2017年に行われた第63回学校読書調査の高校2年生男子の6位(調査対象者519人中4人が読んだと回答)に入った一度きりである。

なお、『ソードアート・オンライン』(電撃文庫)や西尾維新の「物語」シリーズ(講談社)は刊行当初から約10年にわたってランクインし続けている。

また、入れ替わってはいったが2010年代にランクインしたことのある作品として、『デート・ア・ライブ』、『この素晴らしい世界に祝福を!』
(以上富士見ファンタジア文庫)、『ノーゲーム・ノーライフ』、『Re:ゼロから始める異世界生活』、『ようこそ実力主義の教室へ』
(以上、MF文庫J)などがある。

ライト文芸やボカロ小説(ボーカロイド楽曲を原作とした小説)のような広義のライトノベルまで含めれば
『ビブリア古書堂の事件手帖』『かくりよの宿販』『神様の御用人』、有川浩作品、『悪ノ娘』『カゲロウデイズ』『告白予行練習』、
フリーゲーム『青鬼』のノベライズも人気作品として入っている。

学校読書調査は毎年各3000〜4000人の中学生、高校生の男女(各学年男女各500人前後)を対象にして「5月1か月間で読んだ本」
について尋ねており、中学生ではそのうち5、6人、高校生では2、3人に読まれればトップ20に入る。中学生500人に1人、
高校生1000人に1人読んでいれば入る。

にもかかわらず『俺ガイル』は一度だけ、しかも一学年にしか入らず、しかし、累計1000万部超のヒットなのだ。
ということは、高校生より上の年齢を中心に読まれていたのだろうと考えざるをえない。

もちろん、シリーズが長期化すれば読者の平均年齢は上がる。だが『ソードアート・オンライン』(『SAO』)や「物語」シリーズが
2010年代以降ずっと中学生を新規読者として獲得してきたことと比べると、青春ラブコメといういかにも中高生が好きそうなものに
一見思えるジャンルにもかかわらず「下への広がらなさ」が際立っている。

たとえば2015年のデビュー以来、学校読書調査や朝読ランキングで複数年にわたって圧倒的に人気の住野よると比べれば、
「中高生に支持されている」とはこれらの調査の結果からは言いがたい。