ぽちっとな

 男が傍らにあったボタンを押すと、時空が歪み出した。
 外で馬鹿騒ぎをしていた人々はその歪みに吸い込まれ、歪んだ。新年に高ぶる街の喧騒は、一瞬にして悲鳴に変わっていく。

「お、おい。待てよ。どうなってるんだ?」

 眼下に広がる光景に、足がすくむ。身動きも取れず、ただひたすらに街が壊れていくのを眺めていた。

 しばらくすると、歪みの中心から何やら光る物体が現れ出した。瞬く間にそれらは数を増していき、そして散らばった。

 街の時計塔が鳴り、12時のお告げを知らせる。
 2025年、世界は動乱に包まれた。



偽のプロローグ続 完

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