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仏教の創始者である釈尊は、生老病死という根源的な苦悩からどうすれば人々を救えるのか、解決の道を探求しました。そして、自身の胸中に具わり、宇宙と生命を貫く根本の法に目覚めます。
その悟りを開いてから生涯を終えるまで、釈尊は種々の教えを説きました。
それらは釈尊滅後、弟子たちによってまとめられ、多くの経典が編纂されました。
そして、西暦紀元前後には、大乗仏教運動が起こり、新たな経典が編纂される中で「法華経」が成立します。
法華経は、釈尊の智慧と慈悲の精神を昇華させた経典であり、あらゆる人々の生命に仏の境涯が具わり、誰人も開き現すことができるという「万人成仏」の思想を説いています。
「成仏」とは、宇宙の根源の法と一体になり、智慧と慈悲にあふれた仏の生命を自分自身に現すことです。
インドでは、竜樹(150〜250頃)らが大乗仏教の思想を発展させました。
法華経は、中国では鳩摩羅什(344〜413、または350〜409)らにより漢語に翻訳され、天台大師智(ぎ)(538〜597)によって最上の経典と位置づけられました。
また、日本においても、伝教大師最澄(767〜822)が、日本天台宗を立てて法華経を宣揚しました。
そして、鎌倉時代の日蓮大聖人は、民衆の救済、社会の安穏と繁栄のために、法華経から肝要となる教えを導き、「南無妙法蓮華経」の題目と本尊を顕しました。