僕が実の妹に両腕を切断されてから数日もたつ。
身体的痛みはだいぶ引いてきたけど、精神的傷は全く癒える気配がなかった。
「はい、お兄ちゃん、あーんして」
妹が僕の口元に箸を運ぶ。しかし僕は口を開けようとはしない。
「もう、お兄ちゃん、ちゃんと食べなきゃダメだよ」
それでも僕は動かなかった。
「もしかして怒ってる?」
「でもお兄ちゃんの為なんだからね。お兄ちゃんが優しいからって、
またあの女みたいな悪い虫がつかないようにしたんだから」
あの女―――僕の同窓生。彼女は殺されても文句の言えない様な事を
僕にしたんだろうか。
「もう、しょうがないんだからぁ」
妹はクスッと笑うと今度は自分の口に箸を運んだ。
しばらく咀嚼した後、顔を近づけてきた。