俺は走った。
全てを振り切るように、走った。
走りながら泣いていた。
「おい、兄ちゃん!」
声は近かった。
捕まる。そう思った瞬間、俺は捕らえられ、羽交い絞めにされた。
「なんで逃げるんだよ!!夢を簡単に捨てるんじゃねー!」

目が覚めると俺はベンチに寝ていた。
いつもと同じ風景、すえた匂い、空腹感。
胸に手をやってほころびに触れてみる。
○邊健人…
これが俺の名前…