ……」
 あまりに直線的な目線は同じベクトルに洋輔の言葉を巻き込んだようだった。
 空音が「私、行かなきゃ」と満足げに立ち上がるのを、引き止めもせず見上げていることしかできない。
 その小ささが自分に合っている気さえしてしまう。
──雲の上だよな、結局。
 自分も膝を立てながら、卑屈な笑みがこぼれるのを感じた──瞬間、空音の痛烈な足蹴が顔面に炸裂した。
0917この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:49:50.19ID:lpglQaKq
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】(2/2)

お題:『広告』『中の人』


「ヨーちゃん! 右よけて!」
「ボムギ!」
じーんと痛みが滲む鼻先を手で覆いながら空音の方を見やると、既に再び光を帯びた刀が空を舞っていた。
 刃先が示す剣筋、その同線にあの禿頭はよろめきながら佇んでいた。
「さっき空音が倒したはずじゃ──」
 洋輔の言葉は、空音の野太いうなりにかき消えた。「オラオラァ!」
 白昼の陽光に刃は煌めき、男の体は両断された。
「これで……」
 刀を鞘に納め、軽い嘆息を一つ漏らした。だがつかの間、その瞼は大きく見開かれる。
「ムダムダ……シンシュノワタシハ、ホカノアヤカシヲブッチギリデコエタノダ!」
 思わず、洋輔の視線もその薄汚くグロテスクな傷口に釘付けにされた。
 ぱっくりと二つに裂かれたはずの肢体が、湯気をあげながら瞬時に修復している。
 「そんな」と、洋輔が呟くのと同時に、空音の体躯がガクンと落ちていく。
 膝をついた彼女の表情はまるで見えなかったが、小刻みに震える華奢な肩に、その面立ちは浮かび上がるようだった。
「私、やっぱりだめだ……」
 その言葉が、洋輔の頭をなぐりつけながら優しく包み込むような気がした。
 腹から煮えたぎる悔しさと胸の奥底から噴き出す生気が、口の中で歯軋りとなってがりがり音を立てた
──空音。俺は……。
 洋輔はかがむと、空音の刀の柄に手を伸ばし、掴んだ。
 その時、彼女の白い指先が手のひらに触れるのを感じた。
「ヨーちゃん……?」
「お前の手、大きくなったけどさ」ちらと、涙にぬれかけたくしゃくしゃの顔を見る。それでも、彼女は美しかった。「まだ俺のほうが力は強いかもな」
 そしてはっきり、まっすぐに敵の立ち姿を視界に収める。深く息を吸うと、横隔膜が選択を確認するように、何度も波打った。
「……行くぞ、化け物!」
 空音の叫び声が、振り上げた鉄塊の重みを加えるようにのしかかる。
 心臓が震え、身を焦がし燃え尽きそうなほどの熱がたぎるまま、雄たけびを上げる。
 脈が血液のビートを刻んでいるかのように激しい動態を示した次の瞬間、日光に照らされ山吹色に閃いた刀身が、過剰なまでのスピードで空中を駆った。
「コォォォォォォ!」
 刃は敵の体を肩から脇腹に抜けようと走りゆく。洋輔は柄を握る手に力を込めた。──が。
0918この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:51:50.00ID:lpglQaKq
(すまんレス数の見積もりを誤った)

【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】(3/2)

お題:『広告』『中の人』



「ムダムダムダァ! サルガニンゲンニカテルカ? オマエハオレニトッテノ──」洋輔が双眼を見開く間もなく、敵の拳がみぞおちに食い込む「モンキーナンダヨ!」
 血反吐を吐きながら、洋輔は後方に吹っ飛び塀に叩きつけられる。
 間髪入れずにじり寄ってくる影をはじめ敵と錯覚したが、艶のよい髪を見て少しだけ胸をなでおろした。
「なんでこんなこと……」さっき目尻に浮かんでいた涙はいまやぼろぼろと落ち洋輔の体表に雨を降らしていた。「あいつには勝てない……最新アップデートされたカードがなきゃ」
 うつむき加減の彼女は、「私のせい」と続ける。
「今日、カードの支給を私がミスってなければ……」
「うるせえよ」空音は、拍子抜けしたように顔をあげた。彼女の嗚咽が、一瞬でも止まったことに安堵している自分がいる。「お前は昔から、俺が『無理』とか『無駄』とか思いたくなるようなこと散々やって、成し遂げてきてる。
それはお前が生まれた瞬間から持っていたものだけが作り上げてきた結果じゃないはずだ」
 彼女の瞳の中を、洋輔は見つめた。
──そうだ、こいつは雲の上にいるアイドル声優なんかじゃない。俺が昔たくさん遊んでよく知っている、負けず嫌いで頑張り屋な九条空音だ。
 ポケットの中をまさぐり、固く、滑らかな感触を確かめるとそれを引き出し、空音の前に掲げる。彼女は涙を拭ってから目を丸めた。
「最新鋭のカード!」
 敵が「ソコニアッタカ!」と叫ぶのも聞こえる。
「やっぱそうか。なんかそんな気がしたんだ」頭の後ろのあたりに手をまわし、ポリポリと掻く。妙に心地よかった。
「なんであんなところから出てきたのかは知らないけど、これで戦えるよな」
「でも、初使用の時はこのカードのデータを私にインストールする必要があって……」
「どれだけあればいい」
「……三分」
 おもむろに、洋輔は刀を立てながら膝を地面に突く。瞳は敵をはっきりとらえている。
「ちょっと、そんな体じゃ……」
「無理じゃない」悲痛さを浮かべた面貌を一瞥してから、洋輔は刀を構えた。「お前に乗り越えられてきた『無理』ぐらい、俺の手にかかれば朝飯前だよ。調子乗んなよな、空音のくせに」
 ハッと息をのむ声を背中に受けながら、地面を蹴る。
──昔も、こんなことあったかな、そういえば。
 フラッシュバックする画像たちを瞼の裏に映じながら、洋輔は刀を横なぎに振り払った。
「行くぞ……最終ラウンドだ」


←To be continued―
0919この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:54:02.00ID:lpglQaKq
いやー久々にラノベラノベしたラノベ書いたわ
ちょうど自作の戦闘シーン書くとこだったんだけどほんといいリハビリになった。
あと一番手さんが一生懸命作った世界でふざけてごめんなさい
でも今回はキラーパスではないはず!
0920三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 01:17:38.64ID:9CC65lfg
>>916
だがこの文章力にシビれる!
なんか進行が勝手に想像してたのと微妙に違うけどw、相変わらずうまいしキラーパスでもないからいいや
『広告』よりも美しい『中の人』、1番に頼ってお題ほぼ使ってない!
ともかく! これなら3番さんがうまいこと処理してくれそうw
0922この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 05:57:22.88ID:HjIo/e5f
>>865
仕様お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【邪神パスタ】(1/3)

鼻から熱いものが流れてきた。ぽたぽたと紙面に紅い液体が垂れる。
しばらく作業を続けていると、紅色が広がってダイアグラムを侵食してきた。
ちょうど行き詰っていたところだ。私はペンを置いて、ティッシュをちぎって鼻に突っ込んだ。

伸びをして台所に向かうと、壁一面に貼られた模造紙たちが目に入る。
こうしておくと現在の理論展開が一目瞭然となり何かと便利なのだ。
うちに招いた友人は『一生独身結界』とか失礼なことを抜かしていたが。
そういえば、あいつからもらったお酒があったのだった。

ボトルにはドイツ文字で「MET」と書かれている。蜂のマークがあるから、蜂蜜のお酒ということだろう。
なんだかおしゃれな気がする。こういうセンスが人たらしの秘訣なんだろうか。
コルクを抜いて、一口飲んでみると、すっきりした舌触りにほんのりと甘みがある。
もしかして上等なお酒か。鼻に詰め物をして飲んでいいものではないかもしれないが、のどが渇いていたこともあってごくごく飲んでしまう。

大して酒に強いわけでもない私は、たちまち体が火照ってきて、気分が高揚してきた。
ふらふら机に向かっていき、ぐびぐび蜂蜜酒をラッパ飲みする。
次第に正気では浮かばないアイデアが次々浮かんでくる。
ペンを動かせば、数字と関数が手を取り合ってロンドを踊りだす。
思考の濁流にさらわれ、「あああ!」「いいい!」と歓喜の雄叫びをあげる。
空間がうねり、視界が暗くなる。頭痛とともに机のダイアグラムが赤く脈動する。
壁一面の数式や図形がぼんやり光って浮かび上がり、とめどなく増えていく。

気が付くと周囲は星々がちりばめられた暗黒宇宙となり、私は机とともにぽつんと浮かんでいた。
0923この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 05:59:14.47ID:HjIo/e5f
【邪神パスタ】(2/3)

いつの間にか、机の上にはタコが鎮座していた。
ただし、緑色で、翼があるし、体表はほのかに銀色に光る鱗で覆われている。
それは触手をゆっくりとこちらに差し向け、くぐもった呻き声をあげた。

「星辰たどり、門を叩きし人の子よ……」

タコって喋れたのか。そういえば、この間友人が読んでいた本はタコの知性について論じた内容だった気がする。
しかし発声器官はないと思うし、遠隔操作してる中の人がスピーカーごしに喋ってるんだろうか。
それとも放射線によって産まれた悲しき超オクトパスだろうか。

「汝に宇宙の真理を授けよう……」
「え、そういうのいらないです」

何を言い出すのだろう、この頭足類。全然わかってない。
仮にこのタコが宇宙で一番偉い何かだとしても、宇宙の真理を知らされてしまったら探す楽しみが無くなるではないか。
白けて酔いがさめてしまった。せっかくいい気分だったのに。
向こうも気分を害したらしく、目をギラギラさせて、何処からかぶぉぉんと奇妙な音を鳴らした。故障かもしれない。

「ではなぜ宙を渡った……汝の星から我を訪れることは二度とは叶わぬというのに」

どういう設定なんだ。いつから人間は深宇宙に旅行できるようになったんだ?そういうのは物理屋に言ってやってくれ。
せっかく行き詰りを打破するいいアイデアが浮かんだのだ。早く一人にしてほしい。

「なぜと言われましても。私は部屋で酔っ払っていただけですが。今すぐ帰してもらっていいですか?」

タコは触手を引っ込めると、身をよじって禍々しいうなり声をあげた。

「汝のような愚か者が最後の来客とは……」

銀色に輝く触手がゆっくりと振られ、落下するような感覚とともに私の意識は暗くなっていく。

そういえば、もしこのタコが神とか邪神的な存在なんだったら、アレ、頼んでおけばよかった……
0924この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 06:03:15.54ID:HjIo/e5f
【邪神パスタ】(3/3)

ぺちぺち頬を叩く音で私の意識は覚醒した。

「おー、起きたか。お前、本格的にイカレたのか?」

蜂蜜酒の送り主が不法侵入していた。いや、合鍵を持っているのだったか。
こいつは頼んでもいないのに定期的に私の世話を焼きに来るのだ。
私が一か月に一度しかメールを確認しないと知ると押しかけてくるようになった。

「……タコはどうなった?」
「何で知ってんの?今日の広告で安かったからタコも買ってきたぞ。パスタに入れよう。タコスパ作ったる」
「頭足類って頭良いんだっけ」
「お前よりかしこいだろうな。いろんな意味で」

台所の友人をぼーっと眺める。
あれは夢だったんだろうか。素晴らしいはずのアイディアを思い出そうとするも、靄がかかったように手が届かない。

「暗い部屋、蜂蜜酒。処女の生き血が垂らされた魔法陣。悪魔でも呼んだのか?」
「悪魔って、鼻血で釣れるかなあ。魔法陣って、足して15にするあれ?」
「それじゃなくて、呪いに使うやつ。お前の大好きな矢印だらけの奇怪な図形」
「おまじないと一緒にしないでよ。これは図式、ダイアグラムといって代数学の──」
「はいはい。……それよりさ、あげた蜂蜜酒、そのまま飲んだろ?お湯で薄めて飲みなって言ったのに」
「あー……ごめん、世話かけた」
「大の字でぶっ倒れてたぞ。色気のかけらもない……。髪もボサボサだし、また風呂サボったな」
「いやー風呂壊れちゃってさ……。これ幸いと没頭していた」
「これ幸いってなんだよ。食い終わったら銭湯行くぞ。へい、おまち」
「いただきます」

タコのペペロンチーノか。オリーブオイルのいい香りがする。
うまい。相変わらず料理が上手い。一口ごとに心身ともに回復するのを感じる。久々の上質な料理に目から熱い液体が流れてくる。

「お、おいひぃ。邪神のダシが効いている」
「泣こうが喚こうが銭湯には連れてくからな。しかしこの時期に故障じゃ、しばらく直らんかもなぁ。数日おきに引っ張り出す必要があるか」
「そんな、殺生な。というか今何時?銭湯やってる?」
「お前近所なのに知らんのか。深夜までやってるし、ヤーさんも来る」
「数学者とヤクザが交差するとき、物語は始まる」
「似非数学者とヤクザを交配させたとき、産まれてくるのはインテリヤクザかなあ」

ま、風呂は直してもらわなくてよかったかな。ひとまずは、邪神パスタに舌鼓を打つ私であった。■
0925三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 16:26:31.97ID:9CC65lfg
>>922
このタイミングで新規参戦w
『蜂蜜』酒、タコの『中の人』、『メール』も見ない、『広告』のタコ、『銭湯』へ
一見お題から離れてるようで、うまい具合に組み込まれてる、ちょっとハイセンスな話
女数学者はともかく、タコはどっから出てきたんでしょうw
0926この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 20:41:24.51ID:HjIo/e5f
>>925
感想有難うございます!素人なりに何とか書いたので嬉しいです
リレーに挟んでしまってすみません

タコについては蜂蜜酒を儀式に使う某創作神話の丸パク……オマージュですw
0927この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 20:53:49.36ID:Tf2V5KjX
>>866
お題:『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【タイミング】(1/2)


 羽田で飛行機を降りた僕は、京急線の改札に降りる広場で炭酸水を買う。
 視線を上げると『空飛ぶバナナ、ふんわり蜂蜜味』と言う広告を目にし、首を傾げた。

「東京銘菓って、鳩とかヒヨコじゃなかったけ?」

 視線を動かせば同系列のお菓子なのだろう『バナナカステラ』だとか『コーヒー牛乳味』だとかラインナップも充実しているらしい。

「……気には成るけど……まぁ、お土産は後回しかなぁ」

 どの道、帰りも空港を使うのだ、その時に確かめれば良いだろう。
 たまりにたまった有休を消化して来いと言うホワイトな我が会社の命令で、僕は東京観光に来ていた。
 時期的にどっかで祭りがあると言う訳でも無く、だからと言って野山を歩き回る趣味も無い。
 『まぁ、東京なら何かあるだろう』と言う消極的発想でここまで来たわけだ。

「あ、到着したってメール入れんと」

 「有給で東京まで行く」と言った時、一番に反応したのが某友人だった。気分が乗らない何て理由で会社をサボる度に有休を使っていた為、年度末のこの時期に有給はまったく残っていないらしい。
 「俺も有給残しておけばよかったぜ」とは言っても、使い切ったのは自業自得だ。
 『ご利用は計画的に』ってやつだな。

 どうせならと、変な形の自販機前で自撮りをしてメールを送る。
 『どこだよw』という返信が即座に来た。

「今、営業の時間じゃねぇのかよ」

 そのメールを読みながら思わず苦笑した。
0928この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 20:54:50.38ID:Tf2V5KjX
【タイミング】(2/2)


 ******

 駅の路線図を見ながら眉根を寄せる。

「うん、地名が分かんねえ」

 新宿、渋谷、池袋位か? 分かる地名は。もっと、観光客に優しい路線図は無い物だろうか?
 そう思いながら、スマホの乗換案内とやらのアプリを立ち上げる。

「そう言や、初めて使ったな」

 田舎暮らしじゃ全く使わないアプリの一つだ。無料だから消しちゃいないが、何で、はいっちぇるのか意味不明だった。さっきまでは。

「都会中心って事なのかね?」

 自慢じゃないが、うちの田舎はアニメ何かが、『一部地域では、来週から番組が変わります』ってテロップが出た時に一部地域になる方の田舎だ。
 使うだろうってアプリが全く使われてないって事なんてよくある。

「へぇ、ランドマークでの検索も出来んのか」

 そうなると、さて、何処に行くか?
 『中の人なんていません』ってポーズの夢のネズミ園が良いか、それとも、実物大MSを見に行くか、日本最高電波塔も良いな。
 あ、一時期ネットで有名だった、中国でパチモン作られたスーパー銭湯ってのも良いか……

「よっし、某漫画家さんのミュージアムに行ってみよう!!」

 ******

「あーうん、あ、うん」

 某ウイルスのせいで、休館してたよorz
0929この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 21:08:14.71ID:Tf2V5KjX
>>916
予想以上にこちらの意図を汲んで下さり、ありがとうございます
ハイスピードな戦闘シーンで、退魔物はこう言う疾走感が必要だなと改めて思いました

>>922
黄金の蜂蜜種ですね
何となく、菊〇秀行の「妖〇グルメ」を思い出しました
0930この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 21:12:53.82ID:Tf2V5KjX
>>902
何となく「く〇みこ」をほうふつとさせますね
のんべんだらりとした会話が良い感じです
0931三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 22:13:24.40ID:9CC65lfg
お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』締切

【参加作品一覧】(1/2)
>>881【また会いたいな】
>>888【魔法少女、最後の闘い】
>>903【銭湯のクマさん】
>>908【保安官も楽じゃない】
0932三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 22:14:05.64ID:9CC65lfg
【参加作品一覧】(2/2)
>>922【邪神パスタ】
>>927【タイミング】

【リレー企画参加作品一覧】
>>893【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】
>>916【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】

※ただしリレー企画の締め切りは1週間後です。
0933三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 22:17:42.66ID:9CC65lfg
では、、企画を予告していましたが、バタバタなので通常お題5つで

お題安価>>934-938
0934この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 22:18:02.09ID:vZTUJYtQ
たぬき
0935この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 22:19:42.32ID:anpB5qFi
フェチ
0936この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 22:20:14.58ID:ajm+e8LK
化ける
0937この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 22:24:06.85ID:DDJZha1H
『イタズラ』
0939三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 22:34:44.07ID:9CC65lfg
☆お題→『たぬき』『フェチ』『化ける』『イタズラ』『巨大』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/29の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0940三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 22:39:12.60ID:9CC65lfg
すごい速度で集まりましたけど、今回お題はどうなってるのw

残りレス数が不安ですが、現スレで続けます
引き続きお題スレをよろしくお願いします
0941三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 23:14:54.69ID:9CC65lfg
>>926
もちろん構いませんが、そゆことか! そのまんまでしたか!

>>927
恒例の全選択!
『蜂蜜』味の『広告』、自撮り『メール』、『中の人』などいない某か、スーパー『銭湯』か
このタイミングwでの東京観光w、そつなくタイムリーにまとまってるー
某ウイルス、田舎と都会で温度差はありますねぇ

>>930
感想ありがとうございます
なーんか引っ掛かってる気がしないでもなかったんですが、、もう正にそれそのまんまですねw
0942この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/23(月) 15:12:44.29ID:rHc7gkBS
>>941
感想、有り難うございます
ロボット物が書きたかったのですが、上手くからめられずこんな話にw
羽田空港を舞台にした割には、飲む出汁缶を書くのを忘れていましたorz
0943この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/23(月) 17:19:12.51ID:QjettNbq
>>939
使用するお題→『たぬき』『フェチ』『イタズラ』

【弟は靴下フェチ?】(1/2)

朝の7時、ジリジリと鳴る目覚まし時計の音にカナミはふわぁっと大きな欠伸と共に目を覚ます。
パジャマから普段着に着替えて1階の食卓に来ると、ケンスケがジャムを塗ったトーストを頬張っているところだった。

「おはようケンスケ。相変わらず早起きね」
「お姉ちゃん、おはよう!今日もそのハイソックスいいね!」
「ん?」

ケンスケは、カナミの履いている白にピンクのダブルラインの黒いハイソックスをじっと見つめる。
これはカナミの一番お気に入りのハイソックスで、毎日といっていいくらい履いている。

「あ、ありがとうケンスケ」

そう言うとカナミは椅子に座って、トーストにジャムを塗って食べ始める。
ケンスケは基本素直でおっとりした性格なのだが、一方で自分のハイソックスにやけに夢中になるという変わった一面を持っていた。

「(ケンスケって脚、いや靴下フェチなのかしら?ちょっと変な感じ…)」

ある土曜の昼、カナミはリビングのソファーに寝そべって漫画を読んでいる内に、いつの間にかスヤスヤと眠りに落ちてしまっていた。そんな姉にケンスケがニヤニヤしながら近づいてくる。
するとケンスケはカナミの履いているハイソックスの爪先の部分を掴むと、気付かれないようにズルズルと両足とも脱がしていった。
それから1時間後、カナミはやけに足が涼しく感じて目を覚ます。

「って、あれ?私のハイソックスは?」

すると目の前にケンスケが立っていて、自分のハイソックスを持ってブラブラと振っていた。

「お姉ちゃんのハイソックスいただき!」
「こらケンスケ!返して!」
「ただで返すわけにはいかないなあ、ゲームで勝負しよう。お姉ちゃんが勝ったら返してあげるけど、僕が勝ったら一週間は僕の物だよ」
「生意気言っちゃって。まあいいわ、その勝負乗った!」

ゲームの準備が整うと早速勝負開始。動物を操作して戦うアクションバトルゲームで、カナミはウサギ、ケンスケはタヌキを選択し、白熱のバトルを繰り広げた。

・・・・・・・・・・・

5回勝負のうち、姉弟共に2勝2敗の接戦だったが、最後の勝負でカナミの勝利となった。

「そ、そんな…ずっと練習を積んできたのに…」
「ケンスケは腕はなかなかだけど、最後の最後で詰めが甘いのよね。ほら、私のハイソックス返しなさい」
「わ、分かったよ」

ケンスケは潔く姉にハイソックスを返す。カナミはハイソックスをきちんと履き直すと、自分の部屋に戻っていった。
このイタズラは今回が初めてではなく、これまで何十回以上も繰り返しているが、カナミは悉く勝利し、ちゃんとハイソックスを取り戻せている。

「まあ、これくらい全然気にしてないし、楽しいといえば楽しいんだけどね」

その時、カナミはあることを思いついた。
翌日の日曜の朝、ジリジリと鳴る目覚まし時計の音にケンスケはふわあっと大きな欠伸と共に目を覚ます。
パジャマから普段着に着替える中、ふと足下に何か落ちているのに気付く。

「ん?何だろう、これ」
0944この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 17:20:08.48ID:QjettNbq
【弟は靴下フェチ?】(2/2)

眠たい目をこすり、足下に落ちている何かを手に取って拾い上げると、それは姉のハイソックスだった。
ケンスケは一瞬ビックリする。

「な、何で僕の部屋にお姉ちゃんのハイソックスがあるんだろう?お母さんが間違えて持ってきた?」

少し開いたドアの隙間から、カナミがじっと眺めていた。実は昨夜、ケンスケが寝ている間に部屋に入って、自分のハイソックスを配置したのだ。
するとケンスケは長ズボンから短パンに穿き替えると、少し照れながらカナミのハイソックスを履く。
普段特に暑い季節でもない限り、弟は基本長ズボンで短パンは滅多に穿かない。

「(ケンスケったら顔赤くなっちゃってる…可愛い…)」

カナミはそのまま気付かれないように先に食卓に行って、ケンスケが来るのを待った。
数分後、自分のハイソックスを履いて現れた弟を見て、ついニヤニヤする。

「あらケンスケ、どうして私のハイソックスを勝手に履いてるのかしら?」
「な、何故か部屋の中に勝手にあったんだ…」
「それにしても結構似合ってるわよウフフ」
「そ、そう?それじゃあ、お姉ちゃんの真似しちゃお!」

すると自分の真似をして遊び、ふざけ始める弟をカナミは追いかける。

「私はそんなんじゃないでしょ!待ちなさいケンスケ!」
「アハハ!捕まえられるもんなら捕まえてごらん!」

家を出て逃げるケンスケをカナミが追いかける中、偶然にもハヤトと出くわした。

「あ、あれ七尾?それにケンも何やってるんだ?」
「「あっ!!!」」

姉のハイソックスを履いているケンスケとそんな逃げる弟を追いかけるカナミの姿に、ハヤトは状況が飲み込めなかった。

「「じ、実はね…」」
「ん?」

実はかくかくしかじか、姉弟から全て話を聞いたハヤトは思わず笑いだす。

「アッハッハ!マジで笑える!お前ら、本当に面白いくらい仲が良いよな!」

顔を赤らめる姉弟にハヤトは笑いを堪えきれなかった。

「まあ気にするなって、俺とお前らの秘密ってことにしよう。買い物頼まれてるからもう行かなきゃ。じゃあな!」

そう言うとハヤトは走り去っていった。
カナミとケンスケは顔を合わせると苦笑いして、家に戻るのだった。
0945この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 20:13:29.36ID:QjettNbq
>>939
使用するお題→『たぬき』『化ける』『イタズラ』『巨大』

【未知の大陸から来た猛者】(1/2)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは愛馬のサンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。
しばらくすると小さな町が見えてきた。その町に着くと、シンディは近くのバーで冷たいコーラを一気にグイッと飲み干す。

「ふぅ、暑い時のコーラは最高ね!」

蒸し暑い荒野の中を走ってきたので、汗びっしょりでとにかく喉が渇いていた。
すると近くのテーブルに座っていた男達の会話が聞こえてくる。

「おいおい聞いたか。ここ最近、妙な服を着て細長い刃物を持った怪物が目撃されたんだってよ!」
「ああ、俺も聞いたぜ。しかもそいつ、顔がアライグマのようでスッゲー気味が悪いんだ」
「体は人間で顔はアライグマ、想像しただけで吐き気がするぜ」

シンディはその話に興味津々だった。

「(きっと新手の賞金首に違いないわね。この私、シンディが捕まえて大儲けしてやるわ)」

その後、食糧の調達を終えると町を後にし、再び荒野の中を走り出す。
蒸し暑い荒野も夜になると冷え、涼しくなっていく。途中、信じられないくらい巨大な樹木を見つける。

「サボテンや岩しかない荒野にこんなデカい木があるなんて…」

シンディは少し奇妙に思いつつも、今夜はその樹木の下で野宿することに決めた。

「今日もお疲れ様、おやすみなさいサンセット…」

シンディとサンセットは木陰に包まれるように眠りにつく。

「私のイタズラにまんまと引っかかるなんてドジね!」

突然、その樹木が白い煙に包まれて消えてしまう。その煙に思わずシンディは目を覚ます。

「ゲホッゲホッ!い、一体何なの!?」
「おやおや、どうやら起こしてしまったようね」

シンディの目の前に現れたのは手に刀を持ち、着物を身につけ華奢な体型をした、アライグマのような顔をした怪物で、声からしてどうやら女のようだ。

「ア、アライグマの怪物!変な服を着て、それに細長い刃物を持ってる!」
「変な服?これは着物っていうの、あんたの薄汚いコートやシャツと違って品があって美しい物なの。それにこれは刀よ…」
「キモノ?カタナ?何それ、全然知らないわ!」
「それから、これはアライグマでなくてタヌキのお面…」
「あなた、もし賞金首なら容赦はしないわよ」
「いちいちうるさいわね、あなた…」

シンディがホルスターから銃を取り出し発砲するが、その女は俊敏な動きで軽々と回避してしまう。

「どうやら相当の強者のようね…!」
「私を捕らえられるならどうぞ、やってごらんなさい」

早撃ちとしても知られているシンディの華麗な銃撃も簡単に避けられると共に、いくつかは刀で真っ二つにされてしまう。

「(な、何こいつ…!)」
「アメリカのガンマンって大したことないのね」

お面で顔が隠れているが、シンディは彼女が明らかにほくそ笑んでいるのが分かった。
0946この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 20:14:31.43ID:QjettNbq
【未知の大陸から来た猛者】(2/2)

「バカにしないで!」
「往生際の悪い人ね…」

その女はボンッと白い煙に包まれ、その瞬間、大きな黒いオオカミのような姿に化けた。

「オ、オオカミに変身した!?」
「私の特技、とくとご覧あれ!!」

オオカミに変身した女が、シンディに向かって突進してくる。
シンディはやけになって銃を撃ちまくるが、そのオオカミの姿に銃弾はすり抜ける一方で全く通用しない。

「こいつ、一体何なの!?」
「さあ、これで終わりよ!」

牙を剥き出し、シンディの首に噛みつこうとしたその瞬間、オオカミの姿は消えてしまった。
今まで見たことも感じたこともない不思議で奇妙な技の連続に、シンディは動揺し、足がよろけて倒れてしまった。

「勝負はついたわ、それじゃあまたね」
「ま、待ちなさい!あんたは一体誰なの!?」
「私のことが知りたいなんて、余程の物好きのようね。そんなに知りたけりゃ教えてあげる」

その女の名はシグレ。遥か遠くの日本という国から来た女の侍で、日本を飛び出し、小さな舟で航海しているうちに
嵐に巻き込まれて、たまたまこのアメリカに来てしまったようだ。

「日本は狭くて飽きちゃったから、何も考えずに海を渡ってたら、ここに来て偶然あなたと出会った。それだけのこと」
「シグレ、変わった名前ね。しっかりと覚えたわよ」
「そういうあなたは?」
「私はシンディ、さすらいの女ガンマンよ」
「シンディね、またいつか会うかもしれないわね」

その言葉と共にシグレは風と共に姿を消してしまった。
ニホンという聞いたことのない国から来た女のサムライという謎の存在に恐れを抱きつつも、シンディは自然と興奮が収まらなかった。

「次会ったらまた勝負よ、シグレ!」

太陽が顔を出し、朝が来た。シンディはシグレの名を胸に刻んで、サンセットに跨り、再び走り出すのであった。
0947三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/24(火) 01:40:02.76ID:oFn3xvI/
>>943
やっぱり今回も早かったw
靴下『フェチ』、『たぬき』を操作、姉弟の『イタズラ』
これはちょっと愉快な話、そう言えばこれが持ちネタの作者様でしたw

>>945
そして連続!
『巨大』な樹木、『イタズラ』に引っかかる、『たぬき』のお面、オオカミに『化ける』
すご、侍なのかそれw、止まらないシンディシリーズですw
0948この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/24(火) 06:52:56.95ID:2HaArv8p
>>947
感想ありがとうございます!今回は2作連続の大盤振る舞いです!
弟の意外な一面?が見られる回でしたね、久々に持ちネタの一つである靴下ネタを書けて楽しかったですw
それから日本から来た謎の侍シグレは、シンディのライバル的存在となって今後また出てくることでしょう
レイチェルシリーズ後期にあった、レイチェルVS謎の忍者を彷彿とさせる感じですね
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0949この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/25(水) 06:21:59.17ID:7K0HC3Fx
>>932
リレー3番ですが、ようやく書き込める環境になったので取り急ぎ
29日締切かな? それまでには間に合わせますー(しかし前回とは違う意味ですごいな今回)
0951この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/25(水) 15:07:45.62ID:IRn6OIN9
>>943
小学生から業の深いw
それでも、根本には“姉”に対する愛情が見え隠れしていますね

>>945
ガンマンのライバルはやはり侍ですよね
ただ、女サムライなら良いのですが、サムライ女を漢字で書くとw
レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。

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