ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【244】
オリジナルの文章を随時募集中!
点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢! 前スレが消えたので【244】で合ってるか怪しい。
けどままいいか。
たぶん前スレの前スレくらい
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【242】
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1687982801/ 心機一転でやりたいので、創作発表板の話題を持ち込むのは禁止。 スレ立てをありがとう!
>>1に付け加える文言を以下に記す!
評価依頼の文章はスレッドに直接、書き込んでもよい!
抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする(例外あり)!
それ以上の長文は別サイトのURLで受け付けている!
ここまでの最高得点79点!(`・ω・´)
前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【244】
削除済み
久しぶりに古巣に戻ってきた!
ワイスレにはワイがいる! 評価文章を随時募集中!(`・ω・´) これから執筆ではあるが! >>3
この考えは理解できるのだが、
前の板に新たなワイスレが立った!
しかも【244】と被っている!
新たなスレへ不用意に事情を書き込めば、
この場所を荒らしにも知られることになる!
屁理屈に近い書き込みで、ここに居座る事態を容易に想像できる!
かと言って放置するのは忍びない! 善意による行動と思われる為!
さて、どうしたものか!(`・ω・´)皆の知恵を借りたい! 書き込みはsage推奨! ありゃりゃ、これは困りましたね。
とはいえ、発表板の方は荒らしの餌食になることも予想されるので、方向性がはっきりするまで静観が吉のような気がします。
ワイさんも数日は書き込まない方が良いかと。
もしあちらが正常運航できるようなら、こちらを閉めても良いし、誘導するのもありでしょう。
とりあえず様子を見てから。 >スレッド
固定ハンドルが題名に入っている・固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている・等は、自己紹介板・最悪板・夢・独り言板・おいらロビー・なんでもあり板以外では、原則として全て削除または移動対象にします。
ただし、固定ハンドル個人が一群または二類に属する時は、他の削除規定に触れない限り様子見となります。 では、静観の構えで!
新スレを立ててくれた者には悪いのだが!(`・ω・´) >>14
コンテストに投稿した作品で、すでに締め切られている!
その為、ワイが評価したとしても修正できないのでは!
あと連作短編の形式で八十万字近い量となっている!
さすがに全てを見る時間は今のワイにはない!
そこで作者に自信のある一話を挙げて貰いたい!
その一話を評価作品とする!(`・ω・´)ノシ よろしく! >スレッド
固定ハンドルが題名に入っている・固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている・等は、自己紹介板・最悪板・夢・独り言板・おいらロビー・なんでもあり板以外では、原則として全て削除または移動対象にします。
ただし、固定ハンドル個人が一群または二類に属する時は、他の削除規定に触れない限り様子見となります。 >>17
第三十九話 超男性(1)
特に引っ掛かるところはなかった!
第三十九話 超男性(2)
>ヴィトルドは一揖した。
(一礼の意味の一揖は「いちゆう」とルビを付けた方がいいだろう!)
第三十九話 超男性(3)
>もういい加減にこんな追いかけっこ早めだ」
(「追いかけっこはやめだ」だろうか!)
第三十九話 超男性(4)
特に引っ掛かるところはなかった!
第三十九話 超男性(5)
>後から雷に撃たれたものだと他の人に訊かされてわかりました。
(訊くは尋ねる意味で使われることが多い! そこで「聞かされて」としてもよい!
雰囲気には合っているので聞き流してもよい! これ以降、似たような箇所の指摘は省く!)
第三十九話 超男性(6)
特に引っ掛かるところはなかった! 第三十九話 超男性(7)
>ヴィトルドはも尾いてきた。
(打ちミス!)
元々の独擅場が正しい! 今は誤読とされた独壇場が広く使われている!
放送の時も独壇場(どくだんじょう)を使用している!
どこか古めかしい時代を思わせる世界なので独擅場であっても問題ない!
第三十九話 超男性(8)
>「この崩落、人為的には起こされたものだ」
(「は」はなくてもよい!)
第三十九話 超男性(9)
>「俺の身体か鋼より硬い! はっはっはっはっはっ!」
(「身体は」だろうか!)
>ヴィトルドは乱妨に声を上げると
(暴力で金品を奪う場面ではないので「乱暴」の変換ミスなのだろう!)
第三十九話 超男性(10)
>ズデンカは血を蹴って
(変換ミス!)
>ヴィトルドは客車の海壇にと乗って
(変換ミス!)
>少なくとも、あたしは人間の子供を産めえんだよ」
(「産めねえんだよ」だろうか!)
第三十九話 超男性(11)
>中に何着か代えのメイド服を畳み込んまれている。
(「ん」は不要!)
全てを読んだ! 超男性の能力は凄まじく、且つ鬱陶しくて爽快でもあった!
他のキャラクターも個性があり、楽しめる回になっていたと思う!
最後、何事にもくどい超男性があっさりと引き下がった理由はぼんやりしていて、
多少、物足りなさを覚えた! 作者なりのオチがあれば引き締まった内容になったと思う!
最初の緊張感を維持できなかったのか! 話の終盤で凡ミスが続く! 最後まで気を抜かないように!
姐御肌のズデンカが光る物語であった70点!(`・ω・´)推敲は入念に! ところでワイくん。
ワイスレ杯の予定はどうなっているのかね。
皆、息をひそめて待っているのだがね。 今のところ、創作発表のワイスレが削除されていない!
荒らしの口汚い書き込みが激減したことで削除を免れているように見える!
そこでワイスレ杯なのだが、こちらとむこうのどちらでするのか!
始まってしまえば荒らしの書き込みなど、容易く流せる!
そこで再び意見を募る!
ワイスレ杯の開催時期と行うスレはどこが適当なのか!
奮って書き込んで貰いたい!
よろしく!(`・ω・´)ノシ こっちでいいんじゃね?
みんな書き込みを控えつつも開催を心待ちにしているはずだし、仮に参加数が少なかったとしても、これまでだって十数作品ということはあったのだから気にする必要はないし。
新規蒔き直しってことで。 まずは一つの意見として受け止めた!
稚拙な書き込みで小躍りする連中は放置して、
ここでワイスレ杯を行ってもいいように思う!
立てられた時間で云えば、こちらが本スレとなる!
もう少し意見が欲しいこともあり、今月の十五日まで待つことにしよう!
その結果、下旬にワイスレ杯と云う流れに持ち込んでもいいだろう!
実はワイに関係するイラストレーターがインフルエンザに罹った!
下絵もまだでワイがチェックを入れられない! 予定に
穴が開いた状況が好機となった!
今年最後のワイスレ杯の機運が高まる!(`・ω・´)ノシちょっと出かける! スレッド
固定ハンドルが題名に入っている・固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている・等は、自己紹介板・最悪板・夢・独り言板・おいらロビー・なんでもあり板以外では、原則として全て削除または移動対象にします。
ただし、固定ハンドル個人が一群または二類に属する時は、他の削除規定に触れない限り様子見となります。 書き込みがないので目立つように上げておく!(`・ω・´) 今月の十三日にこのスレでワイスレ杯を行う!
締め切りは十六日まで!
お題は決めていない! よろしく!(`・ω・´)ノシ ふむ、削除されたのだろうか!
まだ外は暗いが今から出かける!(`・ω・´) ホラーっぽい雰囲気はあるけど、尻尾ちゃんの動機とか能力とか三日間とか、意味ありげな割に最後まで関連性も必然性も見えないところがモヤる。 >>30
第1話
>夜空には寒い満月が昇っていた。
(寒い満月に引っ掛かる! 寒い夜空でいいのでは!)
>さっきから泥だらけの河川敷を走り回り、土をほじくり返し遊んでいる。
(主人公には犬のポチの姿が見えている!)
>えらく騒いでいるな……。
>きっと泥だらけになっているだろうな、帰ったら洗わないと……。
(急に見えなくなった! 違和感を覚える!)
>ポチは川の近くまで行っていた。
(川の近くまでいくと見えなくなるのだろうか! いつから穴を掘っているのだろう!)
>それは、ぐにゅっとした感触で、おもわず投げ捨てしまう。
(脱字があるのでは!)
>可愛い声が起こっていた。
(変換ミス!)
>ケータイを起動した。
(スマホではなくてガラケーなのだろうか!)
>僕は怪訝な顔つきで母を見つめてくる。
(奇妙な一文! 母親が息子を怪訝な顔つきで見ていたことは先に書かれていた!
この場面では誰が誰に対して怪訝な顔つきで見つめているのだろうか!)
>病院に行ってちゃんと診てみた方が良いかも……。
(診てもらった、だろうか!)
>おずおずと、スマホで警察に連絡する。
(ガラケーではないのか!)
第2話
>もう死亡しているだって……?
(主人公が強く願って生き返ったのではないのか!
あとで意味がわかるのだろうか!)
>髪が長く、巨乳で、すごく体形が良い体。
(「重複気味なので体形が」は無くてよい!)
>身動きどころか、眼球も視点も動かせない。
(眼球が動かなければ視点もそうだろう! どちらか一つでよい!)
>けだるみな笑みを僕に向けた。
(見たことのない表現! 「けだるげな」のような気がする!)
>幻覚だろうがなかろうが、僕の考えた事が目の前に、感を伴って現れるようになっているには違いない。
(感は「感覚」の脱字なのだろうか!)
全てを読んだ! 河川敷で見つけたものはなんだったのか!
三日間限定で思ったことが何でも叶う意味とは!
おそらく人が胎内で失った尻尾と思われる!
作中に書かれていないのでわからないが!
主人公が願ったことを叶えるとあるが、徘徊して家からいなくなったと思った母親はすでに亡くなっていた!
この部分の辻褄が合わない! 主人公は警察に聞かされて驚いていた! 望んだことではなかったように見える!
理想の女性にしても何故、強く拒絶したのか! 強く願った女性ではなかったのか!
もう少し設定を活かして書いた方がいいのでは! 最期の場面は悪くないと思うが66点!(`・ω・´) 第六十三回ワイスレ杯のルール!
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は二千文字程度、六十行以内!) 一人による複数投稿も可!
「記名投稿、無記名投稿」は任意で選べるものとする!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第六十三回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と認める前の修正は可とする!
今回の設定!
寒い冬の一日に心温まるストーリーを募集する!
話の切り口は自由! 過酷な内容であっても小さな幸せを書くことはできる!
書き易いテーマなので奮って参加して貰いたい!
応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える! 通常は全体の三割前後!
締め切った当日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
今年最後のワイスレ杯!(`・ω・´) 密やかにスタート! スレッド
固定ハンドルが題名に入っている・固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている・等は、自己紹介板・最悪板・夢・独り言板・おいらロビー・なんでもあり板以外では、原則として全て削除または移動対象にします。
ただし、固定ハンドル個人が一群または二類に属する時は、他の削除規定に触れない限り様子見となります。 道路に雪が積もったため自転車で登校できない、それまでは良かった。そのことを見越して、今日は30分ほど早く起きていたから。
俺の家から学校までの距離はそう遠くないし、ゆっくり歩いても始業前に余裕で学校に到着できる……はずだったのに。
「お前、道端で何してんの?」
「スケートごっこしてたら、足を挫いちゃって。学校までおんぶしてくれない?」
凍った水たまりの上でうずくまっているそいつを見つけた途端、俺の予定は一瞬で崩壊した。
スケートごっこなどというアホの極みのような所業で怪我をした挙句、図々しくも俺におんぶを求めてきたやけに小柄なこの女子高生は、俺の幼馴染だ。
「はぁ、まずは足を見せろ。手当してやるから」
「それは自分でやったよ! いつ転けてもいいように、手当する用のガーゼとかは常備してるから!」
「多分だけど、注意を払う所間違えてるぞ」
「でも、私が怪我したら拾ってくれるでしょう? そうやってなんだかんだ優しいところ、私は好きだな」
「……あぁ、そうかよ」
えっへん、と言わんばかりに無い胸を張っているのを見て、俺はやっぱりコイツのことが嫌いだと思う。
コイツは生粋の天然、というかアホなので、危なっかしくて放っておけない。そういうところが、気に食わない。
「ならさっさと背中に乗ってくれ。お前のせいで遅刻だなんて御免だぞ」
「じゃあ、乗るよ。よい……しょっと!」
「あっ、意外と……」
「今、重いって言おうとした?」
「違う、違うから首を締めるのはやめてくれ」
思っていたよりは軽いが、それでも重い。大体40kg弱ってところだろうか……なんて考えている俺の首を、かなり強めに締め付けているか細い腕をタップしながら、俺はやっぱりコイツのことが嫌いだと思う。
行動はアホとしか言いようがないのに、年相応に女子としてのプライドは持っている所が面倒だ……お前のことをおんぶする側の俺のことは、ちっとも男として見やしないくせに。
「大丈夫? 疲れてない?」
「……ん? ああ、平気だよ」
「本当に?」
「男子高校生の体力舐めんなよ。このくらい何ともない」
「……はーい」
強がってはみたものの、正直なところかなり疲れているというのが本音。それを察したように静かになった幼馴染を見て、俺はやっぱりコイツのことが嫌いだと思う。
こんな所で気を使うなら、最初から転けなければいいのに……そんな憎みきれない所に、却って腹が立つ。
「はぁ、はぁ……着いたぞ。時間は……5分前、セーフだな」
「本当に1度も降ろさずに学校まで運んじゃうなんて、やっぱり男子は体力あるんだ。ありがとね、おんぶしてくれて」
「いいよ、大丈夫……ちょっと水飲みたいから待っててくれ」
そんなこんなで幼馴染を背負いながら歩くこと約25分、ようやく学校にたどり着いた俺は、息を整えつつ火照った体を冷まそうとカバンから水筒を取り出……水筒を……あれ?
(水筒、忘れた)
最悪だ。俺は水道の水を飲みたくないタイプなので、冷水機は使えない。
仕方ないし、教室に行ってから男子に水を分けてもらうか……なんて考えていた、その時だった。
「これ、飲む? 飲みかけ、だけど」
「いや……じゃあ、ありがたく」
上履きに履き替えたばかりの幼馴染が、鞄から取り出した水筒を俺に差し出す。ああ、やっぱりコイツのことは嫌いだ。わざわざ飲みかけだなんて言われなければ、何も意識せずに飲むことが出来たかもしれないのに。
「少しは気にしろよ、そういうの。俺だって何も思わないわけじゃわないんだぞ……はい、返すよ」
そんな態度に腹が立ってしまい、俺は思わず愚痴をこぼしてしまう。その後すぐに自分の発言の意味に気づき、揶揄われるのではないかと思ったが……
「私だって、恥ずかしいんだよ?」
(……は?)
彼女から帰ってきたのは、予想外の言葉。あまりに唐突にそんな小っ恥ずかしいことを言うものだから、冷たいお茶を飲んだはずなのに逆に体温が上がってしまったように感じる。
ああ、やっぱり俺はコイツが嫌いだ。ただの幼馴染の筈なのに、俺の心の中を無断で占領してくる。こんな奴に惚れるなだんて、俺のプライドが許さない。
だから、俺は今日も自分に言い聞かせる。やっぱり俺はコイツのことが嫌いだ、と。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
>>38
只今、一作品!(`・ω・´) >>38
修正です
そんな態度に腹が立ってしまい、俺は思わず愚痴をこぼしてしまう。その後すぐに自分の発言の意味に気づき、揶揄われるのではないかと思ったが……
↓
そんな態度に腹が立ってしまい、俺は思わず愚痴をこぼしながら口をつけたばかりの水筒を返す。その後すぐに自分の発言の意味に気づき、揶揄われるのではないかと思ったが…… 気が付いたら知らない山にいた。冷たい風で体が震える。頭に声が響いた。
私は神です。あなた達のうち最初に到着したひとりだけを山頂のロッジに招待しましょう。
ロッジには温かい暖炉とアツアツのスープがあります。極寒の冬を無事に越えられますよ。
ライバルが何人いるのか判らない。あなたは大急ぎで山道を駆けだした。丁寧にも山頂に向けてこの道は続いている。
しかしすぐに息が切れた。山道を走るのも危ない。すぐに歩き始める。呼吸がはぁはぁと熱い。すると、目の前に仔猫がいた。
まるまっている。
どうしたのか訪ねると、どうやら同じ参加者で急いで駆けあがったら足をくじいたのだという。痛くて動けないらしい。
あなたは悩んだ。悩んだほんの少しの時間で体が冷えたのか、仔猫が細かく震え始める。あなたはその場に座ると、仔猫を膝に乗せた。
あなたの体温は上がっているので、温かそうに仔猫がまるまる。見捨てることはできない。かといって、連れて行き仔猫を勝者とすると、もっと冷えているだろう山の上であなたが助からない。どうしたものか。
そうこうしていると、熊が登ってきた。
あなたは恐怖で竦む。すると熊から何をしているのか訊かれた。
あなたは足を挫いた仔猫を温めているという。熊も困ったように、その場に立ち尽くした。やがて寄ってくると、あなたごと包むように熊が膝に乗せてくる。あたたかい。
しかしいつまでもつだろう。
食事はないのだ。
不安を抱いたまま夜が来て、朝が来た。再び頭に声が響く。
私は神です。軽い気持ちでひどい事をしました。反省します。全員を元の世界に帰しましょう。
あなたと仔猫と熊はその言葉に喜んだ。
しかし折角の出会いです。ロッジで食事をしてから帰りませんか。あなたたちは再び喜んだ。
こうして、あなた、仔猫、熊、神様、の4人は暖炉で温まりながら美味しいスープを楽しんだ。
どうしてこんなことをしたのか、あなたが訪ねる。
神様は無茶なお願いばかりされるから、たまには無茶なお願いをしたかったのだという。
ごめんね、とみんなの頭を撫でていく。許した。そして提案する。
ひとりで考えて答えがでない事はみんなで考えよう。
神様は涙を流して喜んだ。こうしてあなた達4人は友達になったのだ。
・
元の世界に帰って暫くが経った。
家にやってきた神様から相談をされる。
眠れないんだ、どうしたらいい。
あれから一緒に暮らしているあなた達はみんなで子守唄を歌った。
疲れた顔の神様はゆっくりと脱力し、深い眠りへと落ちて行った。
それを見て、あなた達もゆっくり眠りへ沈んでいった。
温かい夜がじんわりと世界へ広がった。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
>>38
>>41
只今、二作品!(`・ω・´) くるくると回る様に二機が背後を取り合う。ドッグファイト。君は戦闘機のパイロットで、吹けば飛ぶ様な小国の空軍士官だ。腕は良い。
そんな君は、母国と同じく吹けば飛ぶ様な小国のパイロットが駆る戦闘機と命懸けの追いかけっこをしている。そして、相手の腕も良い。
もしかしたら、君よりも。
──こんな寒々しい、冬の空で死にたくない
慢心の反動か。君は大抵は強者として弱者を狩る側であった。故に自分は死なないのだという慢心が生まれ、それが同格の相手を前にして現実を突きつけられたのだ。
皮膚が粟立ち、心臓が気の触れたリズムを打つ。そして不意に爪先に "冷え" を感じた。それは少しずつ上へ上へとのぼってきた。
君はこの "冷え" が気温に起因するものではないと本能で理解する。冷えているのは足ではなく、心だった。これが膝までのぼり、腹、胸、そして頭に達するとどうなるのか。
──俺は死ぬ。駄目になってしまう。怖くなって、怖くなって。死にたくないと叫びながら頭がおかしくなって、結局死んじまう
後何度回れば背後を取れるのか、もしくは取られるのか。生きるのか、死ぬのか、精神の糸のほつれが限界に達した時。ふと、去年の今頃の事を思い出した。
◆
一年前の寒い冬の日、君と恋人はデートをしていた。「ねえ、手袋忘れちゃった。手が冷たい」恋人が急にそんな事を言う。
君は苦笑しながら右手を差し出し、恋人の左手をとった。手を繋ぎ、暫く歩くと今度は「もう片っぽは?」などと言い出し、繋いでいない自身の右手を見遣る。
君が恋人の言っている意味が分からずに怪訝な表情を浮かべると、恋人は黙って君の左手を自身の右手で掴んだ。君と恋人は環になって、路上で立ち止まる。
「どうやって歩くんだよ」君はそう言うが、妙に胸が温かい。
「こうして歩けばいいじゃん」恋人にリードされる形で、君達はくるくると回る様に道を歩く。そして案の定、二人して転んで尻を打った。君は苦笑しつつ、恋人の手を取って立たせてやった。
◆
死のドッグファイトからあの事を思い出すなんてどうかしていると思いながらも、君の胸の奥に火がともった。
開戦が決まり戦地へ向かう事になった君を、恋人は震えながらも笑顔を浮かべて激励してくれたではないか。まあ最後の夜かもな、などと君が茶化すと恋人は本気になって怒ったが。
怒った恋人を宥める為、君はベッドで一頑張りしなければならなかった事は良い思い出だろう。まあ、君にとっては。
「馬鹿だな、俺の腕がピカイチなのは知ってるだろ? 死なないさ。生きるのは俺、死ぬのは敵だ」そんな言葉がどれだけ薄っぺらいものだったか、今ならば君にも分かる。分かるからこそ、より強く決意する。
──帰るぞ
君は歯を食いしばり、操縦桿を握り締めた。"冷え" はもう感じない。胸の奥の火の熱が全身を巡っているからだ。君の瞳は生への渇望でギラつき、敵パイロットにとってはこの世でもっとも危険な光を帯びた。
そして──……
◆
所詮は小国同士の戦争である。大国からすれば紛争ですらないかもしれない。結局、中立国の介入により両国の戦争は僅か7日で終結した。
終戦から3ヶ月後、君はとある事情で軍を退役し、のんべんだらりとした生活を送っている。君は新聞を読みながら寝室に目を向けた。
君の恋人、いや、妻は未だに起きてこない。「もう午後だぞ……」と君はブツクサ言いながら、マグカップに残った珈琲を見て、右手でカップを掴もうとして失敗する。
右手がもう使い物にならない事にまだ慣れていないのだ。傷痍軍人となった君が戦争に往く事はもうないだろう。とはいえ後進の指導などは出来る為、無職の侘しさを味わう事も無い。
君にとってこれは大きい。独身と妻帯では職の重みが違うからだ。
君は左手でカップを持ち、珈琲を飲み乾す。そして、妻を起こしに寝室へと向かった。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
>38
>41
>43
只今、三作品!(`・ω・´)アンカーエラーが出たので! 幸せなこと。
それは君がそばにいること。
不幸なこと。
それは家にはもう帰れないこと。
雪のように白いベッドに腰掛けたまま寒々とした空を眺めていると、風が窓を揺らす。
僅かに残った枯れ葉たちが、空へと舞い上がっていく。
幸せなこと。
それは君がむいてくれるミカンの味。
不幸なこと。
それは昔よりもその味が分からなくなってきたこと。
君の細くて白い手も、私同様に随分としわくちゃになってしまったものだ。
君なんて、手が黄色くなってしまっているじゃあないか。
幸せなこと。
それは、君がこんなくだらないセリフにもちゃんと笑ってくれること。
不幸なこと。
それは、君が一人の時、泣いているのを知ってしまったこと。
私の前ではいつも暖かい笑顔を向けてくれたね。
辛い時も、病める時も、君の笑顔に救われた。
幸せなこと。
それは、まだもう少し時間が残されているということ。
不幸なこと。
それは、もう僅かしか時間が残されていないということ。
君のお父さんに、娘を泣かせたら承知しないと挨拶の時言われたね。
きっとお父さんに会ったら、沢山叱られてしまうだろうな。
幸せなこと。
それは、まだ君と会話ができること。
不幸なこと。
それは、まだ君と会話ができてしまうこと。
君は、なんでも聞いてくれるよね。
だから、つい弱音を言ってしまいそうになるんだ。
幸せなこと。
それは、幸せがありふれたものであると気づいたこと。
不幸なこと。
それは、自分が幸せであると気づいてしまったこと。
恐れは身体を凍てつかせ、心も凍らせる。
だけど君が手を握っていてくれるなら、何も怖くなくなるんだ。
ありきたりな言葉だけれど、君は僕の太陽だから。
君と生きてこれたことが、何よりも幸せだったから。
だから僕は今、とても不幸で、とても幸せだ。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
>38
>41
>43
>45
只今、四作品!(`・ω・´) ようやく僕と唯は月に到着した。
月の土地をネットで見つけた時に、月の土地の値段が思いの外安かったのと
唯が「月に行ってみたい。きっと素敵な暮らしが待ってるのよ!」
と、目を輝かせていたからだ。
10エーカー程大人買いした僕は唯に土地所有証明書をプレゼントした。
そして唯の笑顔を想像して頬が弛んだ。
唯が
「ありがとう! じゃ、今度私の土地を見に行こうね! 絶対だよ。約束ね」
と、言い出す前迄は。
※
最近月旅行も随分リーズナブルになった。月の1日滞在がたったの3億円。
もちろん2泊3日3食付きだ。投資で少し稼いでいる僕にとっては大したことないない金額だし
なにより愛しい唯のためにならその程度の金額なんて一切厭わない。
僕達はNASAの宇宙トレーニングセンターで2週間の訓練をし
宇宙でのノウハウを身に着けた。
無重力状態での食事や排泄、睡眠などの宇宙でのQOLを快適に過ごす為だ。
そして、丸1日掛けて僕達のロケットは月に到着した。
※
月に到着したのは夕方だった。西の空は夕焼けが広がり黄金色の光に包まれた僕は唯の肩を抱きしめいつまでも眺めていた。
夕焼けはいつまでも僕達を包みそれは永遠なのではないかと思えるくらいだった。
僕達は日が暮れる前にロケット(宇宙船)に戻った。
そして夕食を摂り(ディナーカプセル、所謂宇宙食だけれど)狭いベッドに唯と一緒に潜り込んだ。
そして長い夜が僕達を待ち受けていた。
僕は失念していたんだ。月の周期。半月から新月を経て半月まで14日間掛かるって事を。
14日間夜で14日間昼間だって事。つまり月の1日って28日周期だ。
夕方に月に着いて1泊は28日って事だ。夜は寒かった。実にマイナス150度まで冷える。
月の夜は寒い寒いとは聞いていたが、人智の域を超えていた。
それでも僕達はお互いの温もりを確かめ愛を深め、長い長い夜を互いに貪り合った。
流石に夜明けを迎えた時僕は太陽を拝むと、太陽はとても黄色かった。
そして寒過ぎた冬を越せた事に感謝した。
心も体も安堵していた。
※
月の昼間の平均気温は100度だった。それが14日周期。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
>38
>41
>43
>45
>47
只今、五作品!(`・ω・´) 俺は戦車に撃たれて崩壊したビルの中の焚き火の前に座り、担いでいたカラシニコフをおろし、右脇に置いた。右脇に置くのはいつ、敵の強襲を受けても大丈夫なようにしておくためだ。俺のカラシニコフのチャンバーには常時、7.62mm弾が充填されている。いまでもトリガーを引けばすぐに弾が発射される。これが戦場というものだ。ロシア人ですらこんな運用はしないだろう。危険だ。しかし、ここは世界で一番、過酷な戦場だ。地球で一番、ホットな場所だった。
砂漠の夜は寒い。地中海から吹く風が冷たい。前の前は建物の瓦礫だけ。まったく、地獄だ。マホメットと約束した地にはなかなかたどり着けない。
隣にいた五分刈りの男が話しかけてきた。
「今日はクリスマス・イブだよな?」
「ああ、キリスト教の連中はな。コーランを詠む俺たちには関係がないぜ」
そう言い、俺は苦笑した。
そして、男は言った。
「ヨルダンあたりに行くと、最近は帝国主義者の犬のマクドナルド、スターバックスがクリスマス・メニューをやるんだぜ。俺らだって意識するさ。俺らたちの土地を荒らしたのは一体、誰なんだろうな」
「ああ、俺の子どもたちも最近はこのイスラムだけどサンタクロースとか言ってい流よ」
俺は首に吊るしていたペンダントを開いて、嫁と息子、娘の写真を眺めた。そして、涙をこぼした。砂漠の砂が目に入っただけだ。
男が言う。
「残念だったな。この戦いさえなければ。俺らの敵のお祭りだが家族と一緒に祝えたのにな」
俺は首をかしげた。
「いつ死んだなんて言った?俺はもともとシリコンヴァレーで働いていて、この戦いのために戻ってきた義勇兵だぜ」
五分刈りの男は困惑したようだった。横に置いたヘルメットをこつんと叩いた。
「まだ、生きているの?」
「カリフォルニアでオータニさんでも見ているんじゃね。いやー、嫁も子どももすっかり資本主義に毒されてさ。LGBTQ+バンザイなんて言うんだぜ。家にはグレタちゃんのポスターも飾ってある。もちろん、車はテスラだ」
男は呆気に取られていた。
「なんでここにいるんだ」
「それがイヤになってきたから、ここにいるんだぜ。アメリカはなぁ、稼げるけど退屈。稼げば稼ぐほど退屈。西海岸のハイテクなんてリモート勤務だもの。同僚とバカ話なできねぇし。一日家にいるとウゼェ家族の声が聞こえてさ」 「戦場がそんなにいい?」
『この空気がたまらないよ。あいつら、市民も兵士もおかまいなく撃ってくるんだぜ。すげぇよ。そんなの銃乱射事件が多いアメリカでも滅多にいない。いやぁ、西海岸なんて、いまはたいして自由にものも言えないからそれはそれで地獄だぜ。レーガンが大統領の頃とかはよかったんだけどな」
「そういや、お前のカラシニコフはやけにいつもいい音を鳴らしているのが気になっていたんだけどさ」
「バラすか。ほら、いまヨーロッパでどんぱちをやっているから闇市場に流れて。そこからいいのを選んで、分解整備してもらった。もちろん、自分で整備をかかさないけどな」
「お前、金持ちだな…」
男は呆れ返っていた。
「と言っても西海岸で400,000ドルぐらいだからハイテクとしてはたいしたことはないよ。女房は俺よりもっと稼ぐしな」
そこにUNRWAのトラックがやってきた。俺宛ての荷物だそうだ。
「よー、届けものだ。しかし、UNRWAまで使えるとはお前はなにものだ?」
気にせず、荷物を渡してもらった。中立の立場のUNRWAだから冷たくしても構わない。あいつらは敵ではないが味方にもなってくれない。
荷物のサイズはAppleのMacのノートの箱より厚いぐらいだった。
住所は書いていなかったが、送り人に「ストナー」と書いてあった。
ストナーは帝国のM16ライフルの開発者だ。ストナーからカラシニコフへのクリスマスプレゼントか。
俺は笑みをこぼした。こんなばかなことをするのは嫁だけだ。
包みを開けた。
シュトーレンがいくつも入っていた。シュトーレンはドイツのクリスマスケーキだ。日持ちがいい。
どういう解釈をすればいいのかに迷った。WW.II後敵を憎むことをやめたドイツ人のようになれか、それともWW.II以前のドイツ人のようになれか。
男は初めて見るようだった。俺は一つ手渡し、とりあえず食えと言った。男も怪しい食べ物とは思わなかったようで、口に一口含んだ。
「甘いな。しかし、これは一晩で全部は食えないぜ」
「取っておきゃいいさ。この気候なら腐らないぜ」
「そうしたら、子どもに出会ったら食べさせてやるさ」
こいつは思っているよりいい奴かもしれない。世界がこんな男で溢れていたらこんな戦いは起こらない。だが、それは俺にはいらない世界だ。
「まぁ、一応、メリークリスマスだ。俺たちゃ、みんな同じところが聖地なんだしな」 >>49-50
ワイスレ杯は一レス縛り!
この話は二レスなので参加作品と認められない!
一レスに纏めることができれば認める!
健闘を祈る!(`・ω・´)>ビシッ! 「お婆ちゃん、お薬塗るね」
「朝ご飯は食べましたよ」
「後ろ向いて」
「美味しいねえ」
冬になると肌は乾燥する。そんな当たり前の常識、だが高齢になるとバカにできない。
潤いのなくなった皮膚が服と擦れると、すぐに大怪我をしてしまうからだ。
駅から20分のお婆ちゃんの家。お母さんが仕事の都合で行けないとき、私は代わりに世話をしにいく。
こんなことを誰かに話すつもりはないが、正直面倒くさい。その一番の理由は、記憶を辿っても、お婆ちゃんとまともに会話した覚えがないからだろう。
私が物心ついたときには、既に認知が始まっていたからだ。なのにこうやってたまに介護をしないといけないから、余計に印象は悪くなる。
私は最低な人間だ。第一志望の大学が落ちたことも、介護のせいだと心の中で言えてしまうのだから。
「ありがとうねありがとうねえ。みよちゃん」
「はい。ゆっくりしてねご飯作るから」
でもお婆ちゃんは、なぜか私の名前だけは間違えることがない。ご飯の時間も、挨拶も、時系列だってバラバラ。
私が誰かもわかっていないはずなのに、間違えない。そんなに特徴的な名前ではないと思うが、おそらくその理由は、お母さんが教えてくれた。
「お婆ちゃんがつけてくれたのよ。あなたの美代って名前」
「そうだったんだ。だから……なのか? でもちょっと……古いよね」
「ふふふ、そうかもしれないね。でも、凄く悩んでたわ」
「ふーん。でもなんでお母さんとお父さんが決めなかったの? 普通そうじゃない?」
「初孫で嬉しそうだったからね。親孝行よ」
「親孝行……」
何とも言えない気持ちになった。私は親孝行のダシにされたらしい。最近は、えま、とか、ひまり、とか可愛い名前が多い。
自分の名前を否定するわけじゃないけれど、なんだかなあ。
そしてその冬を乗り越えた数か月、お婆ちゃんは亡くなった。お葬式には沢山の人がきた。近所の人とか、昔の友達とか、親戚はもちろんだけれど。
好かれてたんだろうなって思うと、なんだか介護をしていた自分が少しだけ誇らしく思えた。
ああ私って性格悪い。
葬式が終わってお母さんと家で遺品整理をしていたら、お葬式でも泣かなかっのに、気づけば涙がこぼれていた。
自分は凄く薄情な人間だと思っていたが、どうやら違うらしい。その時、お婆ちゃんが生前使っていたであろう鞄から一枚の写真が出てきた。
「これって……私?」
「あら本当ね。お婆ちゃん、あなたのことが本当に好きだったから。きっと、肌身離さず持っていたんだわ」
「……私、嬉しそう」
そこには、お婆ちゃんに抱きかかえられて嬉しそうに笑っている私がいた。
とっても幸せそうだった。裏には、大好きな大好きな美代ちゃん、絶対に忘れない。と書かれていた。
認知が始まってからおあばちゃんはメモの癖をつけていた。私も何度かみたことがあった。でもその時は、気にも留めなかった。
私の心が強く何かに押し付けられる。
もっと優しくすればよかった。もっと会話してあげればよかった。もっと笑いかけてあげればよかった。
「……お婆ちゃんに会いたい……」
「ふふふ、そうね」
その日、性格の悪い私は、ただひたすらに泣いた。
「痛くないですか? 大丈夫ですか?」
「うんうんありがとうね」
「冬は乾燥するので、気を付けてくださいね」
それから数年後、私は無事大学生になっていた。今は二年生、実習生として、現場にお邪魔させてもらっている。
「お婆ちゃん好きなんだね」
そのとき、先輩から突然に言われた。私は静かに首をかしげる。
「どうしてですか?」
「凄く笑顔だったからね。認知の人にも沢山話しかけてるし。将来はきっといい介護士になれるよ。……きつい仕事だし、世間ではいい印象を持たれないけど、そのまま続けてくれると嬉しいな」
それを聞いた私は、人って変われるんだなと思った。でも、そのきっかけはわかっている。
「はい。私、お婆ちゃん大好きです。これからも頑張ります!」
「それにそのネームプレート、手作り?」
「そうです。凄く好きなんです。自分の名前」
「いいね」
胸元に視線を向ける。
そこには、とてもカワイイフォントでデコレーションされた美代という名前が、誇らしげに胸を張っていた。 身を切り裂くような冬の風が、墓石の間を吹き抜けている。俺は親戚の墓参りをするため、とある霊園を訪れていた。かじかむ手で桶に水を汲み、目的の墓へと向かった。
菓子をお供えして、手を合わせた。帰ろうとすると、隣の墓に西洋人風の男がやってきた。その男は、こんな寒い日にクーラーボックスを持っている。
何をするのかと見ていると、男はそれを開けた。その中を見ると、たくさんの保冷剤の中にビールらしき缶が数本入っている。いかにもキンキンに冷えていそうだ。
男はそのうち一本を取り出し、カシュッと音を立てて蓋を開けた。そして、そのまま缶をひっくり返して墓石のてっぺんに置いた。ビールが少しずつ溢れ、墓石の表面を覆っていく。
冬なのに、冷たいビールなんか供えなくてもいいんじゃないかなあ。仏さんが可哀そうだよ。そう思っていると、男はもう一本ビールを開けた。
「Cheers!(乾杯!)」
そう言うと、男は手に持った缶を墓石上の缶にカチンと合わせ、一気にビールを飲み干した。そのままプハーッと息を吐き、缶を置いた。
呆気に取られていると、男はこちらを見た。俺の様子が不思議だったようで、話しかけてきた。
「あの、どうかしましたか?」
「いえ、こんな日に冷たいのを飲んでおられたから不思議だなと」
「アハハ、そうでしたか」
男は笑ってそう返事した。しかし、なんだってビールを供えているんだろう。
「失礼ですが、理由をお伺いしても?」
「昔、よく一緒に飲んだからですよ。彼、私に日本語を教えてくれました」
「ご学友……ですか?」
「ええ、そうです。彼は留学中に、私の国で死にました」
わざわざ外国から墓参りにやってきたのだろうか。よほど仲が良かったんだな。
「あの日も、こうやってビールを二人で飲みました。彼は帰り道で車に轢かれて、亡くなってしまったのです」
「それでわざわざ冷えたビールを?」
「ええ、その通りです。本当は寒いんですけど、一緒に飲めるなら気になりませんよ」
寒い思いをしてまで、友のために頑張っていたのか。今どき、死んだ人間のためにここまでするのも珍しいな。そんなことを思っていると、男が口を開いた。
「あなたも飲みませんか?」
「良いのですか? 水入らずのところに」
「人が多い方が、彼も喜びますから」
こんな寒い日にビールっていうのも、また一興か。
「では、ぜひ」
俺がそう言うと、男はクーラーボックスから缶ビールを取り出して俺に手渡した。受け取った缶をよく見ると、あまり見慣れぬ銘柄だ。日本のでもないし、欧州のでもない。どこのだろう。そんなことを考えながら、缶の蓋を開けた。
「あなたがたの友情に、乾杯」
そう言うと、男がしたのと同じように一気にビールを飲み干した。男はそれを見て、感謝するように微笑んだ。
「ありがとうございます。あなたのおかげで、素晴らしい命日になりました」
「それは何よりです」
俺はそう返事したが、少し違和感を覚えた。今日が命日ってことは、亡くなった日も冬じゃないか。それなのに冷たいビールを一緒に飲んでいた――なんて、外国の文化は分からんなあ。
「では、さようなら」
「ええ、気をつけて」
そして男は去っていった。俺は家に帰ったあと、あのビールがどこの国のものか調べることにした。銘柄の名前を、検索欄に打ち込む。表示された国名を見て、俺は得心した。
その国は、赤道の向こう側に存在していた。亡くなった「彼」にとって、今日は夏の日差しが照り付けるビール日和だったのだ―― 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、七作品!(`・ω・´) >>51
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文字数(全ての空白なし)1932
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行数 43
1レスで書き込めなくて分割したんだけど
そもそものレギュレーションがおかしくね?
1800文字は行けるようだけどさ
レギュレーションを制定するならちゃんと確認をしてください 夜の街中に煌めくイルミネーションのネオン。暖かみのあるオレンジ一色の明かりが街中を照らし、まるでお伽噺の世界にでも迷い混んだかのようだ。歩く人々の表情にも笑顔が見られ、幸せを物語っているようにも思う。
今日のために早い段階で準備したプレゼントを手に持ち、待ち合わせ場所へ向かう足取りは心なしか軽かった。待ち合わせ時間よりも早くに到着している時点で、自分自身の気持ちが昂っているのだとわかり、恥ずかしくもあり、可笑しくなった。
これまで恋愛に奥手だったこともあり、この歳になるまで恋人がいたことはない。
友人のほとんどは早くに結婚し、働きながら子育てまでしている。そんな情報をSNSで知らされると、自分自身が無様に思えて仕方がなかった。両親からもまだかまだかと急かされ、職場でも後輩たちが先に結婚する事が多く、新手のハラスメントではないかと思うくらい悩まされていた。そんな時に、ある人との運命的な出会いがあった。
行きつけの立呑屋でのこと。いつものように仕事を終え、自宅まで徒歩数分で帰れる好立地な場所にある立呑屋へと足を運んでいた。店主は私の姿を見るなり、声をかけてきた。
「いつものかい」
出入口近くのカウンターへと熱燗を出してくれた。
ここの店主の口数は少ない方だが、客の事をよく観察している。そうして1人で酔いしれていると、隣に普段は見かけない人が来た。立呑屋が初めてのようであり、見るからに戸惑っている様子だったため声を掛けた。その後の記憶は定かではないが、お互いに意気投合したことだけは覚えている。立呑屋での時間がこんなにも充実していただなんて、昔の自分自身からは想像できなかっただろう。
こうしてしばらく立呑屋での逢瀬を繰り返していたある日、目の前に熱燗を出されたのには手を出さず、素面状態を維持したままその人の訪れを待っていた。いつものように訪れた姿を確認し、私は勇気を振り絞り想いを告げた。
「ここ以外でもお会いしたいです」
「それは……友人として?」
「可能であれば恋人……としてお願いします!」
「喜んで」
立呑屋では祝福の歓声が上がった。祝酒をあちこちから注いでもらい、口数の少ない店主も、この時だけは饒舌だったのを今でも覚えている。
この歳になって初めてできた恋人という存在。恋をすれば人は変わる、と言われていた事の意味がようやく実感できた気がした。
待ち合わせ場所として指定したのはいつもの立呑屋。一番わかりやすい場所であり、2人の思い出の場所でもある。店の中ではいつものような賑やかな時間が流れ、厨房には口数の少ない店主の姿があった。それを外から眺めていると、待ち人が手を降りながら駆けてきた。
「待った?」
「今着いたとこ」
「そっか」
「うん」
「じゃぁ行こっか」
「うん」
差し出された左手に触れようとしたものの、躊躇ってしまった。
「手、繋ぎたくなかった?」
「え、そんなことはない……」
「ほぉら」
「けど、……手、冷たいよ」
「大丈夫。温めてあげるから」
そう言うと、彼の左手が私の右手を捕らえた。今まで寒かったはずなのに、急に身体の奥から熱を帯びてくるのを感じたのだった。
今宵は恋人と初めて過ごすクリスマスイヴ。夜はまだ始まったばかり……。 >>55
レギュレーションは1レスで、2千字程度はただの目安だから仕方ないよ。みんなそれで苦労している。
感覚的には1850字前後って感じだけど、改行によっても変わるから正確なところはわからない。
アウトかセーフかを決めるのは5ちゃんの仕様なので。
でも条件は皆一緒だからね。 >>55
>>33
>設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は二千文字程度、六十行以内!) 一人による複数投稿も可!
厳然たるルールとして明記されている!(`・ω・´)読み落としたのであれば仕方ない! 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、八作品!(`・ω・´) 昔の俺は、三十路を迎えた頃に人生がおかしくなってしまっただなんて想像もしないだろう。何もかも順調だった人生の歯車が、こんなにも狂うだなんて、誰にも想像なんてできやしないさ。
大学卒業後、大手企業に就職した俺。入社してすぐに辞めたい思った。だが、大学の恩師に言われた『石ノ上にも三年、すぐに辞めてはならぬ』という言葉を思い出し、せめて3年は辞めず勤めようと誓った。
同じ部署の先輩は厳しかったものの、指導者としては尊敬していた。的確なアドバイスや、悩んでいることにも親身なってくれていた。そんな先輩が転勤のために海外へ派遣されて以降、この会社はブラック企業へと変貌したのだ。相次ぐ商談の失敗、積み重なる書類整理、会社自体の信頼が離れないよう、子会社への挨拶周り等……日を追うごとに普段の仕事以上にこなす事が多くなり、残業に次ぐ残業で心身共に疲弊していた。
そんな俺の支えとなっていたのは、会社務めで知り合い、2年の交際を経て結婚した妻の存在だった。毎朝俺のために健康を気遣った朝食を作り、夜遅くの帰宅になる時でも寝ずに待っていてくれていた。
いつものように、残業せざるを得なくなり、妻に一言、『遅くなる』とだけメッセージを送り、『わかりました』と返事が来た。これが、最後のメッセージとなるとは思いもせず、俺の時間外労働が始まった。
仕事を終え帰宅している最中、何かが違うこと気づいた。普段なら、玄関やリビングの灯りが自宅から漏れているはずなのだが、全ての灯りが消えていた。不安な面持ちで玄関の鍵を開け自宅へ入ると、生活音すらしない静けさが俺を迎えた。リビングの扉を開け、照明の電源を入れた俺の目に入ってきたのは、テーブルに置かれた一枚の紙切れだった。遠目では見えなかったため、近づいていくとだんだんはっきりと見えるようになった。それは間違いなく『離婚届』だった。
思い返せば、5年の結婚生活において、俺が彼女の笑顔を最後に見たのはいつの頃だっただろうか……夫婦仲がおかしくなったのはいつだ……思い出せない。それだけ彼女に対して冷たく接してしまっていたのだ。
子どもが欲しいと言っていた彼女に対し、疲れているから、と適当にあしらっていたこともあった。
終止符が打たれるのは時間の問題だったか……。
家の中を改めて見て回ると、彼女の荷物は綺麗さっぱりなくなっていた。気づかない俺は大馬鹿者だな、その場に座り込み、両目から流れ落ちる涙を拭う気力もなく動けずにいた。
どのくらい時間が経ったのかわからないが、落ち着きを取り戻した俺は財布とスマホだけ持ち家を出た。目的もなく歩いていると、出汁の良い薫りが俺の腹の虫を呼び起こした。匂いに吊られて歩いていくと、目の前には、『おでん』と書かれた暖簾が掲げられた屋台があった。客足はないが、俺は躊躇わず暖簾を潜った。
「らっしゃい」
「まだいけますか」
「おぅ、座んな」
店主に促され席に着くと、見るからに美味しそうなおでんが並んでいた。
「儂の自慢はな、でーこんじゃ」
「ん?」
ふと聞き覚えのある声に顔を上げると、屋台の店主は大学時代の恩師だった。
「よぅ、久しいな」
「ご、ご無沙汰しております」
「そんな堅苦しいのはええわい。ほれ、でーこん食え」
「……ありがとうございます」
恩師の厚意に甘え、俺はほろほろの大根を口に含んだ。出汁がしみ込んでおり、どこか懐かしさを思い出すような味に、思わず涙が出そうになった。
「お前ぇさん、えらくシケタ面してんな」
「色々ありまして……」
「人生色々あるから楽しいんじゃろ」
「……先生はどうしてまたおでん屋を?」
「話せば長くなる。儂も色々あってな、ひゃっひゃっひゃっ」
「人生……色々か」
「お前ぇさんの人生じゃろ。お前ぇさんはどうしたいんじゃ?」
「俺は……」
恩師の言葉に、俺の中で何かが吹っ切れた気がした。
数年後、俺は田舎で地元の農作物をふんだんに使った店を開店させた。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「見たらわかるじゃろ、1人じゃ」
「こちらのカウンターへどうぞ」
「今日はもういいよ、家で休んでなって」
「あら、どうして?」
「その……今は大事な時期だろ」
そう言い、俺は妻を労うように厨房から声をかけた。
「幸せそうでなによりじゃ」
おでんの屋台で恩師に再会できて、俺の人生は変わることができたのだった。 >>58
5ちゃんのルール
スレッド
固定ハンドルが題名に入っている・固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている・等は、自己紹介板・最悪板・夢・独り言板・おいらロビー・なんでもあり板以外では、原則として全て削除または移動対象にします。
ただし、固定ハンドル個人が一群または二類に属する時は、他の削除規定に触れない限り様子見となります。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、九作品?(`・ω・´)おでん屋は年中あるので季節がわからないが、よしとしよう! 設定の加点は少なくなるが! 5ちゃんのルール
スレッド
固定ハンドルが題名に入っている・固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている・等は、自己紹介板・最悪板・夢・独り言板・おいらロビー・なんでもあり板以外では、原則として全て削除または移動対象にします。
ただし、固定ハンドル個人が一群または二類に属する時は、他の削除規定に触れない限り様子見となります。
厳然たるルールとして明記されている! ナショナルルールは常にローカルルールを優先させる。
つまり、そのスレッドのルールは
板のルールより優先されるので
5ちゃんねるのルールはスレのルールには勝てません。
残念でしたね。 ルールを守れない者が、ルールを語るほど滑稽なことはない >>63
一度だけ答えておく!
>固定ハンドルが題名に入っている
スレタイにあるワイは単なる一人称!
ワイの名前はぷぅぎゃああああああである!
>固定ハンドルが占用している
ワイの書き込みが多いだけで占用してはいない!
固定ハンドルにしてもワイだけではない! 猫君やリーマン君もトリップを使っている!
>閉鎖的な使用法を目的としている
文章評価スレは評価者だけでは成立しない!
作者がいて初めて成り立つ!
ワイ以外に評価する名無しがいて、それをワイも認めている!
以上のことからワイが運営のルールを破っていると云う自覚はない!
あとは運営が判断することなので黙って静観していればよい!(`・ω・´)ワイの考え! 第六十三回ワイスレ杯のルール!
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は二千文字程度、六十行以内!) 一人による複数投稿も可!
「記名投稿、無記名投稿」は任意で選べるものとする!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第六十三回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と認める前の修正は可とする!
今回の設定!
寒い冬の一日に心温まるストーリーを募集する!
話の切り口は自由! 過酷な内容であっても小さな幸せを書くことはできる!
書き易いテーマなので奮って参加して貰いたい!
応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える! 通常は全体の三割前後!
締め切った当日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
最後の告知!(`・ω・´) ワイスレ杯は今日を入れて残り二日! 今日は西暦二〇四〇年一月二十日。俺はとある解体工事を指揮するため、冬の山に来ていた。といっても雪はあまり積もっておらず、作業はやりやすい。
一定の間隔で山に突き刺さっていた塔を、次々に撤去していく。塔のくたびれ具合から、かつての栄華が偲ばれるというものだ。
午前中の作業が終わり、昼休みになった。俺はふもとの事務所で弁当を食べることにした。飯をかき込みながらぼんやりと外を見ていると、一人の少女がいた。何をしているのかと思えば、スコップで懸命に雪を集めている。
工事現場に入って来られたら危ないな。そう思った俺は弁当の蓋を閉じ、事務所から出た。少女のところに向かい、声をかけた。
「君、何してるの?」
「雪集め!!」
「それは分かるけど、何のために?」
「そり遊びしたいの!!」
そう言って、少女は近くに置いてあったそりを指さした。なるほど、少しずつ積もっている雪を斜面に寄せ集めたいというわけだな。
「悪いけど、ここらへんで工事してるんだ。危ないから、よそでやってくれないかな?」
「やだ!!」
少女は首を横に振った。何もここでしなくても良いと思うんだけどなあ。
「どうして嫌なの?」
「昔、おとーさんとおかーさんがここに来たんだもん!」
「え?」
「ここで雪遊びしたんだって言ってたの!!」
少女は大声でそう言った。俺は彼女が何を意味しているのか理解した。恐らく雪遊びというのは、かまくら作りや雪合戦といった類のものではないだろう。
「それで、一人でここまで登ってきたのかい?」
「うん! 私、近くに住んでるから!!」
近いからって、こんな歳の子が冬山を登るのは大変だろう。そこまでしたのに、工事してるから帰れというのも可哀想だな。
「……分かった。じゃあ、僕たちが手伝ってあげるよ」
「え?」
「僕らが代わりに雪集めしてあげるよ。その代わり、遊んだらお家に帰ってくれないかな?」
「うん! いいよ!」
俺は昼休憩中の作業員たちのところに向かい、頭を下げて協力してくれるよう頼んだ。すると、子どものためならと快諾してくれた。
皆でスコップを持って、次々に雪を積み上げていく。少女は脇の方でわくわくとした表情をしながらその様子を眺めていた。やがて雪が集まり、立派な雪の斜面が出来上がった。
「ほら、そりを持って来てごらん」
「すごーい!! おじさんたち、ありがとう!!」
俺が促すと、少女はそりを持って斜面を登っていった。滑り降りては歓声をあげ、また登っていく。その牧歌的な光景に、こちらの心まで癒されていった。
間もなく、午後の作業時間となった。流石に少女一人で帰らせるのは危ないので、俺が車で家に送っていくことになった。
家に着くと、少女の母親が出迎えてくれた。危ない真似をした少女を叱ったあと、俺に話しかけてきた。
「すいません、うちの子がご迷惑おかけしました」
「いえいえ、とんでもない」
「……ところで、皆さんは何の工事を?」
俺は山の方を見て、母親に答えた。
「ご覧の通り、リフトの解体工事ですよ。温暖化で、ここらのスキー場は潰れてしまいましたから」
「……そうですか」
母親も、寂しげな表情でじっと山の方を見ていた。俺はさっきの少女との会話を思い出し、母親に問うた。
「もしかして、よく行かれてたんですか?」
「ええ、若い頃は主人とよく滑ってました。そんな昔話をしたもんだから、この子も行きたくなってしまったんでしょうねえ」
母親はしみじみと答えた。この人にとって、青春の思い出が消えていくような気分なんだろう。そう思うと、なんだかいたたまれないな。
「……お母さん、あの子のことはあまり叱らないであげてくださいね」
「え? どうしてです?」
俺は山を見つめたまま、静かに答えた。
「あのスキー場にとって、あの子は『最後の客』なんですから」 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、十作品!(`・ω・´) >>66
ワイ=ぷぅぎゃあああなのは皆が知っているし、君自身が最も自覚していることなので、そんな言い訳は通用しないだろう
そんな苦しい言い訳をしている時点で、明らかなルール違反なのも自覚しているわけなので、君はどうしようもないクソ人間だということだ いや、別にルール違反じゃないでしょ。見比べては見たがスレ主の言う通り規約違反は無い。イチャモンの付け方が雑過ぎて笑った 1 ぷぅぎゃああああああ ◆Puuoono255oE 2023/06/29(木) 05:06:41.40 ID:Zru/oHcV
オリジナルの文章を随時募集中!
点数の意味
10点~39点 日本語に難がある!
40点~59点 物語性のある読み物!
60点~69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点~79点 小説として読める!
80点~89点 高い完成度を誇る!
90点~99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!
評価依頼の文章はスレッドに直接、書き込んでもよい!
抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする(例外あり)!
それ以上の長文は別サイトのURLで受け付けている!
ここまでの最高得点79点!(`・ω・´)
ワイ=ぷぅぎゃあああがコテハンとしてスレタイや自己占用ルールを作ってこのスレを私物化しているのは、この1を見れば明らかなので、いくら言い訳をしたところで、無理だな このスレは、ワイことぷぅぎゃあああが自分自身が文章の評価をするために、他者が書いた文章を募集している
つまりは、ぷぅぎゃあああの私物化自己満足暇潰しスレである。ということなので >>73
ただのイチャモンだなぁ。お前の理屈は殆どのスレで当てはまるから。スレ主が題材を提示して、ユーザーはそれに当てはまる書き込みをする。スレ主はそれに対してリアクションを返す。多くのスレと同じだよ。頭悪いやつがイチャモンつけても頭悪いイチャモンになるだけだな。 >>74
違うな
5ちゃんのスレはそもそも「スレ主」という固有の権利は無いので、コテハンなどによるスレの私物化を禁止しているわけなのだな
5ちゃんでのスレ建てというのは、単に何かの題材を名無しの誰かが提案して、それに対してみんなで自由に語る。というものなので
そんなことすらわかっていない君らがバカなだけだな 特定のコテハンのスレ主=ワイことぷぅぎゃあああが、個人的に他人の文章を評価したいので、自分占用の評価スレを作ってやっている
これは、明らかな5ちゃんのルール違反なので >>75
63回までスレが継続しているのが全ての答えだよ間抜け。正しさを主張するなら結果を出しなさい。こうしてスレが残っている以上、運営の判断としてスレ主の解釈が間違ってないということだよ。もしかしてお前って、主観を客観だと勘違いしてしまう精神の病気かな? ここのバカにもわかりやすく説明すると、例えば「みんなで日本の政治について語る」というスレなら普通にみんなの為のスレなのでokであるが、「ワイ=ぷぅぎゃあが日本の政治について語る」というスレでは、ぷぅぎゃあ個人の為のスレになるので、ルール違反でダメである。ということだな >>77
こないだスレが消されただろう
それが、答えだろ
で、ここはまた誰かが勝手に建てたわけだから、まだ運営に気付かれてないというだけのことだな やはり、バカというのは死ななきゃ治らないみたいだな
こんなにわかりやすく説明してやっても、理解が出来ないわけだから >>79
おまえは馬鹿だから例え話の程度が低いね。お前の主観より運営の判断だ。ただそれだけ。お前は自分が正しいと信じて疑わない、まるで青葉みたいな奴だな >>81
ほら、すぐ死ぬとか言い出す。青葉、ちゃんと裁判を受けろよ?反省しなさい >>82
公衆便所に必死で無理矢理住んでいるようなバカが君らなんだと、早く理解しろよ 自分専用でやりたいのなら、ちゃんと部屋を借りるなりなんなりするのが、当たり前の世の中のルールだぞ 只今、帰宅!
ふむ、カメムシは優しく扱うと臭気を出さない!
部屋に紛れ込んだ時はティッシュに誘導してそっと外に放てばよい!
引き続き、ワイスレ杯の作品を待つとしよう!(`・ω・´) なーんか、政策活動費であって裏金ではないみたいな論理展開
パーティ自体は記載すれば合法と同じこと 古びた酒蔵の中で一人、老人が椅子に腰かけていた。毛布を肩まで覆い、冷えた空気に耐えるようにして時おり身体を震わせている。
「うむ……お迎えが近い、か」
老人は入り口に背を向けたまま、何かを悟ったように呟き始めた。
「少しばかり、昔話をさせてもらおうかの」
階段の先、地上へと繋がる入り口から、明かりが差し込む。老人を包む毛布が照らされて、その周囲に浮かび上がる埃が金色に輝いている。
「わしが何故、たった独りでここにいるのか。気になるじゃろう。あれは昔、ちょうど今くらいの寒い日じゃった──」
老人がまだ若かった頃。この地域は小さな村だった。
彼は働き者で、村一番の農地を任されていた。他に若者はおらず、農業とは無関係の力仕事もよく頼られた。気の良い彼もそれを快諾し、おかげで住民からの信頼は厚かった。
戦争が起きた時も村を守るために農具で武装し、彼は先陣を切って戦った。だが、多勢に無勢。相手は軍勢。真冬の白い村は、一晩にして赤く染め上げられた。
立ち上る火炎は敵の手で、飛び散る血潮は彼の手で。迫る戦斧の一撃をヨプチャギで。怯む相手にネリャチャギで。囲まれたならヨンソクトラチャギ。右へフリョチャギ左へティッチャギ。もはや彼自身も赤く燃え広がる炎そのものである。
戦場は混沌を極めた。彼がどんなに強く、上手く立ち回ったところで村が略奪から逃れる術はなかった。
火の気が無くなった頃、傷だらけの身体を引きずるようにして彼は生存者を探した。遮蔽物の少なくなった村の巡回はすぐに終わった。自分以外、誰も、何も残っていなかった。
もはや、たった一人で生きる気力など残っていない。
彼は絶望に打ちひしがれながら、死に場所を探した。木々はどれも灰を吸って弱り、彼の体重を受け止めきれずに、首が絞まるより早く枝が折れた。
何本もの枝を折りながら森側を行くと、見覚えのある小屋を見つけた。
今まで常に施錠されていて、人のいた試しのなかった小屋だ。森側にあったおかげか、小屋は襲撃を受けた様子もなく静かに佇んでいた。
彼が戸に手をかけると、鍵はかかっておらず、すんなりと開いた。
そこには一匹の黒猫が居た。まるで彼を待っていたかのように正対していて、じっと彼の顔を見たあとで、ぐるりと向きを変えて階段を降りていく。
階段の先は、いくつもの酒樽が安置してある酒蔵になっていた。中央に椅子とテーブルが置いてあり、どういうわけか盃一杯の酒がそこに用意されていた。
「──その酒を飲んでみたら美味いの何のって! それに身体の傷が癒えていくではないか! あまりの味に死のうとしていたことも忘れてな。こう、乾いた土地に降る希望の雨みたいに、わしの心をな、こう、ふうふう……はぁ〜〜おいちい。ちょいと暑くなってきたかな? 燃える炎ォ〜〜なんちて」
「あーはいはい。ここがその蔵だって言うんでしょ? 百万回聞いた。 もう帰るよ」
いつの間にか蔵に入ってきていた娘が、老人を引っ張っていく。話しながら飲んでいた老人はすでに酒が回っており、足元がおぼつかない。
「家で飲めばいいのに。風邪ひくんだから」
「蔵の神さまとな、ゆっくり飲みたかったんじゃ。マッコリをな? はあ、お迎えが早くてがっくりじゃ」
しゃっくりを繰り返しながら、しっくりとこない足取りを娘が支えつつ、二人は地下室を後にした。
老人が残していった盃を、ひと舐め。ふた舐め。あの時代のものではないが、これも中々。
私はそれをたくさん飲むためにヒトの姿に変わる。
とっくりからマッコリをたっぷりと注ぎ、盃に映るうっとりとした表情を見て更ににっこりと笑みが溢れる。彼の毛布は、ほっこりと温かい。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、十一作品!(`・ω・´) かつて、金がでるという噂に荒くれものたちが大挙して新大陸の荒野に押し寄せた。彼らは荒野に点在するオアシスを根城とし、金鉱を血眼になって探し回った。人口二百人足らずのこの小さな街は、そうした荒くれものの一派の採掘拠点の一つだった。
昔はたいそう栄えた街だった。だが金が枯渇してゴールドラッシュの熱が冷めると街は一気に衰退した。それでもオアシスがあったから街が完全に消えることはなかった。荒くれもの達の子孫の一部はオアシスの周りに貼りつくようにして今もこの街に暮している。この物語の主人公もその一人だ。
彼は浮浪者である。錆びたトタン屋根の家々が立ち並ぶ路上が彼の家だ。雪の舞う季節になってもその生活は変わらない。どんな暑さ寒さにも彼は馴れていた。
彼は人の役に立ちたいと願っていた。だが彼にその才能は乏しかった。愚鈍すぎて客商売は無理だし、不器量なのでマネキンにはなれず、高齢で体付きは骨と皮ばかりなので肉体労働も不向き。自力で生活することもままならない。
ただ一点、悪事は一度も働いた事がなかった。道端に落ちている小銭に手を伸ばす事すらしない。そんな彼に近隣の住人は同情してパンや小銭を恵んだり、ガラの悪い連中に絡まれていれば助けていた。おかげで彼は(正確な年は彼にも分からないが)五六十代になるまで生き永らえている。
雪の降る夜、彼はいつものように一人地面に座り、親切な老婆のくれたパンを頬張る。焼きたてのパンは温かく、冷え切った体に染みた。有り難い事だなあ。彼は飯をくれた老婆に心の中で感謝する。それでも心の髄は冷えたままだった。
「俺は同情されたい訳じゃない」ぽつりと呟いた言葉は誰にも届かないまま、虚空に消えていった。
翌朝から浮浪者の奇行が始まった。人の畑を踏み荒らしながらわあわあ叫ぶ、小さい女の子を追い回すなど。住人の間に噂はすぐに広まった。
――あいつは悪い事はしなかったのに、とうとう完全におかしくなっちまった。みんなそう言って残念そうに頭を振り、ため息をついた。
街の人たちに冷たくされるようになった浮浪者は、根城にしていた街を旅立つ事にした。
行く宛はない。路銀も糧食もない。でも世話になった街にこれ以上迷惑を掛ける訳にはいかなかった。
「きれいな街を、俺の死体で汚したくはねえからな」
街を背に浮浪者は、分厚い雪の積もった荒野をひたすらに進む。二十分も歩けば街の喧騒は去り、聞こえるのは浮浪者自身のざくざくと雪を踏む音だけになった。雪原に一人きり。獣や鳥は一匹もいない。彼らにも帰る家があって、今はみんな家で冬籠りしている最中なのだ。
――いいさ。誰だって死んだら土の中で一人ぼっちなんだ。
彼は考える。ここでなら、もう誰にも迷惑も心配も掛けずに死ねるぞ。
突如ごうと突風が吹き、あまりの勢いに浮浪者はその場で仰向けにひっくり返った。
「……なんだあ!?」
起き上がった浮浪者は驚いた。何もなかった雪原の、ほんの数メートル先に人の腕が覗いている。先ほどまで雪で隠れていたのだろう。
浮浪者はその場へ走り、周辺の雪をかき分ける。掘り進めて行くと雪の中から、見知った少年の顔が現れた。猟師の息子だ。たまにパンを差し入れてくれていたから浮浪者は彼を覚えていた。
「おい、大丈夫か!」声を掛けながら少年の顔をばちばち叩くと、少年はうっすら目を開けた。
「……おっちゃん?」
それから浮浪者に手伝われながら、目を覚ました少年は何とか雪から這い出した。彼は猟の時に兎穴を踏み抜き、そこで足を挫いて出られなくなったのだと話した。
「おっちゃんがいなかったらオレ、兎穴の中で凍え死んでたよ。ありがとう」
照れくさそうにそう言われて、浮浪者の目から熱い涙が溢れた。
「おっちゃん?!」「ごめんなあ……でも俺は嬉しくて」
慌てる少年に浮浪者は泣き笑いしながら言った。 ――お礼を言った事はあるけど、言われた事なんて初めてだあ。
「そんな……おっちゃんは最近頑張って人助けしてたのに」少年は悲しげに呟いた。
「オレはおっちゃんの事見てたよ。街のみんなは誤解してる。おっちゃんは畑の虫を追い払ってくれてたのに畑を荒らしたって言うし、おっちゃんが変な奴から女の子を庇おうとしてたのに、逆に女の子に付き纏ったなんて言うし」
浮浪者はびっくりして少年を見た。
「だから、これからオレがおっちゃんの誤解を解いてやる。助けてもらったお礼」
びっこをひいた少年は浮浪者に支えられながら街に帰り着くと、両親、続いて街の人に浮浪者に助けられた事を話し聞かせた。
浮浪者の誤解は解け、狩人である少年の両親は浮浪者に非常に感謝して、宿無しの彼に街はずれの狩り小屋を提供した。だから彼はもう浮浪者ではない。今では住処と食事をもらう代わりに狩小屋をきれいに掃除するという仕事を立派に果たしている。 ――焦がるるほどに恋しき人ありき。
「千代ねぇ様。何してはるん?」
買い与えたばかりの着物を着た禿が、襖越しに心配そうな顔を覗かせた。
千代は筆を止め、文机から体を離す。
「はて、なんやろなぁ。慣れへんことをしようとすると、上手いこと説明できひんなぁ」
高く結い上げた髪に、濃淡の違ういくつかの桃色の簪。白い肌にぽつんと浮かぶ小さい唇。塗られた一筋の紅は、遊郭に出回るものの中でひと際高価である。
困り顔で笑いかけた千代であったが、すぐに表情は崩れ、こほんこほんと咳を吐く。
「千代ねぇ様、わっちの半纏も着てくんなまし!」
禿は慌てて、自らの上着を千代の肩に乗せる。しかし、絞り染めの見事な千代の着物とは品も価値も合わないと気づき、すぐに恥ずかしそうに顔を俯かせた。
「夕霧は優しい子やねぇ。うちは嬉しくて仕方ないわ」
「……今日はお医者様は来てくれへんの?」
「どうやろか。雪が降ったら、あかんかもしれへんなぁ」
千代は禿の上着を大切そうに撫で、窓際へと視線を遣った。
ここは島原遊郭、西新屋敷。女の鳥籠、男の楽園。
秋が逝って冬の匂いがし始めた今日この頃、千代もまた己の生の終わりと向き合う時期であった。
千代は悲し気に眉尻を下げる禿を手で呼び、自分の膝の上に座るよう促す。頭を撫でてやれば、すぐに禿の目から大粒の涙が零れた。
「みんな、千代ねぇ様がもうすぐ死ぬ言うてはる! わっちは信じとうあらへん!」
「死なへんよ。おやっさんがうちに出ていけ言わへんのが、その証拠や」
嘘である。島原の歴史に名を残すと言われたほどに売り上げた花魁を、最期は好きに死なせてやろうという楼主の情けであった。
「みんな薄情や! 誰も千代ねぇ様の身請けにこうへん!」
「うちが断ったんや」
千代の言葉を受け、禿はすぐに顔を上げる。疑問とも動揺とも取れる表情に、千代は柔らかく微笑んだ。
「恥ずかしい話やわ……迎えに来て欲しかった人がおったんよ」
千代はまた、曇り空を見上げる。
二人目の客であった。武士にしては背が高く、商人にしては体格の良い男だった。
水揚げが上手くいかず、男が恐ろしいと泣く千代を、一晩中抱きしめてくれた男だった。
『ほれ、笑え。お前さんには、桜の花のような笑顔がよう似おうとる』
お世辞にも高価とは言えない簪を差し出す男の優しさに、涙が止まった。
『べっぴんさんやなぁ。すぐに花魁になる女や。きっとええところに身請けしてもらえるさかい、辛抱せぇ』
『うち、あんたがええ』
千代の突飛でもない言葉に、男は大きな目をさらに大きく開けた。そして次には、腹を抱えて笑い出す。
『あかんあかん。遊女を身請ける金なんか、俺が出せるわけあらへんやろ』
『どうしてもあきまへんの?』
千代の無茶な願いに、男はうんうんとしばらく考える。そして、「せや」と手を叩いた。
『俺の商売が繁盛すると、片時も忘れず祈ってくれたらええわ』
『うちが祈り続けてると、どうやったらあんたに伝わるえ?』
『お前さんがようけ笑い続けてくれたら、すぐに信じたろ』
思い返せば、幼さと弱さが結んだ儚い約束である。事実、千代は男に心を渡した恥ずかしさから、今日まで一度も語ることはなかった。
男は、それっきり会いに来なかった。一夜限りの戯れ。夜の帳があがる頃には、夢もまた泡となって消える。
分かっていたはずのことでありながら、その夢に縋って死ねるのであれば幸であるとさえ思えた。
「話は終わりや、夕霧」
千代は自らの簪を一つ手に取り、禿の手に握らせる。
「あんたにこれをやろ。せやから、もう泣いたらあかんで。べっぴんさんやねんから、笑ろうとるほうがずっとええわ」
禿は両手で頬を拭い、精一杯の笑みを作った。
「わっち、千代ねぇ様みたいな花魁になりたいんや! 千代ねぇ様みたいな……」
――微笑の
禿が言葉を続けかけた時、コンコンと襖が叩かれた。空いた隙間から、聞きなれた楼主の声がする。
「千代。客や」
もう客は取ってないはずなのに、と千代は口を開きかけたが、途端に大きく目を見開いた。
禿が滑り落ちるのも気にせず、立ち上がる。やせ細った足で三歩踏み出す頃には、視界は滲んで仕方がなかった。
「なんや。笑え言うたはずやで」
片時も忘れなかった誓いの言葉が、千代の耳に響く。どれだけ笑みを作ろうとしても、震える唇が邪魔をした。
「堪忍……堪忍してくんなまし……」
「支度せぇ、千代。大阪の桜を見せにいったろ。春まで長いさかい、しっかり食わせたるからな」
千代の全身を抱きしめる熱は、あの日帳が降りた頃のままであった。
――焦がるるほどに恋しき人ありき。
――桜は見られずとも、君のぬくもりだけもがな。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、十三作品!(`・ω・´) 椅子に腰かける女の子。神妙な面持ちは、コレから切り出される話の切迫さを物語る。
『この映像を見ていると言う事は、私はもうこの世に存在していないのでしょう』
紡ぐ言葉は淡々としている。
それは、コレから死にゆく運命に対する悲観なのか。はたまた、自分が先に去ってしまい悲しむ『誰か』を思っているのか。
『なんちゃって! 実は前々から、こう言うセリフを言って見たかったんだよね! どう? どう? どうかな? 中々ビックリしたんじゃない? ビックリしたよね?』
真剣な表情から一転。ニカッ! と笑顔を浮かべる女の子。
『こんな事をした理由? 最近ドラマで見かけたから、私もやってみたいって思ったんだ』
『初めて出会った時の事を覚えてる? 第一印章最悪で、取っ組み合いの喧嘩に発展しちゃったっけ? と言うか、どうして君の方が強いのに私に負ける訳?』
『謎の組織に追われた時とかは本当に大変だった! まさか君があんなえげつない手を使うなんて、正直予想出来なかったよ。……いや、本当にエグかったよ』
『トイレが詰まった時があったけどアレって一体何が起こったの? 私が見た時は、便器に頭から突っ込んでたけど。普通はあんな風にならないよ。うん』
『最近、可愛い猫ちゃんと出会うんだ! 私が近付くと、フシャー! って懐いてくれるの。たまに引っ掻かれたりするけど、甘噛みみたいなもんだよね! ニハハハハハ』
『組織から古代兵器を奪った時は驚いた! アレ1つで世界を支配できる代物――らしいけど、間違って自爆ボタンを押しちゃった件は今もまだ許してないからね!』
『最近、新しいドーナツが発売されるんだよ! なんと、蜂蜜シナモンホイップクリームキャラメルカスタードハバネロブート・ジョロキア味! 絶対にヤバいよね!』
『実は最近、1日1食生活を始めてるんだ。困っちゃうよね、これ以上ナイスバディになったら世の男性が私に注目しまくりだよね! ニハハハハハ!』
『古代遺跡の探索に行った時は大変だったなぁ。罠多かったし、幽霊怖かったし、追っ手はしつこかったし。挙句、折角手に入れたお宝は全部食べられちゃうし! 辛かった』
『実は隠してたんだけど、隠し芸があるんだよね。それはズバリ! ブリッジしたまま歩く事が出来る! その上、ホラーボイスも完全再現! ……怒られました』
『改めてこんな事を言うと照れくさいけど……でも、うん。大好きだよ。……あー、やっぱり少し……いや、かなり恥ずかしいね。ニハハハハ』
『そろそろビデオカメラのバッテリーも切れるからお終い! それじゃあね!』
笑顔を浮かべながら女の子はカメラに近付く。カメラの録画を切った――と本人は思っているのだろう。しかしカメラは録画を続ける。
終わった筈の、その先を。
『ああ、嫌だなぁ』
笑顔が消えた。女の子の表情はとても悲しそうだった。椅子から立ち上がり、後ろに置かれているベッドに寝転ぶ。ボフン! と空気の抜ける音が聞こえた。
『大丈夫。これさえあれば、もしも私が居なくなっても忘れる事は無い。だから、大丈夫。大丈夫。大丈夫』
必死に自分に言い聞かせる。無理矢理納得させる為に。
『……大丈夫な訳、無いじゃん!』
押し留めていた何かが決壊する。カメラが置かれている場所からは、女の子が今どんな表情なのか見る事は出来ない。それでも、彼女が泣いている事は容易に想像がついた。
『ああ、嫌だなぁ。病気を隠している事も。本当は長く無い癖に、果たせない約束を結んだ事も。もう、君と会えない事も』
腕で顔を覆う。
笑う事なんて出来ない。例え笑った所で、先程の様な作り笑いを浮かべる事は出来ない。だから女の子は自分の顔を隠す。
『嫌だなぁ。死にたく無いなぁ。まだ、私は……生きて居たいよ。まだ君と……「ちょっとちょっと! そう言うの、良くないと思うな!」
タブレットから流れる映像を遮るように、二本の腕がタブレットを隠す。
顔を上げれば、そこには女の子が――少し成長した女性が、自分は不満です! と主張するように頬を膨らませている。
「幾ら君が私の命の恩人とは言っても、やって良い事と悪い事があると思うの! そして、これは明らかにやってはいけない事! 悪趣味にも程があるよ! 嫌がらせだよね!?」
暫くの間ふくれっ面だったが、何度も謝った成果だろう。機嫌を直してくれた。
「でも、まぁ。今日は私のことを命一杯甘やかしてくれるんでしょ? 約束したからね。ちゃんとエスコートしてくれなきゃ!」
女性は手を差し出す。だから、その手を取る。
「それじゃあ行こっか!」
笑う。女の子は心の底から幸せそうに。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、十四作品?(`・ω・´)季節はわからないが、参加作品と認める! 設定の加点は低いが! クリスマスも近いというのに、先週彼女に振られてしまった。
『絶賛炎上中のユーチューバーが住む高層マンションに住んでるくせに、ケチ臭いのよ』
そう言って、彼女は去っていった。
独特な表現をする人で好きだったのだが、振られたものは仕方ない。未練がましいのはみじめなので、それ以来連絡はとっていない。
運よく社会的に成功して、周りの勧めで高層マンションに住んではいるが、生来の貧乏癖はなかなか抜けない。何より、その貧しさを俺自身が好んでいるのも問題なのだろう。彼女とは縁がなかったのだと、諦めることにした。
別に人恋しくなった訳じゃないが、例年より少し早く妹に電話する。
「今年も年末に鍋会だ」
「もうそんな時期なの? 早いなぁ」
「あっという間だな。あかり、鍋の具材の希望を一つだけ聞いてやる」
毎年同じやり取りをしているが、兄妹間のこのやり取りは鉄板ネタだ。電話越しに、あかりがくすりと笑ったのがわかった。
「牛肉がいいな。それも和牛が」
「うーん、却下だ。鶏むね肉にしなさい。筋トレする人も、あれを食べてるでしょ」
「はいはーい。じゃあ鶏むね肉で我慢しますよ」
このやり取りは亡くなった母との、生前のやり取りだ。早くに父を亡くして、女手一つで三人兄弟を育て上げた母は、節約上手だった。苦労の方が多かっただろうに、いつも明るく振舞い、俺たちを育て上げてくれた。謎の理論で俺たちの要求をかわすことも多く、年末の鍋会ではいつも妹の要求を払いのけていたのだ。彼女の明るい生きざまは、亡くなった後でさえ俺たちに勇気をくれる。申し訳なさよりも、感謝の気持ちで一杯なのは、その明るい記憶のおかげだろう。
外を散歩しながら、かじかんだ手で続けて弟に電話した。
久々に聞く弟の声に、気持ちが癒される。
「鍋会の時期だ。大地、希望のメニューを一つ聞いてやる」
「えーと、僕はいいよ。何もいらない」
これも昔と同じ。気遣い屋さんの弟は、いつだって母を気遣って『何もいらない』とばかり言って来た。母はそんな弟に向かってこういうのだ。
「年末くらい奮発してエビでも買っちゃおう。筋肉トレする人もあれ食べるから」
「ははっ。やった」
弟は、エビが好きなのだ。あかりは弟ばかりと怒るが、兄から見ると二人とも平等に愛されていた。
弟も忙しいので、あまり迷惑にならない程度に会話を楽しんで電話をきった。
寂しくはないと思っていたが、電話を切ると寒さをより一層感じられた。……一人か。
「……冷えるな」
どうやら、思った以上に彼女との破局は堪えたらしい。俺はあの人ことがどうやら、結構好きみたいだった。もう少しくらい、財布のひもを緩めて歩み寄ってあげても良かったかもしれない。
そんなことを考えながら雪道の上を歩く。ザクザクと小気味良い雪を踏みしめる音に合わせて、スマホの音がなった。
妹か弟かを期待して画面を見ると、そこには別れた彼女の名前が映し出されている。気軽に話せる関係だったのに、今はちょっぴり不安な気持ちを抱えて電話に出た。
「……一週間ぶり」
声が少し枯れていた。電話越しに、彼女は泣いているようだった。随分と長いこと泣いていたのかもしれない。
「ちょうど君のことを考えていた」
「私も。勝手だけど、やりなおしたいの。あなたのことが好きなの。忘れられないの」
どうやら向こうも同じ気持ちだったみたいだ。素直に嬉しく思う。
「年末に兄弟でやってる『クソ雑魚鍋会』。私もあれに参加したい」
クソ雑魚鍋会……不思議と俺はその表現が嫌いじゃない。ふんっと少し堪えた笑いをし、彼女にもあれを聞いてみる。
「じゃあ仲直りの印に、希望の具材を一つ聞いてやる」
「……松茸」
これには驚いた。思わず立ち止まる。
まさか、松茸の要望を聞けるとは。顔が綻ぶ。
松茸は父の好物だったのだ。子供の頃、鍋には松茸が入っていた。
「松茸か。年末だし、許そう」
昔母が言っていたことを、彼女にも伝えた。 第六十三回ワイスレ杯参加作品
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只今、十五作品!(`・ω・´) ぷぎゃああああああが間抜けなのは
「カラシニコフをググると、件数で
銃より人名のほうが多いから
人名だ!」と教養のない言い訳をし続けていること