女子受験者については、結婚や出産によっても医師の仕事を継続できるような体制整備を行うべきだ。
構造的に女性医師に不利な状況を前提として、得点操作で女子の合格者を減らすというのは差別である。
もっとも差別が構造化している場合、差別している人は、その事実を認識していないのが通例だ。
女性医師が職場で働きやすい環境を整備することを本気で考えなくてはならない。

 この機会に筆者は東京医大の入試問題を研究してみた。1次試験の英語、数学、理科(物理、化学、生物から2科目)はいずれもマークシート式だ。

 入試では記述式の方がはるかに手間がかかるが、受験者の学力を正確に把握することができる。
東京医大の場合でも、1次試験で記述式問題を採用すれば、多浪生であっても医師国家試験に合格できる基礎学力があるかどうかを判定することができると思う。

 特に重要なのは、論理的な思考ができるかをきちんとチェックすることだ。言語的論理については、記述式の国語問題(もしくは小論文)、非言語的論理については記述式の数学問題を解かせれば、受験者の能力を正確に把握することができる。
また、将来、研究職を目指す学生の場合、論文は英語で書くことになる。入試段階から、記述式の英作文問題で鍛えられていれば、大学入学後の英語の学習も容易になる。

 マークシート式の試験を行う大学の多くが予備校などの受験産業に作問を依頼している。こうした丸投げ型の入試では、受験者の個性を見極めることは難しいと思う。
日本の医師のレベルは国際的にも非常に高い。東京医大からも優秀な医師を多数輩出している。この水準を維持するためには、入試問題の作成に大学がもっと真剣に取り組む必要がある。