0064この名無しがすごい!
2020/10/23(金) 19:52:39.53ID:h6CJZm1p使用するお題→『落雷』『フルーツタルト』『蝶』
【雨宿り】(1/2)
一日の授業が終わり、放課後になった。
「うぅ、どうしよう・・・」
カナミは困っていた。そう雨がザーザーと激しく降り、雷がゴロゴロと鳴っている。
「朝のニュースだと雨が降ってくるの夜になってからって言ってたから、傘持ってこなかったのにぃ」
それがこの土砂降りだ。テレビの天気予報も案外アテにならないものである。
「七尾ー、どうしたんだ?」
「あっ、宮坂君」
困っているカナミに話しかけてきたのは、クラスメートのハヤトだった。
「傘持ってくるの忘れたんだろ?心配するな。俺、傘持ってるから家まで一緒について行ってやるよ」
「あ、ありがとう・・・」
ハヤトが傘を差し、カナミが中に入る。大雨の中、一緒に家まで歩き始める。
「弟のケンは元気にしているか?ここしばらく会ってないからさ」
「ああ、ケンスケったらハヤト兄に会いたい、遊びたいってよく言ってるわ。よっぽど宮坂君のことが好きなんだよね」
「そうか、なら安心だ。ここ最近、天気の悪い日が続いて外でなかなか遊べないからなあ。まあ、いつでも遊びに来いよ」
「うん、ケンスケにそう伝えておく」
雨がさっきよりも激しく降り始めてきた。大粒の雨と黒い雲に覆われた空のせいで前方の視界が遮られ、なかなか前に進むことができない。
「ヤバくなってきたな」
「う、うん」
すると、カナミは足下に落ちている空き缶に気付かず足を取られ、ドテッと尻餅をついて倒れてしまう。
「うわっ!!」
「七尾、大丈夫か!?」
バシャッ!と尻餅をついた場所が運悪く水溜りだったため、カナミは全身がびしょ濡れになってしまった。
しかし、カナミはニコッと笑いだす。
「アハハ、今日の私は本当にアンラッキーね。今日の星占い見たら最下位だったし」
「へー、七尾って何座?」
「私、おひつじ座よ」
「そうだったんだ、ちなみ俺はみずがめ座」
突然、ドゴーン!と激しい雷鳴が轟き、2人は心臓が止まりそうになるくらいビックリした。
しばらくすると、数キロ程先にある家の屋根から黒い煙が立ち上っているのが見えてくる。
「ヤバいな、落雷が直撃したみたいだ」
「こうなったら、雨が少しでも落ち着くまでどこか安全な場所で雨宿りしようよ」
カナミとハヤトはルートを変え、近くの小さな駅に立ち寄り、そこの待合室で雨宿りすることにした。
ハヤトはランドセルから何かを取り出した。それは青いタオルだった。