>>500
伊達邦彦全集を発刊した出版社を思い出せないまま、目を醒ます為に
熱いシャワーと冷たいシャワーを交互に浴びる。ベッドに戻ると、ジャクリーヌが再び挑んで来る。
晶夫の凶器をくわえこんだジャクリーヌの密壺は、まるで別の生き物のようにうごめいた。
ジャクリーヌが何度目かの大波にさらわれるのに合わせて、晶夫は引き金を絞り切った。
晶夫はしばらく余韻を楽しんでから、浴室でシャワーを浴び凶器を入念に洗った。
明日の8耐テストに向けて、晶夫は早めにベッドに潜り込んだ。
去年のように、魔人のようなコーナーリングでヤマハワークスR1を追い詰めながら、
ストレートで後塵を拝するのは御免だ。晶夫はリタイアした悪夢を振り払うかのように眠りについた。

明朝7時にマネージャーの浅見が、ハイエースヴァンに乗って平田町のホテルに迎えに来た。
サーキット通りの喫茶店ポールポジションでモーニングを取ってから、マシーンの待つピットへ入った。
晶夫の瞳は三連覇の絶対王者ヤマハワークス打倒に燃えていた。