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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【196】

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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/23(木) 08:20:44.95ID:T52bD52J
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点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【195】
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0838美世
垢版 |
2020/07/30(木) 00:01:46.85ID:qgb56++m
 回りがざわついて、亜里沙が私を抱き抱えながら何かわめいているのが聞こえる。嘆きの中から言い様のない悔しさが込み上げてきた。

『違う! 私の事なんにも知らない癖に!』

 私は叫んだ……のだろうか……。

 亜里沙や新垣の顔、そしてビルのディスプレイやネオンがフラッシュのように入れ替わり立ち替わり見える。

 頭が痛い。ちらりと目を開けると、自分の部屋だった。また目を瞑ったが背後に人の気配を感じてぎょっとする。しかしすぐに亜里沙の匂いだと気づいて寝返りを打った。
 亜里沙の背中に抱きついて顔を埋める。あったかい。人ってどうしてこんなにもあったかいんだろう。
「ううん……、雛子、大丈夫?」
 私は黙って頷く。亜里沙は私の返事を背中で感じているはずだ。でも朝イチの挨拶が大丈夫? か。昨夜の私は飲み過ぎていまいち記憶が曖昧だ。どうやら亜里沙に迷惑をかけたようだ。
 私は亜里沙に食事を用意しなければと思い、起き出した。重い体を引きずってドアの所まで行くと、何やらまな板の音が聞こえる。美咲かな?  と思ったがヤツは料理ができない。思考回路の定まらないままドアをあけると
フライパンで何かを炒めている匂いが広がった。この部屋では見慣れない大きな人影が台所に立っている。違和感がハンパない。目を凝らしつつ頭をぼりぼりと掻いて状況を把握しようと努力した。振り返ったのは男だった。
「やあ、起きた? 気分はどう」
 さらに状況を分析する。頭を掻く手が止まった。
「あーーー!! 新垣!」
 新垣は「ぶふっ」っと吹きだして作業に戻った。しかし肩を震わせて言う。
「今、ぶふぅ、ごはん、できる、だめだ、ぷ、出オチかよ」
「あんた人んちで何やってんのよ!」
「そ、それは説明するけど、ぷくっ、その前に何か穿いたほうがいいよ」
 私はガバっと自分の下半身を見た。死にたい。

「そうそれでね、雛子ったら、ひたすら医者を目指す理由を論じて、3軒目の店で我に返ったのか、なんで私ばっかり語ってんだ、あんたの事も話せって凄い剣幕で」
 私は穴があったら入りたい気持ちで、おそらく耳まで真っ赤にしながら俯いて味噌汁をすすった。先ほど新垣にパンツを見られた。しかも正面にデカデカとリアル猫のプリントあるという、可愛いのか可愛くないのかよくわからないパンツだ。
 スカートからパンチラすると、猫が中から覗いているという特殊仕様のそれはたまたまネットで見かけ、思い余って買ったものだ。亜里沙以外の誰にも秘密だったし、外にも干さなかったのによりによってこんなやつに見られた。
 そしてそれを悔やむ暇もなく、昨夜の私の武勇伝が語られていた。上目遣いにちらりと見ると、新垣が笑いを堪えている。それは猫か、武勇伝か、どっちの笑いだ。ああ、きっと両方だ。
「それで俺はもう帰ったほうがいいって言ったら、凄い力でヘッドロックしてきて、じゃあ家まで来いって有無を言わさず引きずられてきたわけ、一瞬花畑が見えたよ」
「そう、それで帰って来たとたんにバタンキュー、しかも新垣君は電車無し、二人にするわけにもいかず私も泊まったの」
「雛子って見た目と違って力持ちなんだね」
 新垣がなんだかなれなれしい。私は泣きべそをかきながらおずおずと言った。
「なんで呼び捨てなんですか」
「ん? 諏訪園さんなんてまだるっこしい、雛子と呼べと言ったの君だけど、雛子も俺の事啓吾って呼んでたよ、あと見た目よりおっぱい大きいね、またヘッドロックしてよ」
 やらかしてた。この分じゃ亜里沙がいなかったらどうなっていたかわからい。GJ亜里沙。そして妙に味噌汁が美味しいのが悔しい。うちの材料なのに。とにかく気分は最悪だ。
0839美世
垢版 |
2020/07/30(木) 00:07:04.50ID:qgb56++m
「最初は雛子に毒づく新垣君が腹立たしかったけど、雛子の逆襲の方が酷かった、後半はもう可愛そうで見てられなかったよ」
 そう言って亜里沙は笑う。私はまた半べそでおずおずと言った。
「亜里沙、新垣君、ごめんなさい」
「あっれぇ〜、寂しいな、啓吾じゃなかったの?」
 立場が上だと見たのか、新垣が意地悪く言った。いや確かに上だ。
「ごめんなさい、啓吾」
 新垣がまた笑いを堪えている。
「いいよ謝んなくても、俺猫好きだし」
 そう言って肩を震わせている。もうこいつを道連れに東尋坊から身を投げるしかない。
 
「じゃあね雛子、新垣君、雛子に手を出したらダメだかんね」
「さあどうかな」
 亜里沙は歯をむき出しにして親指でひねる動作をして慌しく出ていった。何か用事があると言っていたが、具体的には言わなかった。新垣は、私がいいと言うのに洗い物をすると言って譲らなかった。
 私がソファーに腰を下ろすと、新垣は腕まくりをしながら台所に立った。
「で、私なんて言ってた?」
 新垣は忙しく手を動かしながら言った。
「何だって?」
 どうやら水の音で聞こえないようだ。私は声を張り上げた。
「私、昨夜なんて言ったの!」
 新垣は方を揺らして笑うと横顔を見せた。
「大体のことは、ね」
 私は新垣の背中をじっと見た。私が語ったとしたらいつも考えている事だろう。人は精巧なマシンなのか、それともなんらかの特別な力が働いているのか。そして人ならざるものの存在。真理。
 それを医学で解き明かす。おそらく洗いざらいぶちまけている。新垣が洗い物を追えて手を拭きながら半身を捻り、こちらを見た。私は言う。
「なら話が早い」
 私は頬を手の甲で支えながら新垣を睨んだ。新垣は薄く笑って首を傾げた。
「私は暴く、一生かけてでも、神が我々に秘密にしてきたことを、この手で暴く」
 新垣は一瞬真剣な顔をすると、また笑ってこちらへ歩いて来た。ゆっくりソファーに座ると、両手を大きく広げて背もたれに置いた。私はその腕をチラリと見て目で警告するが、新垣は気にする様子もない。
「いいねぇ、痺れるよ」
「にい……啓吾の番ね」
「ん?」
 とぼけるなとばかりに刺々しく言う。
「私は見事あなたの作戦に引っかかって洗いざらい吐いたみたいだけど、まだあなたからは何も聞いてない」
「そうだったな」
「なんで啓吾は……そんな悟ったような態度なの? 私と違う経験て何?」
 自信満々に人と違うと言うからには特殊なはずだ。帰国子女か、ホームレス中学生か、ヤクザの息子か、難民か。それとも額面通りに違うから違うのか。
「俺ね、父親のおかげで裕福だったんだ」
 私は黙って聞いた。
「2つ下の弟と、5つ下の妹がいてね、母親は妹を産んですぐ死んだよ、辛かったー」
 それは私にもよくわかる。事実、それが医者を目指すきっかけとなったのだ。啓吾は頭をぶらりとさせながらこちらを見て微笑んだ。
「仲間だね」
 それも言ったのか。どこまで言ったのだろうという疑問をよそに啓吾は続ける。
「まあ寂しかったけど暮らしは何の不自由もなかった、親父はね、国内外の投資や不動産で儲けてた、俺にぽんと100万よこして増やしてみろって言うような、そんな親父
で、ほんとに増やしたらお前にはセンスがあるって言われて嬉しかったな、でも学校で父親の職業を聞かれてもマジでわかんなくてさ、そんときはちょっとサラリーマン家庭が羨ましかった」
 私も父親の特殊さでは負けていない。父親の職業は禰宜だ。小学生の頃は漢字がわからなくて、ねぎって書いたら友達に笑われた。
「で、順風満帆に育って高校3年生で俺優等生、志望大学合格率70%、人生余裕だと思ったね、でもね……」
 啓吾は遠くを見つめて少し言いよどんでいるようだった。
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