健人は立ち上がり笑った。
刑務所に入っていたころを思い出していた。
だからあんな変な夢をみたのか。

健人はクズ親に育てられた。
父親は土木作業員の飲んだくれで
身分証を偽造して小口の借金を重ねすべて踏み倒していた。
日曜と言えば詐欺で儲けた金をパチンコですってる馬鹿な男でもあった。

母親は他人の裕福さを妬み嫌がらせを趣味とし
何も努力しない自分を正当化し
ただ浪費するだけ女だった。

「俺は違う!」
だが健人にもクズの血が流れていた。
高校のころいじめで相手を自殺寸前まで追い込み退学になった。
その後ホームレス狩りをやり刑務所に入り今に至った。

「兄貴さがしたんですぜ」
若い男数人が息を切らしながらやってくる。
「酔いを醒ましに公園に行っただけだ」
俺はベンツの後部座席に乗り込み、組の事務所に向かった。