スレ主がネカマでもなんでもいいんだが、気が向いたので冒頭だけリライトしてみた。


 僕のお気に入りの場所は、野良猫一匹いない寂れた公園だった。
 一週間くらい前の放課後、僕はランドセルを背負ったまま町を彷徨っていた。
 同級生たちは連れ立って学校近くの公園へ行ってしまった。家が遠いせいで友人たちからは
あまり遊びに誘われない。
 そんな時、偶然に辿り着いたのがこの公園だった。それからは毎日、放課後から日が暮れる
までの時間をここで過ごしている。
 その日も僕はお気に入りの公園の砂場で、最近凝り始めていた砂のお城を作っていた。
 風もなく、子供のはしゃぎ声も聞こえない。傾きはじめた夕日に赤々と照らされながら、
一人で黙々と手を動かしていた。
「――すてきなお城ね」
 背後から唐突に柔らかい声をかけられて、僕は振り返ることさえできずにその場で固まった。
「びっくりさせちゃった? ごめん。でも、こんな上手につくれる子、クラスじゃあまり居なかったわ」
 わずかな笑いを含んだ女の子の声に耳をくすぐられて、頬が赤くなるのを感じた。だがその顔を
見られたわけではない。
 僕は身体を硬くさせたまま、かろうじて礼の言葉を口にした。
「……えっと、ありがとう」
 掠れた声が、僕と少女しかいない公園に消えていく。
 すごいね、と少女がまた僕のお城を褒めながら、背後に近づく気配がした。