>>939
使用するお題→『たぬき』『化ける』『イタズラ』『巨大』

【未知の大陸から来た猛者】(1/2)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは愛馬のサンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。
しばらくすると小さな町が見えてきた。その町に着くと、シンディは近くのバーで冷たいコーラを一気にグイッと飲み干す。

「ふぅ、暑い時のコーラは最高ね!」

蒸し暑い荒野の中を走ってきたので、汗びっしょりでとにかく喉が渇いていた。
すると近くのテーブルに座っていた男達の会話が聞こえてくる。

「おいおい聞いたか。ここ最近、妙な服を着て細長い刃物を持った怪物が目撃されたんだってよ!」
「ああ、俺も聞いたぜ。しかもそいつ、顔がアライグマのようでスッゲー気味が悪いんだ」
「体は人間で顔はアライグマ、想像しただけで吐き気がするぜ」

シンディはその話に興味津々だった。

「(きっと新手の賞金首に違いないわね。この私、シンディが捕まえて大儲けしてやるわ)」

その後、食糧の調達を終えると町を後にし、再び荒野の中を走り出す。
蒸し暑い荒野も夜になると冷え、涼しくなっていく。途中、信じられないくらい巨大な樹木を見つける。

「サボテンや岩しかない荒野にこんなデカい木があるなんて…」

シンディは少し奇妙に思いつつも、今夜はその樹木の下で野宿することに決めた。

「今日もお疲れ様、おやすみなさいサンセット…」

シンディとサンセットは木陰に包まれるように眠りにつく。

「私のイタズラにまんまと引っかかるなんてドジね!」

突然、その樹木が白い煙に包まれて消えてしまう。その煙に思わずシンディは目を覚ます。

「ゲホッゲホッ!い、一体何なの!?」
「おやおや、どうやら起こしてしまったようね」

シンディの目の前に現れたのは手に刀を持ち、着物を身につけ華奢な体型をした、アライグマのような顔をした怪物で、声からしてどうやら女のようだ。

「ア、アライグマの怪物!変な服を着て、それに細長い刃物を持ってる!」
「変な服?これは着物っていうの、あんたの薄汚いコートやシャツと違って品があって美しい物なの。それにこれは刀よ…」
「キモノ?カタナ?何それ、全然知らないわ!」
「それから、これはアライグマでなくてタヌキのお面…」
「あなた、もし賞金首なら容赦はしないわよ」
「いちいちうるさいわね、あなた…」

シンディがホルスターから銃を取り出し発砲するが、その女は俊敏な動きで軽々と回避してしまう。

「どうやら相当の強者のようね…!」
「私を捕らえられるならどうぞ、やってごらんなさい」

早撃ちとしても知られているシンディの華麗な銃撃も簡単に避けられると共に、いくつかは刀で真っ二つにされてしまう。

「(な、何こいつ…!)」
「アメリカのガンマンって大したことないのね」

お面で顔が隠れているが、シンディは彼女が明らかにほくそ笑んでいるのが分かった。