「なぁなぁ泰蔵よ」
「なんや玲一」
「この前俺一人で京都行かされたやん」
「おう」
「仕事終わって小腹がすいたからなんぞ食うとこないかなぁて探しててん」
「人食うたらあかんで?」
「食うかい、そしたら四条烏丸の交差点の近くにお茶漬け屋があってん」
「場所が場所だけに上品なええ味でてそうやがな」
「そや、しかも腹のすき具合と一致しててええなあおもてんけどな、よう入らんかってん」
「なんでや、そない高級そうやったんか」
「いや、入ったとたんにぶぶ漬けすすめられるんちゃうかとおもたら怖ろしゅうてな」
「そういうお店や!客にイケズ言うてどないすんねん」
「まぁまぁほな錦いてみよかって事で錦歩いてみたんや」
「邪魔やがな、お前みたいな巨人があんな狭いとこ、アーケードの屋根も突きぬいてまうやろ」
「やかましな、ほんでぶらぶら歩きよったら例の可愛らしいチビタコの串もの売ってたんや、これがまたうまそうでな」
「飯前の誘惑やがな、まあそれぐらいはええやろ、食うたん?」
「いや食うてない」
「なんでや」
「ぃやー、海坊主さんがタコ坊主さん食べてはるわーとか言われそうで怖ろしゅうてな」
「言うかあ!何その京都人への漠然とした怖れ!」
「結局そそるもんが無うてまた四条にでてもたんや」
「何やっとんねんほんま、巨人が進撃しとるだけやないか」
「ほいたらどこからともなくえー匂いがしてきてな、これうなぎやなぁ、そやうなぎにしよおもて匂いのする方に行ったんや」
「お前は犬か」
「ほいだらすぐ近くの交番の裏にあったうなぎ屋がなんとあのいずも屋やってん」
「あのってどの」
「あるやんCMでほんに先斗町のいずも屋へって」
「あああー、あれか、宣伝はしってるけど行った事無いわ、ほぉで入ったん?」
「いや入らんかった」
「なんでやねん」
「場所が場所だけに一見さんお断りやったらとおもたら怖ろしゅうてな」
「そんな店が宣伝するかあ!もうええわ」