主人公は何でも斜に構えていて世間の人を見下しきっている変な奴。でも作者は決して否定的には描かない。
むしろ作者がかっこいいと思っている文学作品や音楽のタイトルを並べて権威付けする。
その主人公には突然自殺した親友がいて、その彼女だった直子と再会する。
デートを重ねてセックスするが、突然いなくなる。精神科の療養所みたいな施設に入っていた。
会いに行ったがその後突然自殺する。話はそれで終わり。

登場人物の行動の理由をほのめかすエピソードも何も描かれていない。
何も描かれていないから何とでも想像できる。
でもそれは作者が描いた事から想像してるのではなく、描いてないからこっちが好きなように想像してる事。
それに共感できるのはこっち自身が想像したものだから。作者は何も描いてはいない。
こっちが架空の喪失をこの小説に重ねればセンチメンタルなおとぎ話に感じられるけど
実際の喪失を重ねてしまうとひたすら憂鬱な暗い気分になる。変な小説。人には勧めない。