>>939
使用するお題→『たぬき』『フェチ』『イタズラ』

【弟は靴下フェチ?】(1/2)

朝の7時、ジリジリと鳴る目覚まし時計の音にカナミはふわぁっと大きな欠伸と共に目を覚ます。
パジャマから普段着に着替えて1階の食卓に来ると、ケンスケがジャムを塗ったトーストを頬張っているところだった。

「おはようケンスケ。相変わらず早起きね」
「お姉ちゃん、おはよう!今日もそのハイソックスいいね!」
「ん?」

ケンスケは、カナミの履いている白にピンクのダブルラインの黒いハイソックスをじっと見つめる。
これはカナミの一番お気に入りのハイソックスで、毎日といっていいくらい履いている。

「あ、ありがとうケンスケ」

そう言うとカナミは椅子に座って、トーストにジャムを塗って食べ始める。
ケンスケは基本素直でおっとりした性格なのだが、一方で自分のハイソックスにやけに夢中になるという変わった一面を持っていた。

「(ケンスケって脚、いや靴下フェチなのかしら?ちょっと変な感じ…)」

ある土曜の昼、カナミはリビングのソファーに寝そべって漫画を読んでいる内に、いつの間にかスヤスヤと眠りに落ちてしまっていた。そんな姉にケンスケがニヤニヤしながら近づいてくる。
するとケンスケはカナミの履いているハイソックスの爪先の部分を掴むと、気付かれないようにズルズルと両足とも脱がしていった。
それから1時間後、カナミはやけに足が涼しく感じて目を覚ます。

「って、あれ?私のハイソックスは?」

すると目の前にケンスケが立っていて、自分のハイソックスを持ってブラブラと振っていた。

「お姉ちゃんのハイソックスいただき!」
「こらケンスケ!返して!」
「ただで返すわけにはいかないなあ、ゲームで勝負しよう。お姉ちゃんが勝ったら返してあげるけど、僕が勝ったら一週間は僕の物だよ」
「生意気言っちゃって。まあいいわ、その勝負乗った!」

ゲームの準備が整うと早速勝負開始。動物を操作して戦うアクションバトルゲームで、カナミはウサギ、ケンスケはタヌキを選択し、白熱のバトルを繰り広げた。

・・・・・・・・・・・

5回勝負のうち、姉弟共に2勝2敗の接戦だったが、最後の勝負でカナミの勝利となった。

「そ、そんな…ずっと練習を積んできたのに…」
「ケンスケは腕はなかなかだけど、最後の最後で詰めが甘いのよね。ほら、私のハイソックス返しなさい」
「わ、分かったよ」

ケンスケは潔く姉にハイソックスを返す。カナミはハイソックスをきちんと履き直すと、自分の部屋に戻っていった。
このイタズラは今回が初めてではなく、これまで何十回以上も繰り返しているが、カナミは悉く勝利し、ちゃんとハイソックスを取り戻せている。

「まあ、これくらい全然気にしてないし、楽しいといえば楽しいんだけどね」

その時、カナミはあることを思いついた。
翌日の日曜の朝、ジリジリと鳴る目覚まし時計の音にケンスケはふわあっと大きな欠伸と共に目を覚ます。
パジャマから普段着に着替える中、ふと足下に何か落ちているのに気付く。

「ん?何だろう、これ」