>>891
使用するお題→『カミソリ』『夏服でニーソ穿いてるJK』『佐賀』『ポケット』

【ニーソを取り戻せ!】(1/2)

これはある真夏の日の、一人の女子高生の物語である。
雲一つない快晴の空の下、夏服でニーソを穿いた女子高生がルンルンと嬉しそうに歩いていた。
彼女の名前は、真田ミナミ。一学期の授業が全て終わり、明日から待ちに待った夏休みだ。

「明日から夏休み!夏休み!」

友達とお祭りや海水浴に出かけることを考えると、楽しくてワクワクが止まらない。
すると突然、ミナミは何かに足を滑らせ、ドテッと尻餅をついて倒れてしまう。

「い、イタタタ・・・。何なのよもう!」

落ちていたのはバナナの皮だった。まさか、こんな古典的なギャグに引っかかって転ぶなんて。

「ちゃんとゴミ箱に捨てなさいよね!常識のない人がいるから困っちゃうわ、まったく・・・」

立ち上がろうとしたその時だった。左足の方が少しスースーと涼しく感じる。
違和感を覚えたミナミは左足の方に目をやると、なんとニーソが少し破けて穴が開いてしまってるではないか。
まさか、さっき転んだ衝撃でだろうか。それにしてもピンポイントすぎる。

「もうウソでしょ、お気に入りのニーソなのに!」

とりあえず、どこか衣類を修理してもらえる店を探すことにした。彼女の母は裁縫が下手なのだ。
商店街に入っていくと、「FIX佐賀」と書かれた衣類修理の専門店を見つけた。

「よし、ここにしよう!」

ミナミがその店に入ると、一人の少年が現れた。

「あ、お姉さんいらっしゃい!」
「こ、こんにちは。店の人は、今は留守?」
「うん、お父さんもお母さんも今買い出しでいなくて、僕一人なんだ」
「あのね、この穴が開いたニーソを直してほしいの」
「これは大きな穴だね。もうじき帰ってくる頃だろうから、僕が預かっておくよ」
「う、うん。お願いするわ」

ミナミは左足の方のニーソを脱いで、少年に手渡す。しかし、彼女はやけにあの少年が胡散臭く感じてたまらなかった。
店を出た彼女は、近くの喫茶店で少し一息ついて冷たいジュースを飲んで楽しむ。
1時間ほどしてFIX佐賀に戻ってみるが、少年は出てこないし、店の主であろう彼の両親も帰ってきた気配がない。