これは、まず、驚いたのは文章がとても上手なことです。
非常に読みやすく、過不足ない描写がしてあり、文章力という点では抜群にうまいです。

で、内容はというと、ある先輩芸人との人付き合いの関係を描いているのですが、
非常にくだらないです。芸人の世界って窮屈な縦社会だな、と思います。
そして、致命的なのが、芸人の話なのにこの小説に書かれているギャグがいっさい笑えないこと。
もっと笑える小説はいくらでもありますよ。
小説をあまり読んだことがないという人には、もっと笑える小説を読んでほしいです。

なんというか、小説家として合格だけど、芸人として失格な作品だと思います。
これはかなり厳しいことばですが、正直な感想です。

ただ、芥川賞としてどうかというと、もともと芥川賞はこの程度にしか面白くはありません。
ぼくは小説を面白かった順に順位をつけるということをしているのですが。
ぼくの読んだことのある芥川賞の作品を並べると、以下になります。

204位 赤頭巾ちゃん気をつけて
237位 火花
336位 限りなく透明に近いブルー
386位 苦役列車
396位 死者の奢り・飼育
471位 蛍川・泥の川

ちなみに、タレント本だと以下になります。ぼくはゴーストライターを使ってないと思う芸能人の本しか読んでないつもりなのですが。

40位 遺書(松本人志)
237位 火花
373位 KAGEROU
398位 マボロシの鳥