――どうしてこうなってしまったんだろう。
 世界が滅んだ、そんな光景をしていた。
 目に入る建物はすべて崩れ落ち、瓦礫と化したコンクリートが視界一面に広がっている。
 燃えるものはすべて焼け落ち、空を黒くし、またありとあらゆる生命を焦がした。
 目が覚める。
 夢。
「えっ」
 あまりにリアルで、あまりに切ない夢だった。
 まだ心臓が強く打っている。背中には汗でべっとりとTシャツが張り付いて気持ちが悪い。
 やっていられない、と思う。
「……朝からだるいなぁ」
 一条雫は溜息とともに呪詛を吐き出して、ベッドから上半身を起こす。
 濡れてる?
 違和を覚えた下半身に指を走らせると、ねっとりと濡れていた。
 雫は何度も確認するように、指先を上下に動かして、敏感になった突起を擦る。
 そのまま、まるでさっきの夢を払拭するかのようにあらん限りの快感をむさぼった。