今日見た夢。

寝ていると頭の中に声が聞こえてきた。
「抱いてくれ…抱いてくれ…」
抱いてくれ?
一体誰が言っているのだろう…
姿は見えない。
抱いてくれと言っているのだから女なのだろう。
いや、しかし、女が語尾に「くれ」などと付けるだろうか。
その声はどこか悲しげで、哀願するような響きを含んでいた。
何度目かの声で俺は気づいた。
これは夢ではない。現実に誰かが俺に語りかけているのだ。
そう思うと、同時に目が覚めた。
俺は公園のベンチに寝ていた。
上から浮浪者が覗き込むようにして言った。
「どいてくれ」