「『変』は成功したクーデター」という説を支持する人は、おそらく「変」という字はこの事件で政権が変わったという意味だととらえているのではないか。
しかし実際には、この「変」は異変や変事の「変」である様だ。
つまりなんらかの緊急事態、異常事態が起きたという事件名であり、「〇〇の変」という事件名に「この事件で世の中が変わった」というニュアンスはない。

一方の「乱」は、場合によって「身分が下の者が上の者に反乱した」か、「非常に大きな事件で国全体が乱れた」という二つの意味合いがある様だ。
しかし、この言葉にどちらが勝ったとか負けたとか、反乱が成功したかどうかという情報が含まれている様には見えない。

確かに「〇〇の乱」と呼ばれている事件には、失敗した反乱が多数含まれている。しかし、その原因は基本的には反乱というものは権力者によって鎮圧されてしまう事が多く、成功する反乱が少ないからではないだろうか。
つまり、「『〇〇の乱』という事件名は失敗した反乱が多い」という偏りは、言葉の意味とは無関係の要因によって生じた偏りだと考えるのが妥当という事だ。
もし「『〇〇の乱』という事件名は失敗した反乱についている事が多いので、乱は失敗した反乱を指す」と考えている人がいるとしたら、残念ながらそれは極めてレベルが低く浅薄な分析だと言えるだろう。