では俺から文学の話をしよう。

村上春樹が阪神淡路大震災をテーマにした連作集「地震のあとで」を
文芸誌に発表したのは1999年。1995年の震災から実に四年後のことだった。
また、宮本輝が「森のなかの海」を書いたのが2001年。
この事実を見ても、震災からまだ三ヶ月にも満たない今の段階で、
「原発事故絡みの作品がほとんどないのはおかしい」
などという結論を出すことが、いかに性急であるかがわかろうというものである。