そういえば、永久機関で思い出したが、
おれは、小学五年生の時に、音楽準備室に振り子を動かし、ケースでそれを覆った。
そして、「これを何年の何月何日に動かした。いつまで反復運動をくり返すか試すから、決してこのケースに触ってはいけない」
と書いておいた。
おれが卒業するまでその振り子は振りつづけた。おれが中学生、高校生をすごしている時、
ずっとその振り子は反復運動をくり返していた。
二十六歳の組織体験で、おれが小学生に動かした振り子がまだ外部の力を受けずに行ったり来たりしていることを知った。
そして、ある時、小学生が来て、「ようやくあの振り子が止まりそうです」と聞いた。
完全にそんな振り子の存在は忘れいたのだが、六年だったか、十二年だったか、
十六年だったかたって、振り子は止まった。
残念なことに、その間、おれの人生は不幸であった。
ただ、小学生が科学を志すきっかけにはなったと聞いている。