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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【238】

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0001ぷぅぎゃああああああ ◆Puuoono255oE (ワッチョイ 322f-9Hqw)
垢版 |
2022/10/22(土) 07:04:58.34ID:kuFxbrL00
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点数の意味
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40点〜59点 物語性のある読み物!
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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【237】
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0002善意のわだち6 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 07:54:42.83ID:E0p8ODnG0
 前兆はあった。
 雰囲気としては晴れた日に似ていた。前日の激しい雨が、山の木々の葉、その緑に残っている。
 何故か、リスなどの小動物の姿は確認できない。鳥が群れとなって黒く飛び立つ。
 風がないために去り方は遅い。葉むらの先端から、雫が山の斜面、木々の根本に滴り落ち、根の茶色を黒くする。
 音はない。雫も音も、茶色の土が吸収するからだ。
 そんな、とても静かでそして穏やかな斜面を、小さな石が、まずはずむように転がる。
 それは断続的に続き、やがて尽きて、短い静寂が訪れる。そうして、山の斜面を覆う土砂が崩れる。
 あらゆる木々は押し流され、轟音が震動といっしょくたになり、動物たちは喚き、彼らの一部は押し寄せる、その暴力的な流れにのみ込まれる。

 革命とは、私にとっては、そんな出来事だった。
 何が小石で、前兆だったのか。思い返せばあらゆる物事が、その兆しに含まれていた。
 シュテットランドという国家そのものが、社会が革命を望んでいたように思われる。
 けれど、明確な兆しは、あの記者の来社だった。
彼を含めた、ジャーナリストというやからは、使命感にもとづいて行動する。
損得ではない。純粋な善意。または正義。
 けれど、正義というものは、山の地盤をゆるませる、雨に似ていると思う。
めぐみのように天から注ぎ、生い茂る木々の葉の色を濃くし、
そして、全てを押し流す力となるのだ。
0003善意のわだち7 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:00:13.51ID:E0p8ODnG0
何故、正義などというものは、彼を含む記者たちを、この国に寄こしたのか。
 シュテットランドという国は、いびつながらも機能はしていた。
 そもそもこのいびつさも、ひな型として設定したのは欧米人、
宗主国の人々だった。

 ヨーロッパの彼らがこの土地にやってきたのは、もう何百年も前だ。
 彼らはまず宣教師を寄こした。そうして宗教を広め、次に商人がやってきて交易が始まった。
 最後に軍隊が押し寄せて、この土地は征服された。
 
 大体こういう手順で、彼らはアフリカという大陸を、欧州社会の一部にした。いわゆる植民地化だ。
 彼らは、民族しかなかったこの大陸に、国家を建設した。その形は緯度や経度によって策定された。
 川や山脈をなぞる形で存在していた民族の境は取り払われ、交わらないことで平和を保ってきた民族が、混ざり合うようになった。

 ……シュテットランドという国ができる前、平和だった、10幾世紀もの間。
 ンエ人は川の北の低地で遊牧をし、ヌル人は南の高地で稗を栽培していた。
 ンエ人は冬に家畜を追って南下するが、川に行きあたって北に引き返す。
 ヌル人は川の南岸で栽培を盛んにしていたし、そのため流域付近の人口は多かったが、農地の範囲を川の北に広げることはなかった。
 もちろん、農耕は可能である。が、冬にンエ人が家畜を連れてくるため、根の浅い作物は食い尽くされてしまう。
 ヌル人からしたら迷惑な話だ。
が、ンエ人にはンエ人のサイクルがあるし、
冬の南下の間に、夏の逗留地の草が育つという事情がある。
 南下を禁じられる場合、家畜は逗留地の草を、
根こそぎ食い尽くしてしまうし、そうすると遊牧自体がなりたたない。

 どちらの言い分も、私には確固として、理があるように思えた。
 そして、この理のために2つの民族は衝突し、過去におびただしい血が流れて、
結果、2つの民族はお互いに関わらないという選択をした。
 川を越えなければ良いのだ。そうして平和は達成された。
0004善意のわだち8 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:05:00.59ID:E0p8ODnG0
この、暗黙の了解という平和を崩したのが、宗主国である。
 彼らは川ではなく緯度と経度を国境に設定した。
 ヌル人には稗ではなくある種類の豆の栽培を強制。
 ンエ人には、川の越境を認めつつ、主に公務員としての雇用先を確保。
ンエ人の何割かは、それでも遊牧から離れることはなかった。
 が、大部分は都市部で白人に仕えるという生活を選んだ。
 快適だったからだ。遊牧生活から離れる際、所有していた家畜は同族に譲ったが、
しかし譲られた側は、世話をしきれない。
 結局ヌル人が押し付けられ、ンエ人が作業を監督する形となった。
 この構造が、この国のここ数百年の、社会のひな型となった。

 白人を頂点とするピラミッド構造は、この土地に完全に定着した。
 それは、2つの大きな戦争をへて、名目上は独立を果たしても、続いた。
 経済的にシュテットランドは本国に、完全に依存をしてきたし、
この依存が解消されることはないのだろう。
 経済のみならず、政治の面でも、白人は社会の頂点に、依然として君臨してきた。
ンエ人が彼らに奉仕し、ヌル人に拳や鞭をふるい労働を押し付ける。
 もちろんこの仕組みに耐えられないヌル人もいる。
彼らは社会から脱落し、集団を作り武装。
ヌル人相手に犯罪行為を繰り返すが、しかし政府を襲うことはなかった。
 軍が出動するからだ。軍はンエ人が占めているし、機銃を躊躇(ちゅうちょ)なく掃射する。
 装備も現代的で、ヌル人の粗末な銃では相手にもならない。
 が、政府が気を遣うのは物流、経済に関わる拠点に限られてきた。

伝統的に、シュテットランドの政府は、地方の治安に興味をだいてこなかった。
 人的、物的な費用の無駄だからだ。そうして、武装集団は辺境を安住の地とする。略奪の対象は、ヌル人に限られる。
 この略奪に、ンエ人は反対しない。ただ、軽蔑するのみである。
0005善意のわだち9 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:10:21.46ID:E0p8ODnG0
 ……冷静に振り返れば振り返るほど、シュテッランドという国は酷い国だった。
 しかし、変化が起こった。震源地は宗主国、ベルギー。
私が対応した彼も含めて、記者が何人も取材にきた。
 彼らは記事を執筆し、いくつかは国際的な雑誌に載った。
世論の高まりを受けて、シュテットランドと取引関係のある
欧米の大企業が、数社動いた。
 これが次の小石だ。
経済の動向に敏感な政府は、ちゃんとした選挙というものを、建国以来、初めて実施した。
 従来、選挙権が与えられてきたのは白人とンエ人だけだった。
 ここに、ヌル人をくわえる。
人口の6割に選挙権が認められていないという、異常状態を解消する。
 民主主義は実現される。が、その弊害も、白人たちは予想していた。
 ヌル人の、民族運動の指導者たちも、立候補ができてしまう。
 そしてヌル人が彼らに投票をしてしまうと、白人たちは本当の意味で、
社会的少数派になってしまうし、悪くすると、ヌル人の大統領が生まれてしまう。
0006善意のわだち10 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:14:33.22ID:E0p8ODnG0
 彼らは首都の高層ビルの会議室で、額を寄せ合い、対策を練り続けた。
 民主化の流れは変えることはできない。
白人による独裁に執着をして、宗主国とのパイプが切れると本末転倒だ。
ではどうするか。
 民族的な怒り、恨みに染まり切っていない、柔軟な思考の若者を、
傀儡にすえたらどうか。
 白人が裏で手綱を取る代わりに、莫大な個人報酬を約束する。
幸い、適任者がいる。
0007善意のわだち11 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:18:34.51ID:E0p8ODnG0
 名前はヴォイ。辺境からその頭角を現した22歳。
 元は武装集団の一員だったが、6年前から集団を率いるようになり、
ヌル人を襲うという立場を変えて、村々の守護者となった。
 対価の代わりに安全を保障し、他の武装集団も撃退。
この時に激しい戦闘をし、実力を認めさせた上で、併合を交渉する。
 その際、突きつけるのは銃だが、向けるのは笑顔だったらしい。
 結果、合意に至れば、戦闘で負傷した人員を支配下の街に運び、
安全で清潔な家屋で、医師に治療を受けさせる。
 決裂の場合でも皆殺しにはしない。
決めるならはやい方がいい、と言って、交渉の場を去るだけだ。
 ずいぶん優秀なブレーンがついているのか、それともヴォイ自身が有能なのか、
決裂の場合は、これだけでは終わらない。
第三者的な武装集団が、合意を拒否した集団を必ず襲う。

 部下を潜り込ませているのか、手段は不明だが、
第三者をけしかけるのに、神がかり的な才能を、ヴォイという男は発揮する。
しかも狡猾である。
 合意を拒否した集団が全滅しかける頃合いを見計らって、調停に入るからだ。
 この調停の場で、ヴォイは改めて、併合を提案。
これを断って生きのびた頭領はいない。
 しかし受け入れた頭領を、ヴォイは厚遇する。
 前線から遠い村の管理を任せる。
ただし、略奪は許さない。
求めるのは、ンエ人がンエ人に接するように、振る舞うこと。
 相互信頼。尊重の概念を、新参ものに教育するという点で、
相当な平和主義者らしい。しかし同時に戦闘狂でもある。
0008善意のわだち12 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:21:31.74ID:E0p8ODnG0
ヴォイは武装集団の長として、辺境にあらわれてから6年間、
ひたすら前線を遊撃して回った。
 一方で支配地域の治安にも目を光らせるのも怠らなかった。
 簡単な文字の読み書き、教育の普及も推進するために教室も開いてきたらしい。
支配地域では略奪が前提とされないため、農業の生産力も上昇している。
 餓死者の数が、政府の直轄地域よりも、統計的に明らかに少ない。
まるでトルコのケマル・パシャだ。
 彼のふるまいは明らかに、民生・民族主義者のそれだ。
しかも勢力の拡大速度が尋常ではない。
 6年で、ヴォイは辺境の8割を支配下に置いた。
 もし、残りの2割が彼の手に落ちれば、
政府の直轄地域はヴォイの集団に包囲される形になる。
そこから物流拠点を抑えられれば、首都は干上がる。
 外国勢力と結託されれば、シュテットランドそのものが危機に陥る。
0009善意のわだち13 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:25:34.51ID:E0p8ODnG0
 政府はヴォイを取り込む必要がある。
優秀で狡猾で戦闘狂の、民生、民族主義者であるヴォイは、しかし貴金属に弱い。
 彼は金製品、特に指輪を好み、寄贈にも歓喜の声をあげるので、
支配地域の有力者たちから、ひっきりなしに贈り物が届く。
 そして、ヴォイはこの全てを受け入れるし、あからさまに厚遇する。
 結果、有力者たちは寄贈を競い合い、
ヴォイに付き従って貴金属を運搬する部隊すら、できるというありさまらしい。

 つまり、ヴォイは強欲。
ここに隙がある。言い換えるならば、交渉の余地だ。
 清廉潔白な民族主義者の場合、
傀儡として白人に膝を屈するのは正義と誇りが許さないだろう。
 が、強欲なら話が違う。
融和主義者の名声を勝ち取る裏で、白人にこびへつらう指導者は、
アフリカにはいくらでいる。そして、ヴォイには融和主義者の資質がある。
0010善意のわだち14 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:28:19.15ID:E0p8ODnG0
 ……と、白人たちは結論づけた。
 この結論には希望的観測が多々入っていたが、経験則的にもかなり成功の見込みが高い、
難題の解決方法だった。
 シュテットランドは民主化する。
選挙権は辺境を含む全ての土地の民に付与され、民族主義者としての評判が
高いヴォイは選挙に出馬し、ヌル人の支持を得て当選。
 白人が後押しすれば、数年で大統領になるだろう。そうして問題は解決する。
ヴォイは大統領として、権力と富裕を楽しむ。
 白人層はヴォイの汚職をほう助することで、利権が保障される。
国際社会の評価も受けて、シュテットランドは成長の軌道に乗るだろう。
0011善意のわだち15 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:32:01.27ID:E0p8ODnG0
白人たちのこういった目論見は、ヴォイが大統領になってからの数年は、
成功したかのように思われた。
私も、少年期の彼とは少なからぬ縁があったものだから、彼を応援していた。
応援というよりも、熱烈に支持をしていた。

 それは、ヴォイの大統領就任3周年の記念式までは。
 この記念式の日、純白の薔薇が山のように飾られた演台から、
ヴォイは呼びかけた。

「あらゆるヌルの同胞よ。あなたの隣の、ンエ人を××せ。
 鉈が手にあるのなら鉈で、なければその手で首を絞めるのだ。
 これはヌル人の未来、生まれくる子供らに贈るべき祝福である。
今こそ我々ヌル人は、ンエ人の支配を覆すのだ。これは革命である」

 ヴォイのこの演説は、シュテットランドのあらゆる電波に乗った。
都市労働者は屋外ビジョンで。辺境を含む農村の人々はラジオ放送で。
 彼らヌル人は、この虐殺の教唆を、扇動を、受け入れ感化され、
狂喜して、あるものは感激の涙を流しながら、
あるものは祈るように十字を切りながら等しく、ンエ人を襲った。
0012善意のわだち16 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:36:38.29ID:E0p8ODnG0
 ヴォイが演説をする直前まで、私は社屋の最上階の応接室にいて、来客の準備をしていた。
 あの記者の時と同じように、ハーブティーの茶葉をつまみ、鼻先に上げて匂いをかぎ、
品質の維持を確認。
 空調の設定温度を確認し、湿度も調整する。
 雇用主は今日もどうせ、挨拶だけをして、
そそくさと退散するに決まっている。
今回は記者ではなく、外国の企業人だが、やることは変わらない。慇懃を尽くす。
 相手企業と利得を折衝する。
資料はもう頭に入れてあるし、説明用のプロジェクターも、故障はない。
 中国製は安価だがすぐに壊れるので、別の国の製品を使っているが、
機械製品はいつ壊れるか、分からない。
 だから予備品も確保していたし、確認も怠らない。
 この会社で、私は決済も含めた全てを取り仕切っているし、
そのために必要な、雇用主の信頼を得ている。
 部下たちからも信頼されているし、
少々の、時には結構な無理を聞いてくれるかどうかは、
結局、この信頼にかかっている。
謙虚に、誠実に仕事をすることが、この信頼につながる。
0013善意のわだち17 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:42:23.88ID:E0p8ODnG0
 私はよく、雇用主から、白人でもないのにクソ真面目だなあ、と笑われていた。
 彼は、そうして笑ってから、とても穏やかで寂しい顔をして、
俺とお前は肌の色を間違えて生まれてきたんだ、と言い、あおるための酒を探す。
 私は、そんなことはありませんよ、と微笑む。

 実際、彼はとても白人らしい。
怠惰で、自堕落で、高みから現地民を見下ろし、
そして神という存在を揶揄しながらも実在を確信し、恐れる。神などいないのに。
そんなものは、白人が現地民を洗脳するために使用した道具、足掛かりに過ぎないのに。
 けれど、逆に現在では足かせとなるこの概念が、この男を正常にとどめている。
 雇用主が私を殴打しないのは、私に親愛の情を抱いているわけではなく、
神という観念に制止されているに過ぎないし、そういう意味では、
私は神に感謝を祈るべきだ。
0014善意のわだち18 (ワッチョイ 3901-UoHw)
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2022/10/22(土) 08:49:22.61ID:E0p8ODnG0
 感謝すべき事実はこれだけではない。
自堕落で、酒と薬物におぼれ、
牛乳が腐ったような腐敗臭を脇からただよわせるこの男に、
非暴力という美徳が付与されている事実だけではない。
 もう亡くなってしまったが、両親が生活費を切り詰めて、
私を大学の農学部に通わせてくれたこと。
 ヌル人に混じって肉体労働をしながらも、無事に大学院まですすむことができたこと。
 院では遺伝子工学を学び、助教授に推薦されるための研究論文は、
白人の他学生に窃盗されたが、それでも卒業はできたこと。
 夜明けの首都の飲み屋街の隅で倒れていた白人を介抱し、飲み水を与え、
アルコール中毒死から救った縁で、仕事先を見つけたこと。
 自堕落な雇用主には、それでも妙な優しさがあり、
私の両親が流行病にかかった時に、仕事に休みをくれて、
入院先と費用を用立ててくれたこと。
 結局あの時の恩が、私に、あの男を裏切らせないのだ。
大学の同級生だった女性と首都の路上で再会し、連絡先を交換した時も、
雇用主は邪魔をしてこなかった。
 俺が追いたい尻(ケツ)とは違うな、と失礼なことを言ったが、
彼女との結婚には祝福の言葉をくれたし、祝宴の費用も、
特別ボーナスだ、と言って支払ってくれた。

 確かに彼は白人らしくない。そして私は、ンエ人らしくないのだろう。
 一般的なンエ人より、恩に報いることを望む性質が強い。
しかも、この恩をあらゆる事象に感じがちだ。
 大学時代にヌル人に混じって労働をしたのが、多少関係しているのかもしれない。
 ンエ人は決してヌル人に感謝はしない。
過酷な肉体労働はヌル人の責務だと思っているし、そう教育されてきた。
ンエ人の役割は、白人に奉仕しつつ、ヌル人を罰すること。
 ヌル人は粗暴で、同族同士で迫害しあい、決して団結しない。
仕事も監督者の目を盗んではなまけるし、
そもそもが頭の悪い民族だから、文字も読めない。
0015善意のわだち19 (ワッチョイ 3901-UoHw)
垢版 |
2022/10/22(土) 08:53:38.84ID:E0p8ODnG0
 ……というのが、ンエ人の常識だったが、私は、この常識に違和感を覚え続けてきた。
 頭が悪い、文字が読めないのは、初等教育そのものがされていないからではないか。
 団結をしないのはいなめないが、粗暴でなまけがちなのも、こちらが高圧的に接するからで、
しかも労働に誘因を与えないからではないか。
 こういった疑問は常に頭の中にあった。
しかしこれは私自身の劣等感に対する、説明でもあった。
 私はヌル人に感謝を感じてしまう。肉体労働者にも、清掃業者にも。
 つまり、彼らは感謝に値しない劣等民族ではない。
ただ、社会構造的に、感謝という循環すらからも隔絶されただけの人々であるのだと、
私は思いたかった。
 
 だから、あの記者にも、その主張にも激しく同感し、共感し、動揺した。
結局は上から目線的な思考に滑稽を覚えることで、自分をしずめたが、
どこかで、私は罪悪を抱いていた。
 記者の言う事は正しく、しかし私は何もできなかったからだ。
 ガリレオガリレイは地動説を主張した。
私がもし彼だったら、そんな勇気はない。
ただ微笑むだけで、全てをやり過ごそうとするだろう。
しかし、その裏で鬱屈は澱のように溜まっていく。
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