宮崎哲弥(評論家)「『にゃーご』というのは、あまり良くないと思う。
なぜ良くないかというと、結局根底に流れる思想は“みんな仲良く”でしょ。
“基本的なベースは共通しているから、やがて了解にたどりつく”という、そういうストーリーなんだよね。
今まで国語の教科書から“対立”を孕んでいる話や“子供にやや刺激的と思われる、
少しだけグロテスクな描写”のある話がどんどん削られてきた。
それで残ったのがああいう話なんだよ。
私は、話し合い・ディスカッションの土台というのは、あくまで“対立”でなければならないと思っている。
価値観の“対立”とは、“みんな仲良く”ではなく、
“違う人間がいるんだ”というところから始めなければならない。
どうも“みんな仲良く”というのを良いことだと誤解しているのではないか。
ああいうものが検定を通りやすくなってきて、ああいう話ばかりになってしまうのはまずい」

勝谷誠彦(コラムニスト)「さっきのオッサン、あの作者、
よくあんなもん出版する気になりましたね。
話し合いの土台が対立であるということは、違いを認め合うということだからね」

村田晃嗣(同志社大学教授)「教科書や教育の現場から、
残酷な話やグロテスクな話をどんどん排除すれば、そこでは“ピュア”な世界が出来るかもしれないが、
外を向けば秋葉原では人がどんどん殺されているといった驚くべき残酷な話が溢れている」(>>3以降に続く)