以前は旺盛に書いて居たトンカツ氏が最近勢ひがないのは、
昭和天皇伝や乃木大将伝などを愛人がゴーストライターにな
つて書いたのが出版社に露見した為と聞く。代償は高くつい
たやうで、苦しんだ妻が真正保守の老評論家に相談した挙げ
句慶應大学の教室に乗り込んで講義中の夫にビンタを食らは
せたとも。

不倫や愛人による代作疑惑などで有名出版社から本が出せ
なくなつた文藝評論家。完結しなかつた連載がやうやく今にな
つて本になるやうだな。印税も入るしよかつたではないか。し
かし、どんなに売れつ子でも、女で身の破滅を招くのは自身の
愚かさによるものであるのは、洋の東西を問はないやうだ。

旺盛に書いて居ると思ひきや、愛人がゴーストライターを務め
て居たのが発覚し、妻や娘に去られただけでなく、出版社から
の信用も失墜したのは、おそらく御本人も予想しなかつた事態
ではなかつたか。苦しんだ妻は西部邁に相談したさうだが、西
部は内心、距離を置いて正解であつたと安堵して居たのでは。