「雪ってどんななのかな?」
Aが言った。
走っているバスの中。
4〜5人の子供たちが話しあっていた。
Aはその中のひとりだ。
もう寝る時間なので、窓のカーテンは全部閉っている。
毛布にくるまっているBが、なにげなしに、言った。
「きっとすごく怖いものだよ」
ただでさえ、夜の闇は、子供たちにとっては、怖いものである。
Aは、恐ろしくなってきた。他の子たちも同じ心境らしい。
子供たちはだまりこんでしまった。
やがて、Cが口を開いた。
「こわいよう」
Cが震えだす。
Aは立ち上がって言った。
「食べられちゃう前にみんなでやっつけるんだ」
子供たちは、それぞれバットやフライパンなどの武器を手にした。
「作戦を話すぞ――」
子供たちは、遅くまで話し合い、やがて誰かからともなく、眠ってしまった。