喧嘩別れして、一時期は自分の中で相手を悪者にして心を取り持とうとした。けれどやっぱりそうはできなくて、そう考えようとした自分をひたすらひたすらに攻めた。でも本当に優しい子なんだ。

別れた原因も、あの時自分がもっと大人だったら、もっと優しく伝えられたら、思い違いで別れることなんてなかったのにって思い続けた。
そうこうしているうちに重度の鬱病になった。

あれから何年かの時が流れて、芋みたいな大学生から少しは垢抜けた社会人になった。恋人も何回か変わった。

それでも、待ち合わせをした駅のカフェの前を通ると、彼女の姿が目に浮かんで、夏なのに水色のダッフルコートを着た女の子を探してしまう。ホームで特急電車のアナウンスを聞くと一瞬であの日に心が帰ってしまう。