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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【196】

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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/23(木) 08:20:44.95ID:T52bD52J
オリジナルの文章を随時募集中!

点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

評価依頼の文章はスレッドに直接、書き込んでもよい!
抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする!
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ここまでの最高得点77点!(`・ω・´)

前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【195】
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0737美世
垢版 |
2020/07/28(火) 23:56:43.48ID:w1CPF+n0
冒頭がよくわからん
当時の俺は何を思っていたんだろう
泥酔している可能性も高い

 桜舞い散るキャンパスは、前日のお祭り騒ぎと違って人影は少ない。みな入学式会場にに集まってるからだ。2回生になった私はそれを見届け。教授の研究室に向かった。
 元は研究に資するために、臓器の特殊な病変を保管していたようだが事実は知らない。
 滅多に行われないが神式の葬儀では神は導いてくれない。代わりに神職が導いてその家の祖神になって頂くのだ。その他は

 人って何? 命って?

 教えて神様

「雛子! 始まるよ!」
 亜里沙の声で目が覚めた。私は慌てて机から立ち上がり、早足で廊下に出たが、まpた戻って枕にしていたジャージ袋を掴んだ。
 使い古した靴、ジャージ、ビニール製かプラスチック製かわからないエプロンと腕カバー。そして手袋とマスク。
 今年の春から午後は低学年最大の山場、解剖実習をするようになった。ひんやりとした空気の中、20ほど並ぶステンレス製の解剖台。布のかけられたご遺体。最初は怖ろしかったけど、献体されたご遺体は生生しくはなく
少しミイラ化した精巧な蝋人形と言った方が近い。
「権兵衛さん、こんにちは」
 同じ班の大井雅隆と近藤祐希が軽く吹き出した。私の横の大井がにやにやしながらからかう。
「また諏訪園がなんか言ってるよ」
 ご遺体の名前は学生に教えられる事はない。だが毎回実習が始まって恒例の黙祷の後、私は自分でつけたあだ名で挨拶をした。性別は男性、歳は推定で70歳。彼を我々の班4人で解剖しはじめて一週間が経った。
 顎や首周りから始め上腕を終えて今は胸部に取り掛かった。最初の頃は人を解剖するという行為が少し怖ろしくもあったが
この頃になると、探求心を持って作業ができるようになってきた。しかしいつまで経っても慣れないのは部屋全体に漂う臭いだ。アルコールに漬けて抜いたとはいえ、ホルマリンと人体の融合した独特の臭いが充満している。
 ホルムアルデヒド除去マスクを着けているとはいえ、快適な環境とは言いがたい。教授にアドバイスを求めると我々の所まで来て、指をペロリと舐めて
人の脂肪まみれの解剖書をめくる。その何気ない動作と特殊な状況に吐き気を催した。その環境に耐えながら私は黙々と作業をする。教授の指示通り肋骨を骨剪刀で切開しつつ思う。人ってなんだろう。神が創った芸術品? それとも人とは、ある惑星に偶然湧いた有機体。
 偶然組み合わさった有機体のマシンが、ある日能動的に動くようになり、さらに進化して人ができた。そう考えれば魂も複雑なプログラムでしかありえないのかもしれない。でもこうして元は生きていた人を
治療を目的としない手技を施す度にちくちくと何かがささくれる。工作のように皮膚を切開し、脂肪を掻き取り、目的の筋肉や血管を露出させる。そして今日はまるでDIYであるかのように工具とそう変わらない構造の道具で
人をばらしている。肋骨を右からと左側からY字に切断すると、まるで車のボンネットのようにぱかりと開ける。教授が胸腔内をちらりと見て言った。
「ほう、きれいな肺だね、この世代にしては珍しくタバコを吸った事がないようだ」
 また一つ権兵衛さんの事がわかった。彼の人生だ。彼はタバコを吸わなかった。人が生きるために必要な呼吸を司る肺、そして血液の循環システムである心臓。心臓が左に寄っているせいで肺は左右対称ではない。
右肺が正中線に近いせいで右気管支は垂直に近い。だから誤嚥 (飲み物などが気管支に入ること)による炎症は大概右肺なのだとか。そんな教授の人体におけるメカニカルエラーのうような説明を聞いていると
やはり人は精巧なマシンのような気がしてくる。でも、毎回実習が終わった時にどっと疲れるのは何故だろう。

「はあ? 神楽? 出来るわけないじゃん、お父さんバカなの?」
「そこをなんとか、2ヶ月前から練習してきた新人の子が倒れて人数が足りないんだ、な、斎戒するなりして、頼む!」
「斎戒するほど時間ないじゃん! 水浴びでもしてすぐにやれって? 今ご遺体を解剖してるんだよ? 鳥居だってくぐれないぐらいなのに」
 甲高くまくし立てた私は声を引き絞って言った。
0738美世
垢版 |
2020/07/29(水) 00:11:02.88ID:/PRca4Tt
「しかも神降ろしの儀式なんて、絶対神罰が下る、絶対やだ、巫女長にでも頼んだら? 年齢はともかく舞う分にはスペシャリストでしょ」
「それこそ神罰が下るぞ! 参拝者だって大ブーイングだろ」
「ひどい、とにかく他をあたって」
「あ、ちょ、ま……」
 私は電話を切ると電源を落とした。ただでさえ煩いお昼の生協で、片耳に指を突っ込んでバカな頼みに耳を傾けるのは面倒な事この上ない。
「ねね雛子、神楽やるの? 雛子って巫女さんなの?」
 医学部において少数派である女は、大概女だけのコミュニティを持っている。今一緒にいる堂島亜里沙もその1人だ。
 私はだらしなく顎に手をついてしゃくれ上った顎でアイスコーヒーのストローを咥えて一口吸うとぽんと離した。
「聞いてたでしょ、やんないよ」
「なんで? やんなよ、素敵じゃん」
 ショートボブで大きな瞳に目尻の垂れている亜里沙が言うと、この上なく無邪気で素敵なもののように聞こえるが、私は辟易とした。巫女時代は私にとっては暗黒時代だった。
 特に大きな神事の前は、やりたいこともできず。食べたいものも食べられない。外出するにも着衣は宮の中と別にし、地味なものに限る。洗濯機は別で毎日沐浴。バイトで売り子をしている巫女さん達は楽しそうで
それがうらやましくて仕方がなかった。彼女らにとっては見た目が派手で荘厳な神事や神楽舞いは憧れではあったようだが、冗談じゃない。はっきり言って代わってほしかった。
「だから穢れてるから無理なの」
「舞いをする分には関係ないでしょ?」
「大有りだっつの」
「へえ、意外と信心深いのね、霊は信じないのに」
 亜里沙は私の目の奥を覗き込んだ。私は目を反らす。客寄せが気になる父は神に仕えている自覚はいまいちに見える。
 神社庁と戦争しながら頑なに世襲を守る祖父も拝金主義者にしか見えない。私に宮司をやらせるつもりなのか。私は。

 私は……。

 亜里沙は霊感が強いらしく、あちこちで様々な霊を見るという。それが解剖室には一人も居ないのが不思議だとかなんとか。亜里沙が嘘を言ってるとは思えないが私は霊を信じる事ができない。
 一度も見た事がないからだ。しかし神の存在を感じた事は何度もある。私が小さい頃、ランドセルを背負って通学途中、肩を掴まれたような気がして振り返ると、車が目の前をかすめて前にいたサラリーマンをふっ飛ばした。
 祖父に叱られて納得出来なかった私は家出をして、とは言っても遠くには行けず、宮に行き、立入禁止であった本殿に籠城したことがあった。抗議はしたいが本気の家出は怖い時の例のあれだ。
 しかし誰にも家出に気づかれず、見捨てられた気持ちになり、一人勝手に絶望と不安に襲われつつ夜を迎えた時だった。突然誰かに抱かれた気がして安らかな気持ちになった。
 意味不明の庇護のおかげで家出作戦は大成功した。さぞかし心配しているだろうと家に帰ってこっそり様子を見ると、家人が大騒ぎなのは予定通りだったが何故か警察がいる。
 そう、捜索願いが出て大事件になりかけていたのだ。おずおずと登場すると、皆、血相を変えて飛んできた。
 私を抱き締めて大泣きする祖母。へたりこむ父と祖父。自分をないがしろにした家族への復讐と見れば、結果は最高のものであったはずだった。ただ、心が傷んだ。
 今思えばあれは神罰だった。家族が私をないがしろにしたのではない。私が家族をないがしろにしたのだ。それに対して神が私を軽く戒めたのだ。 
 他人に関してもエピソードがある。宮の祭事を手伝うようになった年、12月に入り、祭事が目白押しの中、忙しさのあまり、表には出さない神事を省略しようと提案した権禰宜さんがいた。そして彼は大注連縄設置の日。
 注連縄を重機で吊るすための紐が切れてあやうく死ぬ所だった。命は助かったが吹っ飛ばされた禰宜さんは左半身の骨を複数箇所折った。神域に血を流す訳にも行かず、軽い脅しといったところだろうか。
 こんなエピソードが数え切れない。
 私は神の存在を漠然とではあるが信じている。そう、神を信じるなら医者を目指している私が巫女や宮司などやるべきではない。
 神は穢れを気にするらしい。しかし神が人を作ったのなら『死を近づけるな』なんて理不尽な話だ。
0739美世
垢版 |
2020/07/29(水) 00:14:25.81ID:/PRca4Tt
 それともやはり、人とは勝手に産まれた有機体で、生きているうちは野生動物を保護するように見守ってやるとでもいうのか。新しく生まれれば初宮、七五三、大人になれば厄祓いと実にアクティブだが
一度死ねば実にパッシブだ。神式の葬儀では神は降臨しない。神職が導くのだ。後は仏陀に任せた。輪廻転生し、勝手に自然の中で有機体として再生しろという事なのか。
 存在していても死ねば無。無から生まれれば存在する。まさに色即是空空即是色だ。神道と仏教の共通点を見つけたような気がするが、なんとも釈然としない。
 わかっている。この手の話の解を求めるのは愚かだ。神秘の世界には神秘の法則がある。だが私は人でありながらその神秘を暴く道を選んだ。
 母が死にそうな時、何とかしなければいけないと思ったけど何もできなかった。そして神に祈った。母が目覚めた。私は神様に感謝した。
 しかし母は私を見てにこりとすると、すぐに逝ってしまった。いったいなんだったのか。
 だから私は神秘の領域を暴く。人とは何か。私は愚かにも医学に解を求めた。

「権兵衛さんこんにちは」
 さらに3週間が経ち、解剖は下半身に及んだ。解剖に慣れて物体として扱う事には慣れてきても、やはり何かのささくれは溜まるばかりだった。そして解剖箇所がある場所に及んだ時、私は手を止めてしまった。
 男性器を触るのは初めてではないし、しかしそういう事ではない。私の横顔を大井がじっと見ている気配がする。
「そこ、俺がやろうか?」
 解剖台の右と左で2手に分かれて交互にに解剖を進めて来たが、流れから言えば次は私だ。努めて明るく笑顔を作りながら大井を見上げた。
「んーん、違うの、大丈夫」
 私は手順に従って切開を始めた。私の躊躇は大井が心配しているような事ではない。献体希望者は意志を持って自分の身体を提供している。しかし、こんな所まで皆の前でつぶさに解剖され
自分でさえ見たことがないものまでつまびらかにされる事を知っていたのだろうか。知っていたとしてもだ。実際にその立場を認識していれば躊躇を覚えて拒否したい衝動に駆られたはずだ。
 人間の尊厳て何?。それとも命を失えば、尊厳をも一緒に失ってしまうものなのだろうか。神が死びとに興味を失うように。
 この解剖室で、初日にに倒れて脱落したのが1名。ホルマリンアレルギーが出て3日休んでガスマスクで登場したのが1名。何もしないで見ているだけの女生徒が1名。
 この班のメンバーはすっかり慣れてご遺体を単なる教材として見る事に慣れたようだ。
 しかし私はどうしても、ご遺体と言う名の『死んだ人』の尊厳に目を背ける事が出来なかった。

「ねえ雛子、もうシケタイページ始まってるよ、見た?」
 二人で飲んだ後、並んで歩いていると多少ろれつの回らない亜里沙が無邪気に言った。通称シケタイ。試験対策委員会の略だ。医学科の偶数年は専門分野の試験の嵐だ。
 一般教養しか習わなかった去年と違い、意味不明の知識を問われる試練の始まりだ。今年は解剖学、組織学、その他の試験が目白押しだ。勿論必須科目であるこれらを落とせば進学はできない。
 そこで登場するのが得意分野で情報をネット配信している試験対策委員長、通称シケ長だ。今回はさしずめ、解剖学が得意な大井の属するグループで編成されて、誰かがシケ長をやっているのだろう。
 教授や講師ごとに癖があり、致命的瑕疵のない過去問題は、微妙に姿を変えて繰り返し出題される。先輩方のベクトルの間違ったたゆまぬ努力の痕跡は、ネットのあちこちに散見する事ができる。
 問題の傾向と模範解答が用意されているのだ。採点をする教員教授は、年度ごとにまるでコピーされたような回答に眉をひそめていることだろう。
 大学側はこれを知識の共有なのか、限りなくカンニングに近い不正なのか意見が別れて決めかねている。しかし多くの教育者は手の内を知られるようで好ましくは思っていない。
0740美世
垢版 |
2020/07/29(水) 00:29:46.42ID:/PRca4Tt
 しかし私は全く別の理由でこの慣習を好ましく思っていなかった。私は亜里沙に答える。
「ん〜、見てないな、医者と言う職業を手に入れたくてやってんじゃないから。」
 そう言うと、亜里沙はあからさまにふくれ面をして顔を伏せた。
「はいはい、私は雛子みたいに高潔じゃない俗物ですよ」
「そんな事言ってないじゃん」
 疑わしそうな目でじろじろと私の横顔をなめ回す気配がする。その後、側面からの圧力がふっと軽くなると、亜里沙は若干俯いて、トーントーンと足を前に投げ出すように歩いた。
「私は雛子みたいに裕福じゃないし、頭もよくないもん、試験に落ちるわけにはいかないし、だって今年でもう21だよ」
 入学当初、私は最初に仲良くなった亜里沙の年齢がわからなった。見た目の幼さも手伝って対等に接してきたが、しかし彼女は2浪していた。家は祖父が他界して店じまいした診療所の家系だった。
 あまり学問が得意でなかった両親とは違い、地元の公立高校で常にトップだった亜里沙は期待の星だったようだが、医学部の中でも多少偏差値の高いこの大学には苦戦したようだ。机を並べてみると、そう私と
差があるようには思えないが、運と神の加護の差といったところだ。だが亜里沙はそうして2浪する事で、両親に迷惑をかけた事を気に病んでいるようだった。体育会系の私としてはまさかの2コ上の対処に苦慮したが
関係が壊れるのを恐れて今まで来た。亜里沙はこちらに顔を向けて諦めたように笑いながら、皮肉を言った。
「まさか剣道3段のミス脳筋に学力で負けるなんてね、文武両道ってやつだ、神に愛された人は違うな」
 私はなんとか彼女のプライドを守ろうと言葉を探したが、諦めて黙りこんだ。私は勉強と剣道と、時々神事で忙しい高校時代を過ごしたが、彼女は勉強と蚊取り線香工場の青春だったと言っていた。
 蚊取り線香の粉まみれで暗い道を帰っていると、迷惑な蚊も悪い虫も寄ってこなかったというのは彼女の持ちネタだ。
「医者になって、儲けて両親を楽させたいと思うのは悪い事なのかな」
 亜利砂の声が少し湿った。わからない。医者だって生活できなければ人を救うことはできない。対価を受け取って生活できていれば人を救うことができる。正に卵と鶏だ。
 また新しい問題に行き当たってしまった。などと下らない問題は置いといて、私は深呼吸すると、努めて明るく言った。
「多少足踏みしてお金掛かっても卒業しちゃえば余裕でペイできるっしょ、私達就職難とは無関係のマッチングで自動就職なんだし、そんな先の事よりさ、彼氏のアテはあるの〜?」
 亜利砂が顔を上げ、掌を立ててぶんぶんと振りながら明るく言った。
「ないない、も、全然」
 わたしは重心を背中にかけながら反り気味に流し目で亜里沙を見た。
「え〜、男に受けそうなタイプと思ったんだけどなあ」
 今度はうってかわって身を低くして顔をよせ、ささやくように言う。
「私達って学生のうちに彼氏作らないと一生独身らしいよ」
 亜里沙も身を屈めて満面の笑みで手を何度も打ちならす。
「出た、女子医学生の呪い伝説」
 二人でひとしきり笑った後ふと空気が凍った。私達は無表情になると姿勢を正して歩き始めた。同時に同じ台詞が飛び出す。
「は〜洒落になんねえ」

 さらに解剖実習は進み、足先まで終えて頭部に戻った。神経、筋肉、血管などがバラバラになって頚椎が露出している部分で作業する大井が、大後頭孔から第1頚椎を外し終えて、皆が解剖書を片手にあーだこーだと
言っているが。私の心はここにあらずだった。一番の大道具、鋸が私に回ってきたのだ。予習でわかっていた事だが自分に回ってくるとは思わなかった。頭部正中断。初めてメスを入れた時以上に心が痛んだ。
 漫画で凄腕の剣士がやるように頭を真っ二つにしろというのだ。気がつくと、一通りの観察は終わり、皆淡々と次の課程を確認している。私が作業をしないと進まない。私は慎重に刃を当てて鋸を引いた。
 ゴリゴリと手に感触が伝わってくる。鋸の刃は思ったより速く頭蓋の中に呑み込まれていった。いつの間にか涙が溢れてきて、慌てて汗を拭うふりをして拭いた。
 
 ごめんなさい。権兵衛さん。
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