何の変哲も無い辺鄙な場所に建てられている学校。
周囲は鬱蒼とした森林に囲まれた校舎、その上、傾斜の酷い坂道を登った先にそれはある。
正直言って、立地は最悪だ。強いていいところを挙げるとすれば見晴らしがいい。ただ、それくらいである。
だが、僕はこの環境に感謝していた。



僕は、医者になるよ____



小さい頃、ファブリー病と云われる病にかかっていた。どうやら調べてみると極めて珍しい症例で、10万人に一人、それくらいの確率で発症する難病だというのだ。
童心ながら「何故、僕だけがこんな目に逢わなきゃならない?僕が何をしたっていうんだ。神様を憎んだ。」
そして同時に僕を治してくれない周りの大人や何から何まで全てを憎むようになっていた。
いつだか僕は猜疑心の強い人間になってしまっていた何を信じればいいのか。憎い。憎い。思い浮かぶのは負の感情のみ。
気づけば精神まで病んでしまっていたのだ。