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拓郎は実際童貞だった。拓郎はよくわからなかった。女というものがどういうものなのか。優子は拓郎と出会ったゼミの顔合わせの時から拓郎にモーションをかけ続けた。
拓郎はもちろん優子の態度に気づいていた。出会ってから2ヶ月。日に日に優子の存在が拓郎の想像のなかで膨らんでいった。拓郎の日課である自慰行為の7割が優子を想像してやるようになった。
優子の裸を想像し、顔を想像し、優子が時折みせる生足を想像して拓郎は射精した。優子はなるべく自分から拓郎に話しかけなかった。
優子の拓郎をその気にさせる努力は功を奏し、心が通い合うようにはなっていった。それでも拓郎のなかにある何かが優子の核に向かうべきベクトルを捻じ曲げていた。