>>169
読んだ。
著者(1966年前後の生まれ?)は、世紀末までの約13年ほど
「ガロ」の社員編集者だった。でも皮膚がんで左目摘出の上に
闘病の末、2017年に死んじゃってる。これは死後の有志による自主出版。

「ガロ」はソフト開発会社社長に善意買収された後、スタッフ分裂、
会社は別会社にのっとられて右翼出版社になっちゃう。

その裏話を自分の視点で語るんだけど、
分裂した女性編集者を揶揄して、果てには「夜逃げは違法だ」とディスる始末。
いやいや、自分は月給8万円の「違法賃金」で文句もいわず働いてたでしょ?
著者の底の浅さに幻滅。
さらに巻末に買収社長の反論が載ってて、著者の見立てが間違ってることが
わかる。やっぱ1社員と社長の見てる「景色」はぜんぜん違うよ。
著者に見抜ける洞察力があれば別だが、彼の本質は「平凡な人間」なんだよな。
サブカル好きの地方役人タイプ。
漫画家志望で、模写はうまかったが、個性が出せずに諦めた過去。
漫画雑誌・単行本編集者としては有能だったが、それはノウハウの部分
のみだったのでは。

誰でも自分の人生を語る本は自分にしか書けないコンテンツだから
出す意義はあるもの、本のクオリティをあげるために有能編集者が必要。

妻のやまだ紫(17個も年上)の半生となれそめと急死、の話は興味深い
だけに出来のアンバランスさが目立つ本。まあ、著者は結果として
「不運」と「幸運」のバランスが強制的にとれてた人生だったのか?