超一流企業なのに

 マイはバイクツーリングが好きだ。独身の頃は仲間とよく北海道まで行ったりしたそうだ。マイは俺に価値観を押し付ける事は無いが、一緒に風を切りたいと求める事が多かった。
 結果的にマイの相棒であるGSX1400のケツに乗るハメになる。ビッグバイクに乗る154センチの女の子に後ろからすがる175センチの男。恥ずかしいこと山の如し。
 しかし愛するマイの要求を無下にする事もできない。俺は繁忙期が去った隙をついて夜間教習所で自動二輪を取得した。買ったバイクは店主が進める緑のバイクだ。排気量は400ccだが、個人の小遣いが吹っ飛んだ。
 しかし金は幸せの為に使うものだ。マイと時間と価値観を共有できるなら全財産を失っても惜しくない。マイには「今日バイクに乗って帰る」とだけ伝えてある。マイの喜びようは半端なかった。
 スーツ姿で靴だけ用意していたスニーカーに履き替えると、初心者のビビり運転でなんとか家のガレージにたどり着いた。2、3回アクセルを煽ると、超笑顔のマイが飛び出してきたが、俺とバイクを見た瞬間足を止め、表情が無くなった。そしてポツリと呟いた。
「カワサキか……」
 なんで!?

 がスレタイ。